第六十九回 お題:「手紙」
409 名前:『たゆたう』 1/2 投稿日:04/06/28 12:37 ID:t7wUechl
出せない手紙が部屋に満ちて
その上でぼくはぷうかぷうか浮かんでいるのです
もうすでに
窓は深く海中に沈み込み
かろうじて
外から聞こえてくる笑い声と
時折団地の向こうを走る電車の音で
まだ間に合うと自分に言い聞かせるのです
部屋は暑く
換気もきかないので
ダラダラと手紙に汗が染み込んで
滲んだインクで
濁った波間に揺れて
上部だけを僅かに覗かせた扉を
横目でぼんやり見つめていると
あの向こうには誰かが立っていて
ノブに手をかけているんじゃないだろうかと
不安に息を殺すのです
410 名前:『たゆたう』 2/2 投稿日:04/06/28 12:37 ID:t7wUechl
聞いてください
それでもここは
どろりとした海中に潜ると
すぐに光は届かなくなり
腐ったような異臭に身を包まれますが
膝を抱えると
とくんとくんと体が揺れて
とても心地よいのです
聞いてください
それでもぼくは
いつか
手紙の海にすっかり溺れてしまう前に
扉を開けて欲しいのです
チャンプ作品に対する批評
ななほし ◆lYiSp4aok.
3点
手紙がこんなにも危険なものとは……ガラスのような鋭さがある。泥沼??
MUJINA ◆iXws.WGCLY
1点
「手紙の海」はいろんなもののメタファーととれるが、私は、文字の世界、言葉の世界、
作者の頭の中の言葉の煩悩に苛まれる一方で、言葉と戯れることで孤独を癒す自我世界、
と取ってみた。部屋の外の世界=他者の世界への期待と不安の葛藤がうまく描かれていて、
いい詩じゃん。前回の寸評では392の「目覚めず、されども」との類比で言いがかりをつけたけれど、
ごめん。お詫びして訂正いたします。
シオン ◆poetsyov/2
2点
題名どおり、矛盾した思いの渦に迷い漂うような雰囲気がいいですね。
雅 ◆joTrwjtjUg
1点
ちょっと泥臭い感じと、緊張感と、暑苦しい感じと…色んなものが交じり合ってる。
でも、その割りに凄くすっきりして上手にまとまってる。
その技量はすごい。
Canopus ◆DYj1h.j3e.
2点