記録用紙


精神科作業療法評価実習の準備

(1)前もって勉強しておくこと
 特別無いけど…、と答えるが、なんかかっこつけようとするときは、日本の精神科作業療法の歴史とか、
作業分析を復習しておきなとか、山根先生の本持ってるなどと答えている。
まぁ、この場では、このサイトをしっかり読んでおくようにと言っておきましょう。

(2)必要な物
上履き(スニーカー)・動きやすい服装・エプロン・名札・デイリーノート・ボールペン等の筆記用具・
大学ノート(ケースノート)

(3)担当のケース
 担当のケース、レポート提出するケースについて、自分なりの目標があり予め要望があれば、明確にして
はじめに伝えることが大切である。
私が実習指導の面倒を見るのは、メインケースだけである。
原則としてメインケース一人だけで済むようなケースを選択している。サブ・ケースというのは、原則として
決めていない。メインケースが、続けて実習できなくなった場合には、次のケースを指導する。
そんなときは、メインケースとは違ったタイプの、メインケースよりは、かなり難しいケースを担当することが
多いです。


精神科作業療法評価の目的
 評価の目的を実習指導者がどのように考えているのか、評価実習の目的をどのように考えているかで、実習内容が全く変わってくるであろう。 私は、評価の重要な目的は、対象の機能を正しく評価すること以上に、対象の作業機能の結果がよりよくなるような評価方法を発見することである。つまり、よりよい、訓練プログラムをできるだけ早く、円滑に見いだすことが、評価の大切な目的であると考えている。

精神科作業療法評価実習課題

T。各評価手段を用いた評価を体験する。
U。評価手段の具体的方法
V。評価計画を立てる(?)
W。ケースレポート
X。評価実習ケース記録用紙
Y。実習生の成績評価

T。各評価手段を用いた評価を体験する。
 以下の評価手段を用いてケースの評価を実施する。いよいよケース実習であり、(2)(3)のようにケースと接
しながらの評価も実習課題に加わる。評価実習では、これらが中心課題である。他に、場合によっては、興味
チェックリストなどの完成された評価用紙を用いた評価をする場合もある。
 HTPテストとか心理士さんがやることをやりたいという学生もいた。しかし、これらは、私の実習では、すすんで
やらせることはありません。だって、当たり前ですが、心理の実習に来ているのではないのですから。精神科作
業療法評価で学ぶべきことを体験してもらわなければならないからです。 
(0)評価の場所
 評価手段の質や量には、必然的に限界がある。それは、実習地の施設、道具、材料、プログラム、病院の方針などに影響されることは仕方がないことである。しかし、そこの実習場所で可能な評価の場所、評価道具には、何があるのかとチェックすることは、必要で、それらをフルに活かすようにすればいいのである。
(1)作業
 これは、見学実習で学習したことを特定のケースに当てはめて作業観察評価をすればよい。
ところが現実には、この作業観察という評価手段・方法を(知っていて実施はしないという学生もいるが、ほとん
どの評価実習生は、明確には、作業手段による評価を十分には理解していない。
 従って、私の評価実習指導では、この評価手段・作業観察についても実習指導している。
(2)作業活動  作業行動という人や場合もある。.
(3)作業面接  作業言動という人や場合もある。 但し、実習指導の実際では、これらを体系的に順を追
って、以上の評価実習課題全てを教えることはできない場合が多い。特に、2週間しかない場合には、無理で
ある。それは、学生の能力に応じるだけでなく、ケースの様々な面の特徴やケースとの関係によって偏りが生じ
るためである。
U。具体的評価手段の選択方法 
(1)具体的で詳細なマニュアルはない。
 
 私が考えるに、精神科作業療法評価の具体的なマニュアルは、作業種目だけでも多岐にわたり、無数・無限
にあり、即ちないに等しいのである。(すいません。こんな表現で…)
 実際に私の実習指導においても、評価実習で先ず言うことは、「身体障害分野の評価のような正しい評価は
ない。正しい評価方法のマニュアルもない。評価の機能項目も、それを評価する手段も、具体的な評価道具も
自分で考えろ」とたいへんな課題を与えている。
(2)原則として、評価の初期段階では、非接触観察の評価手段を中心にして、当施設で用いている作
業を手段として、そのまま使用してもらう。

 ただ、いくら自分で考えろといっても、実習にきていきなり、なんでも自分でアレンジして評価計画をすぐに立
案できるわけではない。うちのような民間病院では、精神科作業療法も多くは、集団で行っている。そうした大
枠の全体を取り払ってアレンジすることは、そう簡単にはできないのである。こうした点は、実習に対する対応
能力には、勿論限界はある。
3)その与えられた作業評価手段の中では、具体的に作業をどうとらえ、どういう機能を評価するのか
は自由であり、また、加えて、作業活動や作業面接の評価手段を用いること、その方法についても自由
である。

