★手術前の症状は?


大動脈の付け根部分(バルサドル洞)に先天性の奇形(動脈瘤)があり、長い間に、風船のように膨らみパンク寸前。(膨張幅は開胸手術で判明)そのため

(1)心臓から身体中の血液を送り出す「大動脈弁」が閉まらなくなり、血液が逆流(弁そのものと弁輪自体も変形していた)=逆流量は約50%

(2)逆流をさらに押し返すため、心臓が肥大し(心室負荷)心不全の一歩手前。

(3)バルサルバ洞から枝分かれしている冠状動脈(大動脈から枝分かれし、心臓そのものに血液を伝えている動脈)が、バルサルバ洞の膨張に付随して心臓からはがれてしまっていた。

 

★バルサルバ洞動脈瘤とは?

 

Valsalva洞動脈瘤は3つのValsalva洞のいずれか,または複数の洞の壁が脆弱となり瘤状に拡大したもので心腔に破裂する危険性があり,破裂すれば左右シャントが急激に形成されて急性に容量負荷を生じ,しばしば重症の心不全を生じる.
 Valsalva洞動脈瘤破裂の発症はそれほど多いものではなく,先天性心疾患手術のおよそ0.26%を占めるのみである.動脈瘤破裂は男性に多く,平均30歳前後である.Valsalva洞動脈瘤はValsalva洞の壁が脆弱であるために生じる.その原因は確定されていないが,炎症や感染,中膜壊死によるものを除けば,ほとんどが先天的なValsalva洞の脆弱性に由来するといわれている.ま
 一般的にValsalva洞動脈瘤破裂の症状は,破裂口の大きさにもよるが突然のはげしい前胸部痛や呼吸困難によるものが多いが,その原因は心室細動である.

 

★私の受けた手術内容は?


大動脈基部の再建手術(Bentall手術)=具体的には大動脈の付け根(バルサルバ洞)の動脈瘤を切除+上行大動脈を人工血管に置換・大動脈弁を人工弁に置換+人工血管の一部をくり抜いて冠状動脈に縫い付けた。開胸して分かったこと、
@バルサルバ洞の動脈瘤が予想以上に膨張(心臓と同じ大きさ)していたこと

A剥がれてしまっていた冠状動脈の付け根がどす黒く変色、ぼろぼろになっていたこと

などにより、予想以上の出血があった。このため事前に、自己血で貯血を3回に分けて行い用意していたが賄えず、大量の日本赤十字社献血輸血が施された。手術は困難を極め「人工心肺を使って行う心臓停止状態」で行う限界(制限時間を超えると心臓は蘇生しない)に迫る時間を要した。