第八十回 お題:「道」
547 名前:突堤 投稿日:04/10/30 16:38:00 ID:+c8Kov8Y
この道は
夕暮れの港湾へと続き
また拡張する大樹へと続く
静まり返った工場に沿っては
常夜灯が雪に浮かぶ駅前へと入り込む
寒村の児童公園の小さなブランコを臨み
山に分け入れば廃線のひび割れた枕木を踏む
あばた面の野球少年と彼が想う一人の少女の家を繋ぎ
あるいはまたその少年を産んだ女の墓にも繋がっている
死んだ女がその昔に とある男と出会った広場へとも いまもまだ繋がっている
エントランスの雑踏は雨に濡れ
線路沿いに野球場の歓声が聞こえる
倒れた老婆を横たえるあぜ道に続き
彼女を探す家族の呼び声が聞こえる
車のライトに照らされた獣は足が竦んでいて
土産物屋の軒先から落ちた人形が日を受けている
548 名前:突堤 投稿日:04/10/30 16:38:38 ID:+c8Kov8Y
コスモスが咲いている
マンホールから音がする
入浴剤の香りがたちこめ
子供らの声が響き渡っている
半裸の女がベランダに立っていて
葬式の花輪が並んでいる
この道は目の前を続き
その向こうへなおも続いている
誰もが行けるこの道に全てはあり
それはこの道を行けば分かる
アスファルトが途切れ砂利が空を指差し黒土が波打っては海岸へとひらけ
道は街路樹の花を静かに見上げ
道は月明かりに粛々と照らされ
道のどれもが未知でありしかしここで今確かにただの道であり
伸び広がって交わって重なりどこまでもどこまでも続いている
誰もがこの道を行ける日は続きこの道はその向こうへなおも続く
お前よ 今夜胸を張り世界の突堤たる地面に丁寧に新たなる一歩を捧げよ
雑草が伸び街灯に照らされ
風が吹いている
チャンプ作品に対する批評
ななほし ◆lYiSp4aok.
3点
なんかきらっとするフレーズが有る。突堤という突き出した黒っぽい一物の
イメージ?? ……なら、読み取れないフレーズも黒さの象徴??
Canopus ◆DYj1h.j3e.
1点
イタリア映画みたいな、静かで明るい情景描写。ワンテイクでじー
っと撮影してるようで、生活感もあって、味わい深い。詩の終わらせ方には、
一工夫いるのかも。
MUJINA ◆iXws.WGCLY
3点
パンチパンチパンチ。ポエジーのラッシュ。すべて胸にクリーンヒットする。人の生死、一生の
場面場面をフラッシュして、一本の道に収斂させるとは。お手際、見事。すべての道はすべてに
繋がるリゾーム。全編、海のにおいがする。最終行の「風が吹いている」は海からの風だろう。
人間の来し方、行く末を暗示させる海の気配まで感じ取らせる作者の詩世界の奥行きの深さは
計り知れない。
ホントにうまくて頭きちゃうから、あえて揚げ足取りしましょ。マンホールは表の現れないカネ、
モノ、ヒト、情報などの地下世界を暗示しているんだろうけど、ちょっと見え見え。詩は計算して
書くもんじゃない、と一言いじわる言っときます。
C ◆7sqafLs07s
3点
寂しさ侘しさ多少の不気味さの中に見える絶対的な「生」の意思もしくは定め。
小説ではあるが中上健二の『岬』を連想した。あれほど暴力的でも泥臭くもないけれど、
そのかわりに全てを風景のように語る視線がより過酷でなおかつとても効果的だと思った。
……思ったのだが、「誰もが行けるこの道に全てはあり/それはこの道を行けば分かる」
「道のどれもが未知でありしかしここで今確かにただの道であり」
これらの部分だけ作者の物思う姿が見えてしまった。豊かに構築されていた世界が一瞬、見えなくなった。
充分に描写された世界は思想を含包すると思うので世界を描ける人は思想を持ち込む必要がないと思う。
読者へのサービス精神かもしれないが、この詩の描写は充分に思想を浮かび上がらせていると感じた。
準チャンプ作品(2作品同時受賞)
Canopus ◆DYj1h.j3e.
