第七十六回 お題:「〜がない」
146 名前:丘に座って 投稿日:04/09/14 11:48:09 ID:hSGPY6Vt
詩が空を見上げ
詩が煙草を吸っている
いまいちな喩と不細工な韻を抱えて
詩が途方にくれている
これは と
地べたにはいつくばって詩人は目を見張る
なんという精巧な細工だろう
本物の芽 本当に生きることばかりを望む 世界の欠片
綿毛の先まで微細に見てから 詩はおそるおそる顔を上げる
いったい ああそしていったい これがどこまで続くというのか
誇らしげな真新しい緑色に包囲されながら
詩はここで言葉を失う
何を言うことができるというのか 世界とまっとうに対峙しようとするほど
失語症に陥る人の
新しい名前が右から左へ行き交う現場を
ただ生きる人の その目の前で
世界から消える声が空に響いている
世界に生まれる声が雲を消している
詩人は聖人じゃないからただそこで言葉を失っている
そして新しい、本当に新しい自分のための言葉が生まれやしないかと目を見開いたまま
詩が空を見上げ
詩が煙草を吸っている
チャンプ作品に対する批評
ななほし ◆lYiSp4aok.
2点
地べたに……と出てくるタイミング。いい!
Canopus ◆DYj1h.j3e.
1点
詩の擬人化が効果的。詩人はこの詩では、もしかしたら不要だったかも。
ame ◆yUHAxrOw2c
3点
彼らが皆言葉を失ったことに全てを費やした後はどうしようもないことですから、
それから必死に逃げるための詩だとぼくは思うのです。
ぼくらは同時に何が本当かを知ることはないはずなのですが。
MUJINA ◆iXws.WGCLY
2点
本当に感動的な風景に出会ったとき、ひとは言葉を失う、というか、言葉を発したくなくなる。言葉の
ウソで風景を汚したくない。詩の言葉なんて弱いもの。これを自覚しているところが
素晴らしい。それでは、作者に問う。「本当に新しい自分のための言葉が生まれ」るには
どうすればいいい? 答えは詩で書いてね。
園川 ◆nWfXpQxHHM
2点
4連目で少し混乱した。失語症に陥ってるのが詩から人々に移動していたため。
5連目の雲を消す言葉とは詩の言葉、響く言葉は真っ当に生きてる人の言葉という事だろうか。
構成は退屈だが爽やかな世界を作り出す言葉の選び方はいい。
詩人にとって常識でなければいけない認識、だがそれを新鮮に捉えなおす事に意義はある。
が、やはりそこから開かれる戦端を少しぐらいは見せてほしいとも思う。