小児気管支喘息

1、喘息は増えています

最近の10年間で1.5倍に増えたとの報告があります。

学童期では約5%(20人に1人)に喘息があると言われています。 

喘息はなぜ増えているのでしょうか

 原因として、住宅環境の変化(ダニの増加)、ペット保有者の増加、大気汚染、食性格の変化、スギ 花粉、ストレスの増加などが考えられています。高温、多湿の住宅環境のため、ダニが年中繁殖しやすい状態です。

2、喘息ってどんな病気?

●喘息とは、気管支が狭くなり、息苦しくなる病気です。

●夜間に発作を起こすことが多く、呼気性(息をはく時)の呼吸困難を起こし、それを慢性に繰り返し、また様々な刺激に対して過敏になります。夜間に発作の多い理由はダニとの接触、分泌物(痰)がたまる、ホルモン、自律神経の関係などです。

●季節的には、春、秋に多く、理由としては、ダニの繁殖(春に繁殖し、秋に死んで死にダニとしてまき散らされてしまいます)、気温、気圧の変化(台風、低気圧の通過など)などが考えられています。

●原因となる物質で最も多いのは、ダニで8割、その他、カビ、花粉、ペット、食品などがあります。

●気管支では、気管支平滑筋の収縮気管支粘膜の浮腫気管支分泌物の増加という変化が起こります。

3、アトピー性皮膚炎と喘息性気管支炎・喘息の関係

アトピー性皮膚炎喘息も、同じアレルギーの病気ですので、アトピーがよくなった後で喘息になったり、アレルギー性鼻炎になったり、あるいは並行してなったりすることがあります。つまり根本は同じと考えてください。しかし、必ずしもアトピーになった人がすべて喘息になると言うわけではありません。恐れてばかりいる必要はありません。

●喘息性気管支炎とは、乳幼児に風邪の時にゼイゼイとすることです。この時期は、気管が狭く、痰もしっかり出せないなどで喘息のようにゼイゼイしますが、3〜4歳になると気管が太くしっかりし、痰も出せるようになり治ってしまうことが多くあります(約8割)

4、喘息の治療(発作時)

喘息の発作の時の治療は、気管支を広げ、痰をだすことです。そのために、水分を十分にとり、腹式呼吸を行い、適切に薬を服用します。そして薬の作用、副作用を理解し、今発作を起こしている子供に、どういう薬が必要で、どういう薬が必要でないかを判断できるようにしてください。

●家庭で行う処置

1、コップ1杯か2杯のを飲ませる。

2、腹式呼吸を行う。

3、痰を出させる。出しにくい時には胸や背中をたたいて出しやすくする。

4、部屋の空気を入れ換えたり部屋をかわったり、外に出てみるとおさまることもあります。

腹式呼吸の利点・・・横隔膜を押し上げることで、息を出しやすくします。

薬としては

@気管支拡張剤  β刺激剤      ベネトリン、ホクナリン、メプチンなど

            キサンチン製剤  テオドール、テオロング、スロービット

A去痰剤                  ムコソルバン、ムコダイン、ビソルボンなど

次のような症状がみられたら、急いで医師の診療を受けてください。

1、お薬を飲んだり吸入しても呼吸困難がよくならないか、よくなってもすぐに悪くなる。

2、はきけ・嘔吐がひどくて、水や薬を飲めない。

3、横になって眠れず、座り込む(起座呼吸)

4、のどの下やみぞおちがペコペコへこむような呼吸をしている(陥没呼吸)

5、唇や爪が紫色になってくる(チアノーゼ)

6、話しかけても会話が出ない。また興奮してり、暴れたり、意識がもうろうとなったりする。

5、喘息の治療(非発作時)

1、薬物療法  @経口抗アレルギー剤  ザジテン、リザベン、セルテクト、アゼプチン、アレギサール、トリルダンなど。

          A吸入抗アレルギー剤  インタール、インタール+β刺激剤

          B吸入ステロイド      アルデシン、ベコタイド

          Cテオフィリン製剤のRTC療法

2、抗原の除去  生活環境の整備・・・ダニ・カビ対策、室内環境、建築構造に関する対策。食物アレルゲンの除去。

3、鍛錬療法    皮膚の鍛錬―乾布摩擦、冷水摩擦、薄着など。

            呼吸の鍛錬―腹式呼吸、喘息体操、音楽療法など。

            身体の鍛錬―水泳など。

            精神の鍛錬

6、その他

●PEF(ピークフロー)

最大呼気流量。気管支が狭くなっている程度をあらわすものです。喘息のコントロール状態が正確に、かつ視覚的に理解できます。

   ピークフローメーターの正しい使い方

    ・いつも同じ姿勢で、ふつうは立って測定

    ・舌の上にマウスピースをのせ、唇のふきまから空気が漏れないように、しっかりとくわえる。

    ・できるだけ勢いよく、一気に吐き出す。

    ・3回行い、最高値をその時のピークフロー値とする。

●喘息日誌

自覚症状、薬の使用状況、PEF値などを記載して、コントロールの指標とします。

●吸入療法

薬剤を直接気管支に噴霧するため、経口剤よりも少量(10分の1以下)の量で効き、全身的な副作用が少ない。経口剤よりも速く効く(経口剤で約30分、吸入剤で約5分)。吸入器には、定量噴霧式吸入器(ハンドネブライザー)・ジェットネブライザー・超音波ネブライザーがある。

   スペーサーを用いた定量噴霧式吸入方法

    ・坐位または立位で吸入する。

    ・定量噴霧式吸入器のキャップをはずし、約5秒振る。

    ・ボンベの底を強く押して、スペーサーの中に吸入剤を満たす。

    ・頭を少し後ろに傾け、スペーサーを口にしっかりとくわえる。そして約5秒かけゆっくりと吸い込む。

    ・息を吸い込んだところで、約10秒間息を止める。

    ・できるだけゆっくりと息を吐き出す。

    ・一度に2吸入するときは、できれば1分間(少なくとも20秒間)の間隔をあける。

    ・うがいをする。

7、治療のゴールをどこに求めるか

小児気管支喘息では70%前後が治癒し、残りは成人期に持ち越すといわれています。気管支喘息をできるだけ早く治癒させるためには、発作の発症をおさえること(予防)、一度始まった発作をしっかりと抑えることが大切です。そのために、本人も親も、喘息とはどういうものか、使用している薬はどういうものなのかをしっかりと理解してください。また主治医と信頼関係を築き、自分が十分な理解を得られるように主治医と話し合ってください。

喘息という病気は医療スタッフの一方的な治療によって治るものではなく、本人、親、医療スタッフがよい関係となり、喘息と友達になるような気持ちで対応できれば、必ず治っていく病気なのです。

 

 

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