 私は、これらの点は、実習生が一人一人その場その場で評価方法を具体的に考えなければならないことだと
言っている。ケースの特徴、実習生の特徴、実習生とケースとの関係や、その他様々な周囲の状況に応じて、
適切な評価項目の選択、評価手段の選択がなされるのだと考えている。
なぜなら、今のところ、どこの現場でも使っているという精神科作業療法における接触・観察の評価手段の具
体的詳細なマニュアルというものは、存在しないのである。
 もし存在するのであれば、直ぐに教えていただきたい。
(4)そして、慣れてきたら、作業評価手段も自分でアレンジ、計画してよい。

 この場合、勿論、ケースの承認がいる。ケースにもよるが、本人のペースがあったり、他の患者がしないこと
を何で自分だけがしなくてはいけないのかと、言うケースもある。ただ、承認が得られれば、その作業の中で、
自分の作業活動を評価手段にしてもよく、自分で評価道具を準備してもよく、その具体的方法については、自
分でアレンジ計画してもよいのである。
 
V。評価計画
 
 U。のことができれば、評価計画ができたと言うことである。
 最近学校によっては、評価の時点できちんとした計画立案を課題にしている場合がある。実習評価冊子の項
目にきちっと載っている場合がある。
 ただこれは、初評価実習の経験の場合は、難題であろう。勿論、インターン実習生、総合臨床実習生の場合
は、評価の段階での具体的計画ができる学生もいる。
 
 であるので、評価実習での中心課題は、計画を立てることよりも、精神科作業療法の評価手段を、とりあえ
ず、自分で体験することが、先決課題であろうと考える。その体験を記録して、指導者がフィードバックすること
を積み重ねていけば、如何に評価をしていけばいいのかが、分かってくるであろう。

 そして、作業療法の評価手段である作業観察と、作業面接などの作業活動の体験を通して、具体的な評価
方法を実践していくことによって、治療計画、訓練計画を立てるときに参考になるのである。それによって、より
具体的なきちんとした治療計画が立てられるようになってくるのである。

 従って、私の実習指導では、評価計画はともかくとして、治療訓練計画の時点で、作業活動や作業面接のよ
り具体的な治療計画をきちんとできるように指導している。
 
W。ケースレポート
 これは、全ての養成学校で課題になっている重要課題である。かつ、結構難題でもある。
症例の評価レポートを作成し、提出しなければならないのだ。
別に、初めから何が何でも体裁ばかりを考えなくていいのだ。自分が経験した実習の中で、強調したい点や、
こうしてきたんだという点を分かりやすく表現するために体裁を整えればいいのである。

評価実習で何をして何を学んだかのありのままの軌跡・証明である。人が読んでも、自分が後で読んでも分か
りやすくまとめるのがいい。
自分がケースをどのように評価してきたのか、評価の目的からその評価対象と評価方法、そして、評価結果、
結果の考察という一連の考えの道筋を再確認し、表現する重要なものである。

レポートよりも、いろんなことを経験することが大切という考えもあるが、どちらも大切であろう。
実習生はまだ未熟なので、自分のやった評価の経験を自分で再評価・確認するという作業もとても重要な訓練
だと私は考えている。
これをきちんとすれば、実習課題訓練の過程や結果が明らかになり、訓練の跡が残るので、
私の実習では、レポート作成も重要なこととして、実習生がレポートをきちんとまとめていけるように
指導もしている。


X。評価実習ケース記録用紙

 いかに私の実習指導で使っている、記録用紙と記録方法を紹介する。

評価実習ケース記録用紙           評価項目 _________
自分の考え・思い 自分の行動・言動 ケースの行動・言動 その他の環境
考察



(0)実習指導は、全て、以上の評価記録を通して行われる。
 記録用紙を使って記録を書かせる理由は、そうしないと私が実習指導ができないからである。
 なぜなら、私が、実習生の評価方法をずっと見ていることは不可能だからである。というか、私の場合は、現場では、実習生の評価の実際場面をほとんど見ていない。見ても問題なさそうであれば、見ないふりをしているほどである。とにかく他の患者の訓練で、手一杯だからである。加えて言えば、実習生が指導者に見られていると、過度に緊張してしまい、十分な評価方法を行えなくなる可能性が大いにあるからである。
(1)記録用紙の説明

●この記録形式は、看護実習でよく用いられているプロセスレコードを拝借し、参考にした。これが、評価場面の具体的な評価ポイントを再現するのに適していると考えたからである。
●上の記録用紙で、非接触観察、接触観察の両方の評価方法が記録できる。
●非接触観察では、自分の行動・言動が空欄になる。接触観察では、全ての欄を使う。
  
