評価実習指導日記

2003年07月22日

実習初日。
 
今日から評価実習の学生(Sさん)が、一名実習に来ました。期間は来週までです。はじめに、こちらから病院と当院の作業療法のオリエンテーションをしました。今回の学生は、精神科実習も初めてのことであり、精神科作業療法の対象者から統合失調症のケースを選ぶことにしたので、今日は、一日、精神科作業療法の見学としました。
 
学生からも、はじめに書類やノートを持ってきて、ノートは、どのように書けばいいのかと自分から聞いて、見せに来ました。なかなか、はっきりとした方です。Sさんの席の前には、既に実習にきているインターン実習生がいて、彼女のケースノートを見せてもらい、書き方を説明しました。デイリーノートには、すでに私が実習前に渡した病院案内のパンフレットと、本人が自分で調べていた当院のホームページの一部(病院の歴史)を印刷した物を既に添付してあり、驚きました。そんな方は初めてだったので…。
 
昼休みは、病院の食堂で私と同じテーブルで4名で昼食をして、私が他の職員とインターネットの話しをしていたら、ホームページを開設しているのかなどと質問してきたりした。私が以前、ある実習生の実習指導日記を書いたことがあるんだと話しをして、Sさんについての指導日記をこれからしようかな?といったら、え?写真付きですかなどと冗談を返してきた。
 ケース決めについては、私の担当のケースではないことは決まっているので、午後の精神科作業療法の見学参加の後、ケースバイザーから、患者さんの印象など聞かれて一緒に考えていました。見学参加中でも、得意のピアノを披露したようで、なかなか初日からアピールしていて、活動後にも、他の若い職員から、こんな題名の歌知ってる?と楽譜を見せられ、難しい歌も歌ってくれました。また、うちは、ピアノ同好会がありますから、入って下さいと冗談などをいわれて、笑顔もみられ、初日からなかなかいい顔を見せてくれていました。かえりも、すでにいたインターン実習生と一緒に帰っていきました。



2003年07月23日

実習2日目。
先ず、ノートを見る。きれいな字で、いっぱい書いてあり、読みやすい、内容もよくまとまっている。デイリーノートは、私は、感想から読んで、そこで気になったところは、実際の様子を表現した記録の部分を確かめて読み、私の最初につけたコメントが、「よく観察されていて、関連する情報をよく調べています。」でした。初めて行うケースバイザーの若い職員も、「こりゃすごいは、私ついていけません」と言わしめるほどの内容でした。
 
 私が気に入ったところは、デイリーノートでは、既に観察のポイントが、精神科作業療法担当の職員たちのさりげない道具使用のアプローチをしっかり観察していて、その患者の活動性が徐々に引き出される微妙な反応もしっかりと捉えている点でした。そして、うちの実習地がOTにどっぷりとつかれる実習になりそうだという期待の言葉が表現されていました。そして、ケースノートの練習記録では、所定の書き方をしっかり間違いなく行い、その内容も、自分が答えに窮した場面を取り上げ、その分析と反省、こう答えれば、こうなったかも、でもこうこたえたらどうなったか?というところまで、非常に丁寧にやっているのでした。あと、自分で自我機能障害度評定表というのをコピーしてきてケースをその視点で当てはめてみて、考えてきたりしました。こうした記録を見て、もう、この方は大丈夫だと思ってしまいましたね。学校の先生からも電話がかかってきて、まだ、一日しか見ていないのですが、前向きにやってますよと報告しました。
 
 で、午前中の活動で、数人のケース候補に接してもらい、終了後にケースを決め、私が病棟へ行って、許可を取り、午後には、ケースバイザーによって、本人にも承諾を得て、その後は学生もケースと挨拶をして、病棟カルテからの情報収集をしました。
 本人から、明日の評価は、学校で習ったような処方箋が来てからするようなことをするのかというような質問をしてきた。私は、さっき本人にあったとき明日の予定とか何かしたの?やりたい評価の計画は?などときくとまだ特に…ということなので、はじめは、あまり焦らず、無難に本人の行動に沿った中で評価をし、実習中に評価を続けてしてもらえるようなケースとの対人関係も考慮するようになどと一般的なことを伝えました。



2003年07月24日

実習三日目。
午前中は、ケースが病棟レクだったので、そこに入って評価をしてもらいました。午後は、私が担当の病棟で、行事があったので、見学参加してもらいました。PSWの実習生とは違って、私は何も言わないのに、盆踊りでは、会場の人で輪になっている中の踊り円に入って踊っていました。

