原因

 ナルコレプシーが発症するメカニズムは、まだ完全に解明されていませんが、活発な研究が行われており徐々に解明されつつあります。(2001年2月20日現在)

現在では、遺伝的要因とストレスなどの環境的要因が重なり発病すると考えられています。神経ペプチドの一つである「オレキシン」(ヒポクレチンともいう。)や「HLA」(人白血球抗原)とナルコレプシーとの関連性が示唆されています。

            各種過眠症652例のHLA-DR2頻度
過眠疾患 症例数 HLA-DR2陽性(%)
ナルコレプシー 433 430 (99.3%)
真性過眠症候群 154 74 (48.1%)
特発性過眠症 25 11 (44.0%)
睡眠時無呼吸症 29 8 (27.6%)
反復性過眠症 11 0 (0.00%)
一般日本人 461 159 (34.5%)
参考)
中山書店
臨床精神医学講座 第13巻  睡眠障害 ナルコレプシー
本多 裕著
p-226

■オレキシンについて

昼食後眠くなることや、空腹で目が冴えて眠れないことは誰もが経験しますが、これらの現象とオレキシンとの関連性が示唆されています。オレキシンとは、1998年に発見された新規の神経ペプチドのひとつです。動物の摂食行動の制御、覚醒レベルの上昇他、様々な作用が観察されています。

  • 摂食量の増加
  • 飲水量の増加
  • 覚醒レベルの上昇
  • 自発運動量の増加
  • 常同運動の顕在化
  • 交感神経の活性化
  • 胃酸分泌の増加
  • 血中コルチコステロンの増加


■参考

 スタンフォード大学のミニョー(Emmanuel Mignot)のグループは、犬でナルコレプシーに関与する遺伝子を発見しました。そのナルコレプシー犬では、「オレキシン」(ヒポクレチンともいう。)という神経伝達物質の受容体に突然変異が見られたそうです。つまり、ナルコレプシー犬の場合、突然変異のためにオレキシンに正常に反応できないことをつきとめたということです。
 テキサス大学ダラス校サウスウエスト医療センターのハワード・ヒューズ医学研究所の柳沢正史(やなぎさわ・まさし)らはオレキシンを生成できないマウスを作ることに成功しました。このマウスには入眠時にレム睡眠が現れるなどのナルコレプシーに特徴的な症状が見られたそうです。

 さらに、ミニョーのグループは、ヒトナルコレプシー患者の脳6例を組織学的に調べた結果、オレキシンニューロンがほとんど消失していることを発表しています。これらの結果より、ナルコレプシーでは病態の成立には、オレキシン神経の消失が大きく関与していると推測されています。


参考)
日経サイエンス2000年4月号p-22「突然眠りにおそわれるナルコレプシー」
組織細胞工学2000年11月号p-2「オレキシン研究の新展開」
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