(2)記録用紙の方法・手順
1)上段には、評価場面のポイントを忠実に再現記録する。
 
 初めは、その他の環境の欄からゼロ番として、およその時間帯と場所を明記しておく。そして、一番はどの欄から書き始めてもよい。次にどの欄に移って記録してもよい。要は、あくまでも、現実のポイントを忠実に再現することである。現実に起こった順番の通りに数字番号をつけて、評価場面の時間経過を追って記録する。
 従って、自分の考え・思いの欄は、あくまでも、その評価場面で考えたことであり、その評価現場で考えたことであり、その評価現場で考えなかったこと、無意識なことは、記録しない。
2)各欄の記録内容の区別

 1。自分の考え・思いの欄には、主として、評価の意図や目的が表現される。
 2。自分の行動・言動の欄には、主として、具体的な評価方法が、表現される。
 3。ケースの行動・言動の欄には、主として、評価した機能、即ち評価結果が表現される。
3)下段の考察には、上段の評価場面の反省を記録する。

 ここでは、記録時点で考えたこと思ったことを書く。その内容を以下に示す。

 1。具体的な評価方法は、適切であったか。
 2。評価結果を忠実にとらえられたのか。
 3。評価結果の解釈は、適切であるのか反省し、評価判断内容を修正、追加していく。
4)記録用紙の表の欄外に、ここでは右上に、評価項目を書く。

 1。つまり、この評価場面では、ケースのどんな機能が、評価できたのか、明確にする。
 2。ここには、評価できた機能項目は、全て書いておく、単数でも複数でもよい。
 3。評価機能項目のタイトル名は、自分がしっくりする用語を考える。
 4。しかも、誰にでも分かりやすい用語を選択する。
 5。評価場面記録を重ねていくに従い、評価項目タイトルを自己管理しておく。
(3)ケースレポートの資料として

 こうして、積み重ねた評価場面記録の一つ一つは、上記のW。で述べた評価実習ケースレポートの作業療法評価をまとめていく大切な資料となる。評価項目の自己管理とは、レポートをまとめていくという目的のためにするのである。
 
 自分で評価した評価項目の一つ一つは、そのケース機能の骨にあたり、評価項目間の類似性や階層性を整理・管理した全体が、ケースの特徴を示す骨格となるのである。
 勿論、その肉付けとなる、具体的な評価内容が、よりケースの特徴を表すことにもなる。
 そうしてできあがった全体が、あなたが評価したケースの全体像になるのである。
(4)指導の実際

0)以上の評価実習ケース記録用紙は大学ノートを使用。
 私の場合には、実際は、大学ノートを使用し、見開きで書いてもらっている。そして、ケース評価記録ノートを
 作らせるのである。そして、上記の記録用紙の書き方を説明する。

1)最初、一日目は、とにかく記録方法の練習を実践させる。
●ケースが決まっていない場合も、ケースが決まっている場合も、とにかく今日初日に見た中で、印象に残って
 いるあるケースの場面をこの記録方法によって記録させる。
 ●印象に残っている幾つかの場面を、その前後を思い返して書いてもらう。
 ●そして、その各々の場面を記録後の今、振り返ってみて新たに考えたことや、思い直したことなどを考察とし
 て記録してきてもらうよう指示する。

2)二日目、最初に書いてきた記録を見る。
 ●基本的な書き方ができているかチェックする。
 ●学生個人の記録の特徴を伝える。基本的な字の大きさから、読みやすさ、実際の場面の思考と場面後の

 察の思考内容のギャップの有無や差の大きさなど。
 ●各欄の記録内容の意味、つまり上記(2)2)を説明し、評価の方法・意味を確認させる。
 ●そして、昨日の各記録場面からケースのどんな機能が評価できたのか、評価項目名を考えさせて、その場
 面の上記につけさせる。そして、それは、場面のどこに示されているのかを具体的な番号を付記させる。
 ●もちろん、今日二日目の評価場面を、今日改めるように指示された点、付け加えられた点に注意するように
 して、同様に記録をしてきてもらう。こうした記録を毎日行うのである。

3)三日目以降の指導のポイント
  これ以降は、具体的な指導内容は、各実習生の個別性に応じた対応となる。
  ここでは原則的なことや、具体的な指導の例を述べる。

 ●先ずは、評価場面を番号順に読んでいって、不明な点をチェックする。
  原則は、何を表現しているのかわからない場合、実際はどういうことなのか、評価場面の事実確認を学生に
 きいて確かめる、というスタンスで、質問をしていく。
 ●その上で、評価場面の細かい事実や、言外の事実の有無を確認する。
 場合によっては、記録の最後の番号の後のケースや、自分の様子がどうであったかを確かめて、評価項目
 内容をより明確にしていく。それでも、思い出せない場合は、そうした事実が、評価する上では重要なポイント
 ではないかとアドバイスをする。
 ●事実がそうなら、私ならばこういう場合こう考えると伝え、私の考えを意見として伝える。