559 名前:海を渡る:1 投稿日:04/11/02 02:52:20 ID:7eKddJZf
「線路の上を歩いて海を渡る
それ自体はけして珍しい行為じゃない
だが心してきいてほしい
次の駅にたどり着くことのできる者は
きわめて稀である
「大洋をどこまでも縦断する一本の直線
それは島嶼
それは紡がれたかぼそい蜘蛛の糸
それは単純で最大のシナプス
それは人類に残された最後の自己主張
「必需品
まずは一本の水筒と
絶縁体の手袋と靴を用意すること
線路は帯電していて触れると必ず体を蝕む
また駅間の距離は定かではないが
夜通し歩いても二日は優にかかる
「海洋特急は週に一本
なぜか南回りの便だけだ
列車がやって来るまでに海を渡らなければ
運命はサイコロのように決まってしまう
「線路のまわりの波はおだやかで
はるか向こうには灯台がかすんでいる
口笛を吹きながら渡った
太陽と空と海と線路と
旅の道連れにウミネコの鳴き声と
駅までの道のりはけして長くはない
560 名前:海を渡る:2 投稿日:04/11/02 02:53:37 ID:7eKddJZf
「妨げとなるのは高波だけではない
強い紫外線と海風は確実に体力を消耗させる
線路は常に横揺れをくり返し
海を渡るわれわれを拒絶するかのようだ
「そして今やかなしいことに
イルカもクジラも人類の敵なのだ
彼らに見つかったら最後
四肢から徐々に喰われて
私の存在した証はどこにもなくなってしまう
「ここの生活には満足している
それなのにどうしてだろう
駅がぼくをいざなうんだ
旅に出ようとぼくをいざなうんだ
「海を渡るには駅を見つけなくてはならない
駅の正確な場所は誰も知らない
規約上は誰にも訊いてはならない
秘密裏のうちに目くらめっぽうに
探す 薔薇の薫りのする方へ
「駅員は親切に旅の手ほどきを教えてくれる
最低限の必需品まで揃えてくれる
駅員はパトロールも兼ねていて
線路を歩いて海を渡る者を取り締まる
彼らはためらいなく密航者を射殺する
駅に駅員のいたためしはなく
さびれたプラットホームがぽつんとあるだけだ
駅は存在しない
561 名前:海を渡る:ラスト 投稿日:04/11/02 02:54:43 ID:7eKddJZf
「遠くで
海洋特急の疾走する音がきこえる
姿をみたことはない
音だけの幻の列車だ
私は思い出すかつて私の成し得なかったくさぐさを
ユニゾンのこだまはいつまでも続く後悔のように
「ぼくははだしで
海上のプラットホームに立っていた
これからぼくの渡るまっすぐな線路だけを見ていた
次の駅は
かすんでまだ見えない 歩きはじめる
「ぼくは駅を知らない
ぼくは線路を知らない
ぼくは海洋特急を知らない
ぼくは海を渡るすべを知らない
ぼくの眼前にひらけた道を知らない
ぼくは海を知らない
知らない。
(名無し)
586 名前:固有値 1 投稿日:04/11/03 23:31:08 ID:ZlCcPevT
カマーン、チャンプ、受けて立ちます、(こちらは副音声でお届けしています。
お題を出しな、(画面は最大、文字はなるべく小さめでお楽しみください。
道? ですか、そーですか。(ではまず、これは習性、硬直につづく三作目、
てんてんてん、(トリロジーのとりですね?
よしゃー、来ちゃった見ちゃった勝っちゃった、(ええ、エポックメイキングかつ豪華な仕上がりです。
合計点数3000点、(申し遅れました、実況は作者、解説は作者です。
破格でぶっちぎる、(ところで、コテはつけないんですか?
錯覚レミゼラブル、(んー、なんか気の利いたやつとか思っちゃうとね、
MUJINAが、これは希望抜きのパンドラの箱、(あと、かなりのびびりですから、
イタチが、神々の黄昏にはこんなRock-'n'-roll、(きびしいこと言われたら、
Alniteが、作者はエデンの蛇である、(もう来ねえよ
て言うよなやつを、書きますよ、覚悟なさい。(ってすぐ逃げられるようにですね。
あっと、敬称略ですから(あ、いままさに。こういう部分が失礼なびびりですね?
お気を悪くなさらずに、(そうですね。失礼ですね。
なにとぞひとつ穏便に。(Canopusさんにはイカのキンタマって言われましたよね?
