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2003.11.04 vol.1
  〜記念すべき最初のお話は、少し衝撃的です〜

!!!自己判断で、歯のトラブルを放置するのは!!!
    !!!絶対にやめてください!!!
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 『これは事実です』

 私が開業して5ヶ月経とうとした時の事です。34歳の男性の患者さんががひょっこり来院されました。
今年の2月に右下の小臼歯が欠けたらしくそのままにしていたんだそうです。
 それが舌に当って傷になってしまったそうなんですが、「口内炎だろうな」と患者さん自身が思って市販の軟膏を塗っていたのです。(実は当時フリーターで、保険証もなかったから歯科医院に行けなかったそうです。)
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 ところがだんだんひどくなってきたので、8月に近くの歯医者さんで、その歯を抜いてもらったとのこと。しかし逆に、その「口内炎」は急激に大きくなって、気になって、次に私の歯科医院に来られたわけです。
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写真はこんな感じです。右の頚部のリンパ節も3個腫れている様に触診で感じました。


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…「口内炎」ではないのではないか。イヤな予感はしていたのですが、正直診せていただいた時「間違いないな」と思いました。
炎症も起こしているので、実際の患部の大きさははっきりわかりませんでしたが、舌の真ん中まで及んでいるなと思いました。さっそく組織検査をしたら「扁平上皮癌」…つまり舌癌でした。


 検査結果が出てすぐ、ご両親を内密にお呼びして「舌癌で本人の話から察するに急速に大きくなっている。一刻も早くちゃんとした施設でちゃんとした治療を受けさせたほうがよい!そのためにはご本人を説得せねばならないが、ご本人をよくご存知である御両親に来ていただいたのは、そのサポートをお願いしたかったためです」と伝え、十分な面接時のシナリオを練りました。
 後日ご本人同伴で面談して「口内炎だが、一部悪性化しつつある細胞がある。年齢が若い、これからの人生は長いから、厳しく診断・治療してもらえる施設の方が良いのではないか?」とお伝えし、(いきなり「癌です」と言うとショックで治療拒否してしまう方が少なくないのです)県立がんセンターの耳鼻咽喉科へ紹介となりました。
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「歯医者なのになぜ耳鼻科へ?」と思う方も多いと思います。実は、診たときに、舌の後方まで癌ではないか、もしかして中咽頭(ノド)まで達しているのではと思ったんです。
 これが、歯科診療で厳しく診断する施設である、大学歯学部付属病院へ紹介すると、もしかすると口腔外科と耳鼻科で主導権争い(誰が手術するのか)になって手術の時期が遅くなって手遅れになるかもしれない…と思ってしまったからです。
(そう言う大学病院勤務時代のお話は、また次の機会に・・・・。)
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がんセンターで他臓器(肝臓とか肺)転移がないのが確認できて「どうしますか?」と担当医が聞いたところ「手術してください」とご本人・ご家族両方のお答えでした。紹介して16日後、全身麻酔にて右の頚部リンパ節の切除・右半分の舌切除・腹直筋(お腹の肉)による、切除した部分の再建(補充)をしました。予定手術時間は大体8時間との事でした。(私が前居た職場では大体12時間程度です。これは施設毎に微妙にやり方が違うためです。)
(実は「もう全身検査が終わった位だろうな。様子や検査結果が気になるな」と思い立ってがんセンターに行ったら、看護婦さんに「今手術中です」と。事前に電話して置けばよかった。反省。)
 手術直後科長先生のご厚意でICUにお邪魔させていただきました。
「私が説明した通り・いえそれ以上の仕上がりですよ、お父さん」と同席したお父さんに話しました。実際そうでした。つくづく「がんセンターに紹介して良かった」と思いました。
・・・ちなみに手術後5日目の今日ですが、経過は良好です。
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このお話を聞いて、どう感じました?
恐らく「30代半ばで癌!?」と思う方が大半だと思いますが、今現在、某がんセンターには20歳代の舌癌患者さんがいます。私が大学病院にいた頃は私と同じ年齢で上顎癌が脳まで達している方もいらっしゃいました。 私の場合、口内炎か、それ以外の疾患かの見極め期間は2週間程度にしています。ほとんどは一目瞭然ですが、たまに微妙なものもあります。その場合口内炎であれば専用軟膏を2週間使用してもらう、歯肉炎なら抗生物質をまずは3日間を一区切りに何回か薬剤を変えつつ反応を見ていきます。2週間たっても変化が無いときは「米粒くらい取ってみて、検査して調べさせて貰えませんか?」
 また一般の開業医さんで癌に当たる確率は歯科医師人生で1・2回くらいしかないといわれております。ただもしかすると「見逃しているだけ・わからないだけ」かもしれません。
 人間って自分が認識できるものしか認識できないから、です。
 私みたいな歯科医師は「まれ」かもしれませんので何とぞご理解のほどを・・・
口内炎でなかなか治らない時は、ためらわずセカンドオピニオンです。失った時間は取り戻せませんから・・・。

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皆さんの情報収集の一助になれれば幸いです。