第4部 排便

3月23日:排便
朝食後、若干の便意があったので、少しだけ試してみる。うぅ、ダメだ! やはり診察を待とう。
ナースコールで呼ばれ、今回は液体の浣腸だ。2〜3分の我慢が精いっぱいで、結局一気に水分だけでてしまったみたいだ。だましだまし少しづつと考えていたのに、あまかった。しかし、ウォシュレットで洗浄していたら、またもや便意が。痛みを感じると同時に全てが終わった。ただ痛みだけが。診察室にもどって軟膏をつけてもらう。
部屋にもどり痛みに耐えて横になった。熱くヒリつく痛みは午後になっても続き、また明日の朝に待っている排便のことを思うととてつもない憂鬱が襲いかかってくる。
その憂鬱に耐えきれなくなって、また煙草を吸いに行くことにした。尻を押さえ、猫背ぎみにゆっくりと階段を降りていく。喫煙所では「術後最初の排便だった」「痛くてたまらない」という話題以外、なにも話すことがなかったが、患者の1人からプルーンジュースが便を軟らかくすると聞き、飲んでみることにした。
夜9時に回ってくる看護婦さんに今日の便のことを聞かれ、硬くてポロポロだと話すと緩下剤をくれた。とりあえず2錠で試してみることになる。ついでに夜の分の鎮痛剤ももらう。

3月24日:ウズラの卵
朝食後にわかに便意が起こったので、鎮痛剤が効く時間まで待ってからトイレにいくことにした。
力む。出さなければもっと辛いはずだ、と自分にいい聞かせながら力む。しかし怖い、肛門が広がるにつれて激痛が襲いかかってくる。それでも手術直後の痛さから比べれば、少しは楽なのか? 恐る恐る力を入れてみると、腸のなかをゆっくり便が下がってくるのが感じられる。うぉ〜〜〜、いたぁ〜〜〜い。肛門から全身が引き裂かれていくようだ! あと少しで出るところまで便が降りてきているのに。あと一歩なのに。最後の力みができない。ひとふんばりするのが怖いのだ。しかしここで止めたら元の木阿弥。意志の力を振り絞り、全身全霊を込めて、うぅ〜〜〜ん。やがて、カチンカチンのウズラの卵が出た。気づくと全身にびっしょり汗をかいていた。忘れずに患部をウォシュレットで洗浄。
診察後もまた便意があった。力む。全然慣れることができない。やっぱり怖いし、痛い。ウズラの卵が2つ。
昼食を摂り薬を飲むと、またもよおしてきた。痛みをこらえて少しだけ力む。スルスルスルっと、今度は練り歯磨き状の便が15センチほど出た。練り歯磨きだったせいか、あまり痛くはなかった。
1時間経過。まただ。……あまり何回もしては良くないのかな? 気になってきたのでナースーコルで聞いてみると「したくなったら我慢せずに出してください」という。スルスルスルっと、練り歯磨きが便壺……便器の水が溜まる部分……に山盛りいっぱいになるほど出た。プルーンジュースと緩下剤が効きまくってしまったようだ。排便自体の痛みはあまりなかったが、肛門の熱いヒリヒリ感は逆に増してくる。鎮痛剤も効かない。
夜9時に看護婦さんがきて傷の確認後、出すぎたようだから下剤はやめるように、と指示された。鎮痛剤と安定剤をもらう。

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