上行大動脈瘤の治療とBentall手術

最大径5cmを超える大きさの瘤に対しては,破裂の危険性を考えて積極的に手術治療が選択されます.手術は通常胸骨正中切開で行われます。

上行大動脈の根本には大動脈弁があり,その上数cm以内の部位からは心臓の筋肉を栄養する冠動脈が左右1本ずつ分岐しています.ここまでの部分は特に大動脈基部と呼ばれますが,同部が瘤化してしまうと,大動脈弁輪の拡張によって弁尖が合わなくなり,弁逆流を生じる場合があります(大動脈弁閉鎖不全症).このような病態に対して手術を企てる場合には人工血管と人工弁(通常は機械弁)をあらかじめ縫着して作成したもので大動脈弁輪〜上行大動脈を置換し,この人工血管に左右の冠動脈をつなぎ直して再建する,という方法(この方法を大動脈基部置換術,あるいはBentall手術と呼びます)が必要になります

上行大動脈瘤に対する手術は未破裂であれば,通常の開心術と同等の安全性で実施することができます.超高齢者や合併症のない症例であれば手術死亡率(手術を契機として死に至る確率)は5%以下です.いっぽう破裂してしまえば緊急手術まで間に合わないことがほとんどで,間に合っても死亡率は50%を超えますので極めて危険という事になります  

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