今日の提出ノートには、モゼイの集団関係技能の表プリントが添付されていました。この表には、各段階に相当する年齢の範囲が示されていたりして、確かに、個人の集団関係技能のレベルを見ていくための評価表のようにも思うのですが、私が思うに、先ずは、ケースが所属する集団がどのようなレベルの集団なのかを、おおよそでもつかむことが、大切なのではと思いました。学生にもそのように伝えました。



2003年07月25日

実習四日目。
午前は、ケースが料理グループであったので、スーパーでの買い物から、支払い、料理などの場面で評価していました。午後は、料理の後に、ケースと自ら契約を交わして、病棟へ行って、ケースの病室まで入れてもらって、面接評価などをしていました。

 今回の学生は、観察の評価をまとめるにあたっては、ベースに、田村・鈴木によるおそらくアメリカの評価方法の邦訳を自ら選択して使っています。学校の授業で、習ったもののようです。かなり古いモノです。作業療法総論にも載っているらしいのですが、私もすっかり、忘れてしまっていました。その評価法における多少の難点を指摘したり(大先生方にケチをつけるなんて身の程知らずですが)、自分の見方を紹介したりして、指導はしています。



2003年07月28日

実習五日目。
今朝一番に、ノートを渡されびっくり致しました。なんと、ケースノートは、22ページ、デイリーノートは、8ページ、合計30ページにもわたって記録しているのです。そして更に、ケースレポートをできるところまでは、もう既にやっていて、提出してきました。確かに、前回は、一日ケースの評価をしましたし、土日があって、記録も書けたのでしょうが、驚きです。前回の実習でも、そんなに記録は書かなくてよいと、やっぱり言われていたそうです。

 しかし、ケースノートの評価は、細かく道具や材料、配置などの図示入りで、丁寧に記録しているのです。ほんとに、分かりやすいです。これが精神科作業療法の評価なんだよなと、あらためて確認致しました。また、デイリーノートには、面接したことに関連して自己タッチの資料や、先週の盆踊りの見学に関連して和太鼓の読売新聞からの記事を添付し考察していました。ほんとに、自分で、よく学んでいる方だとつくづく思いました。

今日のケース評価は、陶芸の場面でした。午後は、他の精神科作業療法のグループを見学しました。

あと、学校の先生が、実習訪問に来ました。学生のことは心配ないので、本題はそこそこに、学生の進路傾向を聞いたりとか、作業療法士がほしいのですとか、お願いしました。今回の先生は、うちの実習訪問に来て下さったのは初めてで、ゆっくり話しをしたことは今まで無かったのですが、話しをしているうちにどうやら、資格を取って就職したのが私と同じ年度だということが分かったり、話が弾んで、時間も許されたので、一緒に病院の喫茶店で食事をしました。とても気さくな先生で、いろいろと自分の体験を話して下さり、楽しく時を、あっという間に過ごせました。きっと、学生からも好かれる先生だと思われました。



2003年07月29日

実習6日目。 
午前中は、ケースが所属の集団レクに参加。今日は、音楽、踊りを中心にした活動のなかで、ケース評価をする。午後は、本人と個別に、時間を作って、興味チェックリストをしたり、面接した様子。

 私の、記録による指導では、もう既にケースレポートをまとめていて、提出しているので、本人が評価をしてまとめる部分、即ち作業療法評価と呼ばれる部分を中心に指導をした。これまでの、ケースノートで本人が使用した機能項目名の用語とレポートで用いているそれらの用語を比較したり、項目名の付け方、項目名の種類の違いについて、指摘したりして、私の見方、分類の仕方も伝えた。



2003年07月30日

実習七日目。
今日は、私の業務が、多忙であったため、ケースノートとケースレポートのフィードバックは、ちょこちょこと手短に私がやりましたが、デイリーノートは、ほとんどサブバイザーに任せました。記録内容の多くが、サブバイザーがリーダーをやったグループ場面であったため、彼女も、すすんでコメントを、たくさん書いていくれていました。

ところで、サブバイザーって呼ばれる役割を担う人を付けたのは、私も今回が始めてのことなのです。どうして、こうしたかというと、サブバイザーの方が、次回、一人のインターン実習指導を初めてやることになっていて、その予行演習のためです。なので、今回、私が学生にフィードバックしている場面を彼女も一緒に聞いているのです。はっきり言って、私も恥ずかしいですね。というのは、彼女にも言ったのですが、私の指導は、一般的な、基本的な指導しかしていないからです。ケースに関する機能評価の具体的判断には、原則、私は干渉しないのです。学生本人に任せているのです。

