第七十二回 お題:「窓」
チャンプ作品
GON ◆rOo2fYBBKk 
572 名前:祈り 投稿日:04/07/27 13:06 ID:0dfDIIkx

鶴を折った指も 折られた鶴も 
テーブルの上から飛び立つことはなかった 

握り締められ鶴の傍らで蹲った指 
祈りだけが 一度身震いして飛び去った 

午後の窓外は晴れている 
ヘリの音が空気を揺らす 

空のひびのような梢を少女は見上げた 
そしてここにはいない鳥のことを思った 
 

 

チャンプ作品に対する批評

MUJINA ◆iXws.WGCLY
3点
一読してグッときた。引き込まれた。いい詩だな、ってみんな思ってるんじゃあないかい。 
感想・雑談スレの反響も早かったし。 
ポイントは2点。第3連の「ヘリ」と、第4連の「ここにはいない鳥」だろう。 
まずは、「ヘリ」から。あえてこの詩にケチをつける人は、ここだろう。アンバランスや 
唐突さ。必然性の問題。BUT。私は全然問題ない、むしろ、この「ヘリ」が飛んで 
きてくれて、よかった、アリガト、と思う。 
理由その一。 
第1、2、4連の最後の「った」という脚韻から転調していて、「揺らす」と現在形で 
書かれていることで、よいアクセントになっていると思う。このような破調があるから、 
脚韻は生きる。 
理由その二。 
紙の折り鶴と金属のヘリとの対比。これは材質による対比ばかりでなく、ヘリを持ち出す 
ことで思わぬ効果を生んでいる。それは、少女の祈り(その背後にある苦しみ、痛み)が 
第1,2,4連の印象では、ややもすると物語や過去形で表記したことで、遠い過去の 
の卑小な世界に後退してしまうところを、救っている。つまり、現在形でヘリが飛翔する 
情景をカットインすることで、(作者の意図はどうであれ)これは、現代の、私たち 
が生きるこの世界の現実に根ざすものという実感を呼び覚まし、「いま・ここ」と繋が 
ってくる。 
次に第4連の「ここにはいない鳥」について。 
これは何かのメタファーとして作者は描いたのかもしれない(おそらく、そうだろう)。 
だけど、たとえば、自分の理想像(病弱の自分に対して、健康になった自分)、あるいは 
少女の恋人などの隠喩と読むのは読者の自由だが、私はあえてイメージを限定しない 
ほうが、かえってこの詩の持ち味が生きる、と思う。 
ともあれ、何となく書いたさりげない詩のようでいて、実は意識的にかはともかく、 
細部にまで計算し尽くされた詩、内容はもちろん、技術的にも優れた詩と感嘆しました。 

わに ◆Wani6uvhK.
2点
祈りは本当に完成された詩だなあ。くやしい。表現もきれいだし。 
しかもお題出されて3時間で仕上げてます。職人ですね。 
才能に嫉妬しつつ2点差し上げます。 

むこうの317 ◆317..n/Ke6 
2点

ななほし ◆lYiSp4aok.
2点
すっきりまとまっていて、広がりがあり、よくイメーシが浮かんでくる。 

大木人 ◆KMcEIGIRgE
2点 
これを読んで真っ先に想起した言葉が「ヒロシマ」でした。 
この時期ですし、サダコ像修復のニュースを聞いた後なので…。 
もしかしたら「ここにはいない鳥」とは平和の暗喩? 
だとすると個人的な「祈り」ではないのかもしれません。 

 

 

 


 

準チャンプ作品
(名無し)
586 名前:おじいちゃんの額縁 投稿日:04/07/30 18:36 ID:3lHW3EUD

白と黒の縁に彩られて 
おじいちゃんは困った顔をしている 
ママはお客さん相手にばたばたしてるし 
パパはおじさんとコップ酒片手にむずかしいお話している 
主役のおじいちゃんはただただ困った顔をしているだけ 

動けなくなってからも 
おじいちゃんとはいろんなお話してた 
たまにこっそりお小遣い貰ったりもしてた 
リビングと一続きになってた 
おじいちゃんの寝てた部屋は 
リビングの声がよく聞こえてた 
だからパパとママの口論も きっと全部聞いてたんだね 
動けなくてつらくてもじっと聞いていたんだね 

おじいちゃんが何を考えていたのか知りたくて 
そのベッドに横になってみた 
窓からは切り取った小さな空と 
もくれんが日差しに透けて金色で 
まぶたの上を優しくなでてくれる 

お葬式 
僕はおじいちゃんの気持ちになってお昼寝をした 
写真の中のおじいちゃんは 
あいかわらず困ったような笑顔を見せてくれている