| チューブを入れる処置は手術と呼ぶほどの大げさなものではありません。直径1センチほどのゴム管をわき腹から挿入し、肺の外側にたまった余分な空気のところに先端を持っていきます。一方、体の外側のチューブの先端は空気溜め(肩から提げるもの、床に置くもの、弁のついたもの、水のような液体がはいったものなど、国によっても病院によって様々)につなぎます。局部麻酔の場合と全身麻酔の場合があるようですが、処置そのものは、数十分から1時間以内で終わるものと思われます。
処置後は、チューブを通して、余分な空気が外に出て行きます。これによってひとまずは呼吸がほぼ平常状態にもどり、安静が保たれます。そして空気溜めを携帯すれば、自由に歩くことができ、病院を移るチャンスも、飛行機に乗る自由も得られます。ですから、この時点で同国のさらに良い病院に移ることや、途上国の場合、日本への帰国も含めた、先進国への移動を考えることが妥当だと思います。飛行機に乗る場合は、医師の同伴が必要かと思われますが、保険会社に相談すれば、適当な対応が得られます。
しかし、この判断は簡単ではありません。
なぜなら、この処置だけで肺の穴がふさがり、治療が完結してしまうことがあるからです。処置後3日から1週間で空気漏れがなくなると、肺がだんだんと膨らんでもとの大きさに戻ります。そこでチューブを抜き、1、2日空気漏れがないことが確認できれば退院です。少なくともチューブを入れる時点では、このような経過を目標としており、その意味では単なる一時しのぎではなく、積極的な治療と言えます。医師は、処置後の肺の大きさの戻り具合を注意して見ている(レントゲンは毎日撮る)はずですから、順調にいっているかどうかを毎日確認して下さい。もしかすると処置の翌々日くらいには、「とても順調です。このままだといついつくらいにはチューブを抜けるでしょう」と言われるかもしれません。そしたら、病院を移ることは考えなくていいことになります。
問題なのは処置後3、4日経っても、肺があまり大きくならなかったり、1週間くらい経ってもまだ空気がちょろちょろと漏れ続ける(空気溜めの水泡や弁の動きなどで確認できる)など、チューブが抜ける見通しがたたない場合です。8日くらいしても空気漏れが続く場合、その後は手術で穴をふさぐしかありません。そしてさらにつけ加えると、9日以上チューブを入れたまま様子を見ることは無意味なだけでなく、感染症の危険があるという理由で避けなければなりません。
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右脇腹からチューブが出て、水槽につながっています。 |
だから、その段階で病院を移りたいと思っても、移動と新しい病院での診察に要する時間を考えると、あきらめざるを得なくなります。
つまり病院を移るかどうかの判断は、チューブ挿入の後の限られた日数のなかで、しかも肺の回復の経過を参考にしながら決めなければならない、微妙なものなのです。
チューブ挿入後は、傷口の痛みや異物感、空気溜めを持ち歩くわずらわしさがあるにも関わらず、医師からは、肺の運動のために深呼吸や軽い運動を指示されます。慣れない海外入院では、こうした生活じたいが負担となり、病院を移る気力が失せることもあるでしょう。「そのうち穴はふさがるだろう」というつもりでついつい8、9日目になり、気がついたらもう病院を移れなくなる、とったケースも想像できます。
しかし、この処置の次には穴をふさぐ手術が待っていることを忘れてはいけません。ぜったいに医療先進国で受けたほうがいい手術です。その後の再発率に関わる大事な手術です。ですから病院の変更は、冷静に、かつすばやく、思い切って行わなければなりません。
病院や医師についての情報を集めるにはインターネットが適しています。まず、googleなどの検索で当該病院のホームページを探します。ある程度の病院であれば、ホームページを開設していて当然ですし、それを見れば、だいたい、どれくらいの医療水準にあるか、イメージがつかめます。病院によっては、ホームページ上に、医師のプロフィールを載せてる場合もあるでしょう。続いて、自分が掛かりそうな医師も、検索エンジンに入力して、調べます。学会の名簿に当たったり、論文が引っかかったりしたら、その医師の活躍ぶりがわかります。逆に、googleで何も引っかからなかったら、ちょっと不安になっていいくらいだと思います。 |