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U。日常的生活行為としての精神科作業療法
(1)精神科作業療法で用いる治療道具
精神科作業療法で用いられる多くの道具は、日常生活や社会生活一般に用いられ
ている物ばかりである。治療のためにだけ用いる治療専門の治療器具は、殆どない
といってよい。治療道具は、主に患者が使うのである。
また、心理テストのような専門的で、客観的に広く用いられる評価手段となる
ような精神科作業療法専門の評価道具も無いといってよい。勿論、白衣は着ない。
(2)作業遂行機能の重視
精神科作業療法は、病気の原因を直接治療するのではない。獲得できていない
機能を開発したり、機能していない機能を呼び起こしたり、獲得している機能を
維持・成長させる。そうすることで、社会文化への適応力を養い、病気に対する
抵抗力を身につけ、総合的に回復していくのである。
そのため、精神科作業療法は、人間が活動する(作業を遂行する)のに用いる
多くの健康的な、具体的な機能を働かせる機会を提供していく必要がある。
(3)作業そのものが持っている属性を重視する
精神科作業療法は、一般の近代以降発展してきた自然科学、生物学を基礎に
成立する新たに生み出された治療とは違う。もっと以前から行われている長い歴史
を持った医療である。
精神科作業療法の内容は、健康な人が行う内容とは区別が無い。したがって、
精神科作業療法の場面は、治療空間というより、むしろ日常的な空間である。
精神科作業療法は、我々が日常何気なく活動している作業そのものが持って
いる特徴・価値・意味を見直し、再認識して、その作業を利用し、訓練に活かし、
治療的に役立てて、働きかけていこうとしているのである。
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