幸い今日の学生からの質問は、「問題点や長所を箇条書きで挙げてきてはいるのですが、全体像もまとめたいのですが、どうすればいいのでしょうか」というような一般的な質問だったのです。わたしは、こういう一般的な質問には、きちんと答えている方だと思いますが、具体的なケースの問題に関しては、学生自身に考えさせるようにしているからです。そうした質問は、私も正解を知らないのです。ならば、一緒に考えるって言うのがやり方だとは思うのですが、私はあくまでも一緒には考えません。ただ、どのような評価をしてきて、どの点を迷っているのか、どの点が分からないのかを明確にさせ、じゃあ、それを調べるためには、次にどんな評価をすればいいと思うのか、考えなさいと言うだけです。

本当に冷たい指導者なんです。だから一緒になって、悩んで、考えて、その時点で判断してもいいのでしょうが、私は、そんな難題は先延ばしをするのです。私の指導は、もう、要領がいいというのか、そんな風な指導方法になっているのです。別に、短い実習の中で、正しい判断評価が、できるようになるなんてことは、求めていないのです。ただし、次の評価方法を考えてもらうのです。実際の患者さんと一緒に活動させてもらっている間に、少しでもより具体的な、色々な、より些細だけれどもより意識的な評価方法を考え、やってみる、ということが経験できたら、いいんじゃないかと思うのです。それが二週間という短い評価実習で大切なことだと思っているからです。

ただ、サブバイザーには、これは私の考えでやっていることにすぎない実習指導で、自分でやるべきだと思う指導は、自分の判断でやっていっていいのだと、言っています。



2003年07月31日

実習八日目。
情報収集をドクターからしたいということで、ケースの主治医は今日と明日しか勤務がないドクターであった。私も、初めて話すドクターであったので、朝一番にドクターに会いに行き、お願いにあがる。
ケースレポートも、私が、指摘した点は、しっかりと日々なおして、プリントアウトしてきます。今日は、もうあまり、ケチの付けるところがないので、リハビリテーションゴールについては、レポートされていなかったので、その点を質問すると、今日のドクター収集で、定まりましたと、直ぐに返答した。
ケースノートでは、慣れた、なじみの作業における、作業面接について考察されていて、私も補足して、作業歴に関わる情報が得られたり、作品を介した社会的関係の情報が得られたり、それらに伴う個人的な作業能力に関する自己認識を再確認したり、様々な記憶が、蘇り語られるなど場面の重要性を説明した。そして、このあたりの作業面接の技術は、結構細かい配慮と言説が必要であることも説明した。こんな、話しをするのは、2週間ばかりの実習生とするのは、初めてのことであった。



2003年08月01日

実習九日目
今日は、九週間のインターン実習生とともに、当評価実習生も実習最後の日であったので、たいへんに忙しく、また勤務後も、実習ご苦労さん会をしました。そのため、今日は、帰りが遅くなってしまったので、いろいろと思い出すのも面倒で、とりあえず、学校に提出する書類に書いた、学生への助言と言うところを思い出して書いてみたいと思います。

当初から、自主学習する態度を示し、文献の情報収集をほぼ毎日してきたりと、積極性を感じました。外見が、実際の年齢の割には、若いかなと思われましたが、ノートの記録を見てからは、やっぱりなかなかしっかりしているなと思われました。

評価もただ、漠然と、観察するだけではなく、日々の評価の予定も考えていたり、自分が印象に残ったところなどを、一つ一つ明確にして、その表現ができ、よく、深く考察されていると感じました。
私もそのたびたびの視点に応じ、補足していくというフィードバックで、学生主導のフィードバックとなりましたが、それだけでも、結構内容は充実した指導もできたと思います。
ただ、まだまだ吸収したり、学んだりできる面は多くあると思うのですが、二週間という短い実習では、仕方がないことです。

今後も、今回の実習で感じ取れた、作業を用いることによって得られる可能な、細かい具体的な評価手段というものを、一つ一つ発見していってもらいたいと思います。これにはきりがないと思うのです。少しずつでも多くの手段を、方法を経験によって、身につけられると、いいのではと思いました。





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