 ●次は、評価項目名が分かりやすいか、どういう意味なのかを確かめる。→(2)4)参考
  私の実習では、教科書に紹介されている評価用紙や、他人が考案した色々ある評価方法をそのまま使う評
 価を自ら勧めることはない。(実習生の希望がある場合は、よく注意をした上で、させることはあるが…。)私

 そういうものを使っていないので指導ができないからである。私の指導では、評価方法も実習生本人に考えさ
 せているし、その評価した機能名も本人に考えさせている。
 そういう意味では、私の実習指導は大変厳しいのである。
  ただそれらの有名な評価は、知る必要がないといっているのではない。自分がしっくりする評価機能名を考

 ていく上で、国語辞書だけでなく、そういう専門的な評価方法があげている機能項目名や能力をあらわ用語を
 参考にしろと言っている。
  で、これからは、他職種の人たちにも伝わりやすい専門用語や、分かりやすい用語を選択し、用いることが
 必要になってくるぞと、これまた厳しい注文をしたりしている。

 1。とにかくケース実習なのだから、自分が実践したケースの評価体験に基づいて、その体験からできるだけ
 ぴったりする評価機能項目名を考えさせるように、確かめ、問いただしていく。

 2。漠然とした評価機能項目名は、できるだけ、具体的にさせる。
  たとえば、
 「状況判断の状況って、ここでは何?」など具体的に問いただす。
 「状況というのは、だいたいわかる気がするけど、どんな状況か記録にきちんと書いてみたら?」
 「状況って言うのは、環境のことでしょ?じゃあその他の環境の欄に言葉で書いてみて?」
 などと課題を与えていく。そして、本人なりに状況を分類整理させたり、より具体的な適切な機能項目名を考え
 させる。

 3。不適切な評価機能項目名を問いただす。
 ○たとえば、
 「指示の理解というけど、指示って貴方がした評価手段のことでしょ?」
 「ここでの指示の中身は何なの?」
 「何を理解している評価をしたの?」
 などと確かめさせて、より適切な評価機能項目名を選択させる。

 ○また、たとえば、
 「問題解決と言うけど、ここで言う問題って何なの?」と問いただす。
 「問題って言うけど、問題っていえるほどのことかな、作業の課題じゃないのかな?」
 「これを問題というのと同時に、ケースの課題遂行機能に問題点はないのかな?」
 などと確かめさせる。

  以上の、2。3。を通して、見学実習での実習課題であった、作業という評価手段を明確に
 理解していない場合は、作業という評価手段の意味を確認させることと併せて、より適切な
 評価機能項目を思考し、選択していくように促していく。

 4。自分が選択した評価機能項目名相互の関係(階層性や、類似性、相違点など)を明確にさせる。
 ○大項目、中項目、小項目とか上位項目と下位項目など。
 ○例えば、意欲と興味・関心とか、達成感と満足感とか、と言う語を使い分けているが、評価場面状況記録か
 らでは区別がわかりにくい場合などにはその類似性と相違点をどのように考えているのか確かめてみる。

4)四、五日目以降くらいの指導のポイント

 ○3)を繰り返し行う。
 ○上記の(3)を説明して、レポートの、自分がした作業療法評価という部分の作成開始を促す。
(4)評価のまとめと問題点の把握

ケース機能評価項目の全体骨子ケース1〜6      ケース機能評価項目の全体骨子8,9    

Y。実習生の成績評価
 
  原則としては、成績評価は、学生と同時にフィードバックしながら、一緒に点数をつけてきました。
ただ、最近は忙しいので、私の主観で急いでつけて、点数の低い理由をコメントで記録したり、口答で
伝えています。

 私が指導するポイントは以上で述べてきたとおりなので、養成校の成績評価をつけるときに、そうした
ポイントが合わないこともあり、私の方で成績評価をするときに困ってしまうことが時々あります。
でも、真面目につけていたらたいへんなので、適当につけてしまいます。

 ただ、私の場合は、実習が、スムーズに進まない場合にも、要領が悪くても、一生懸命悩んだり、頑張って
努力の跡が見られる実習生には、落とすことはありません。

 あとは、あまりにも成績がよすぎることがないようにしています。成績評価項目に、だいたいどこの養成校も
どこかに、「施設での作業療法士の役割を理解する」というような内容の項目があり、これは、口頭試験をして
います。この口頭試験で、うちの施設の場合は、実習生が満点を取ることは今までなかったのではないかと
思います。実習生達は、みんなケース実習で一生懸命ですので、実習の始めに説明されたその内容に
ついては、全部きちんとは覚えていることは希なのです。


ケース機能評価項目の全体骨子例7


ケース機能評価項目の全体骨子例7
ケース機能評価項目の全体骨子例7
評価実習指導日記
評価実習指導日記