
「日常という名の残像」 今日も雲は流れる いつもと変わらないまちを見下ろしながら 都会の喧騒から遠く離れたこの場所で 人知れず、小さなため息が漏れる それに込められた哀しみの想いは 風に乗り、海を渡って いつか再びこの地にたどりつく
両手にすくった、思い出という名の透明な砂 けれどそれはその行為を拒絶するかの如く きらきらと輝きながら、指の間から零れ落ちる そして記憶は幾千年の時間を経て 累々と受け継がれる 彼女は思いを振り切った 彼女の漏らしたため息が再びこの地にたどりつく前に 前を向き、歩き出さねばならない それは彼女が自分に課した、約束だから 幾千年の時間を経た生命の鼓動が、 聞こえた気がした いつもと変わらないまちの上を 今日も雲は流れる




