第七十七回 お題:「恋愛詩」
チャンプ作品
イタチ小僧 ◆8rr1u/54T2
247 名前:なめくじの結晶(1) 投稿日:04/10/01 10:03:15 ID:0MulMqBh
エリカが口を開けたら
僕は指を入れよう
強く噛まれる痛みか
甘く包まれる痛みか
どちらにしろ
そうして僕はふたつに割れて
君を割れ目に閉じ篭めるんだ
発情したなめくじみたいに
ビール缶が稲妻で裂けて
白い天上に「恋愛」の影を描く
そんなことも知らないでエリカ
教会みたいに行儀のいいベンチで
子供みたいにあくびして伸びるくちびるは
僕が未来に描いた影に似て
僕は慌てて席を立つ
オレンジジュースが似合う君に
カルピス曹達(ソーダ)を買ってきて
寒いからとコーヒーカップに入れ換えて
ジャンパーの胸で温めながら
帰ってみれば君はいない
それきり君がいない
248 名前:なめくじの結晶(2) 投稿日:04/10/01 10:03:50 ID:0MulMqBh
今度エリカが口を開けたら
僕は拳を入れよう
そうすれば二度と君を失うことはない
強く噛まれる痛みか
君の歯を砕く痛みか
どちらにしろ
そうして僕らはひとつになって
妄想をやめて窓を見よう
滴に濡れる僕の顔は確かにそこにあるか
ほんとうにエリカはそんなことも知らないでいたか
ほんとうにエリカはあのベンチにいたか
ほんとうに僕達は名乗りあったか
溶けたなめくじは固まった
君は好きにすればいいエリカ
僕もまた
ただひとりの人間に戻り
歩き出す
見晴らしのいい丘へ
次のエリカを探しに
チャンプ作品に対する批評
ななほし ◆lYiSp4aok.
1点
君がいない。……妙に切ない。男は何時もさ迷う者か?
皮膚ヘタレ ◆.uQr7ysYjs
1点
指や拳を入れるところなんか大好き。
主人公のいい感じにボケてるのがはまり役。
MUJINA ◆iXws.WGCLY
1点
第1連でグッと引き込まれる。口っていろいろなものの隠喩だね。いまさらながら。
ここでは、三つぐらいのトリプルイメージかな。エリカって、彼女の名前かなって思った
けど、そうじゃない。なんか、はぐらかされた感じ。でも、こういう仕掛けも利いている。
でも、この作者、前もエロのイメージをなめくじ使ってやってなかった?
GON ◆rOo2fYBBKk
2点
『そうして僕は二つに割れて//君を割れ目に篭めるんだ』という言葉、改行の使い方が、
「うわぁ詩人だ」と思わせた。ビール缶、稲妻と白い天井は濡れ場の件だろうか。
口や手も含めて、表現が秀逸。
しかし最後の「次のエリカをさがしに」で、読者から見た語り手が
「もともとシュールな、遠い人」になった。
読者と同じ常識の中に住みながら「恋愛(エリカ)によってシュールになった人」または
「恋愛という感性の爆発の現場」というふうに感じられたら、
しらふの読者をも連れ去ることができる恋愛詩になっていたと思う。
園川 ◆nWfXpQxHHM
3点
隠喩的イメージが上手く文脈を成し一個の物語を完成させている。
しかもその上で4連目に見られるような眩暈を上手く盛り込んでいる。
ただ2連目の3-4行目、読者を上手く文脈から放り投げたかったのだろが
上手く言ってないと思う。脈絡が唯一この場所で途切れてしまっているのだ。
小さな瑕が気になるのは完成度故。
エリカという固有名詞、みたいな物が登場する。このエリカとの距離感において
語り手と妄想の世界、そして世界における諸物の関係に立体感が生まれる。
詩人はイメージにエリカという命を与え、エリカは作品世界に命を与える。
そういう所が素晴らしい。