|
光(ひかる)は小学校3年生。性格は暗くいつもクラスのみんなにからかわれ、つらい毎日を送っていました。両親は共働きで仕事が忙しく夜遅くまで家に帰って来ません。いつも一人ぼっちでした。 ある日のこと、川の土手で一人遊んでいる光に同じ年ぐらいの見慣れない少年がやって来ました。気軽に話しかけてくる少年にはじめは敬遠していた光も次第に打ち解け、あっという間に仲良くなりました。 少年の名前は来人(らいと)といい、年齢の割にはなぜか大人っぽく不思議な魅力を持つ、どことなく光に雰囲気の似た顔つきの持ち主でした。 毎日のように土手遊ぶで光と来人は自分の身の上まで話し合うまでになりました。一人ぼっちの光に比べて来人は友達も多く両親にも沢山の愛情を注がれていることがわかりました。「どうしてこんな僕にかまってくれるんだい」という光に対して来人はこう応えました「きっと光もなれるさ・・・」と。 数日後、事件は起こりました。川で釣りをしていた光が足を踏み外し川へ転落してしまったのです。溺れて必死にもがく光に来人が飛び込みました。そして光を土手に救い上げた後、来人は力尽きて流されていきました。 数十年の月日が流れ、光は立派な大人になりました。立派な奥さんをもらい、お腹の子供はもう生まれるのを待つばかりです。お腹の撫ぜる光の後ろのテレビからはさりげなく"タイムマシン実験成功"の文字が踊り博士が記者会見をしているところが映っていました。そのとき、奥さんの様態が急変しました。「あなた、生まれるみたい。」そして・・・ 病院で光の子供は元気な産声を上げました。立派な男の赤ちゃんでした。奥さんに抱かれる赤ん坊を見て光はなぜか懐かしい気持ちになりました。そこへ看護婦さんがやって来ました。「お手紙が届いてますよ。」 手紙を受け取った光は早速読み返しました。"光お父さんへ、突然の手紙で驚いたと思いますが、僕はそこにいる赤ん坊、あなたの子供です。どうしてこんなことが?と思っているでしょうが、僕と同じ誕生日、今日にタイムマシンが開発されたのです。そして10年後、小学3年生になった僕は、類まれな才能によりパイロットに選ばれたのです。そこでいつもお父さんに聞かされていた命の恩人のことを思い出し、その人に会ってお父さんを助けてくれたおかげで僕が生まれたことを伝えようとおもいました。でもそういった人はなかなか現れませんでした。同時にそれは僕なんだ。と気づき、大好きな僕がお父さんを救ってあげるんだ。と決意しました。 そして事故の前日にこの日に届くように手紙を送ったのです。この手紙を今読んで事情を知ってもらったのは10年後の僕旅立ちをとめないでほしいからです。きっとお父さんは猛反対するでしょうが、僕が助けないとお父さんは今現在存在しなくなってこの後生まれてくる弟や妹も消滅していなくなってしまいます。どうかこの僕を許してください。そして、この世に存在させてくれたお父さんありがとう。"小学3年生とは思えない達筆なものでした。 溢れる涙を拭い光はこう言いました。 子のこの名前は 来人 だ おしまい。 |