じゃあ、いきますよ、(そう、そこで柳の下のどぶさらいですよ。
キリストが博愛を(あと私もキンタマって言ってみたかった、
シャカが解放を(キンタマって。
レノンが平和をうたったように、(キンタマって文字にすることなかなかないですからね。
最後の問題、(そうでしょう。
シノザワ教授に全部(そういう特殊な職業じゃないとね、
と言った人々の勇気をここに称え、(キンタマとは書かないですよね。
爆発ゴローが直球勝負で直帰をホープする、(キンタマって。
今週のびっくりどっきりメカ発進。(それではしばらく主音声、本編をお楽しみください。
587 名前:固有値 2 投稿日:04/11/03 23:32:21 ID:ZlCcPevT
ボクノマエニ道ハナイ ボクノウシロニ道ハデキル(10月30日(土)
て言うけどね、いまや21世紀、(ハロウィーンパーティーというものに行った。
そんな公共事業型信念は受けません。(また明日、と言って別れたバイト先の10才年下の
道がない(同僚たちが待ち合わせしていた場所に偶然出くわし、
という理由だけでは道をつくっちゃいけません、(考えなしに声をかけてしまったためだ。
エコだから。(なにしてんの?
荒野は荒野に、都市は都市に、(いや、パーティーがあるんですけど…。
ネットとコンビニ往復で、(気まずいながらも好奇心が勝ち、ついていくことにした。
地球にやさしいライフスタイル。(会場の店には印象的な眼のあの娘がいた。
(あれー、珍しいんじゃないんですか?
生まれたときからブロードバンド、(こんな場所に来るのって。
親の敷いた道かまわず突っ走り、(プラチナブロンドのかつら。
誰が敷いたなんて気にしない、(青いカラーコンタクト。
まずは頂点にのし上がる、(襟巻きをひらひらさせて、売春婦みたいですよね
理想はこうだ、(と彼女は言った。
成人式には自分目当てのファンの群れ、(それから、普段どおりの格好のぼくに、
はたちになったからタバコはやめた、(わざわざかつらを脱いで貸してくれた。
そう言ってにやけたにきびづらとは縁もない、(うしろにぺたんとなでつけられた濡れた黒髪が現れ、
余生50年、悠々自適の自分探し、(とてもエロチックな気がした。
全面舗装の赤道直下で体育座り。(図に乗ったぼくはかつらをかぶってその辺を歩き回り、
(しかし、
588 名前:固有値 3 投稿日:04/11/03 23:33:10 ID:ZlCcPevT
ひがんだ横目でニュースを見やり、(話し込む相手もいないので、かつらを返しに戻った。
歳だけいって踏み出せない。(彼女は背の高い男とキスをしていた。
勉強不足、運動不足、(かつらを持ったまま、
知性体力時の運、いつかを夢見る怠け者。(ぼくは目を逸らすことができずに立っていた。
汗かかん、損をしたくナイっすから。(彼女は頬を上気させて目を閉じていた。
否定せん、面倒みたくナイっすから。(うっとりしていた。
主張せん、恥かきたくナイっすから。(幸せそうだった。
いうなればフリースタイル、(いま思うと一分もしなかったと思う。
あえてさらす無教養。(正気に返ったぼくは
(わーちょちょちょちょちょーっ
おれのまえには誰かが通った道しかねえ、(と叫んだ。
荒野を返せ、このやろう、(マトリックスの100人スミスのように増殖したぼくも
こうなりゃ人工冬眠、50年後に火星で解凍、(ワーチョチョチョチョチョーッ
火星初の火星詩人、興行収入火星一位、(といっせいに叫んだ。
地球の皆さん、こんばんわ、
一気呵成に火星で稼いでみませんか、(あの、脳内のマイク、スイッチが切れてなかったようです。
火星の駄洒落王、火星で犬のくそ踏んだ。(日記がだだ漏れですな。まあ、わざとですけどね。
(わざとですか?
591 名前:固有値 4 投稿日:04/11/03 23:36:27 ID:ZlCcPevT
わざわざ道の端っこ歩くから(ええ。メタな感じ?
犬のうんこ踏むんです。(いや、メタではないですよね?
真ん中をさっそうと歩けば、(ないですか。
よっぱらいのげろにも当たりません。(意味分かってないのに覚えたての単語使いたがりますよね。
そうはいっても世界の端に生まれついた、(でもね、今回、園川さんが来られそうにないらしいので、
ものごころついたときには良心の呵責、(ここで言いますけどね、
みなさん、申し訳ありません、(道って方向と距離がありますね。これはベクトルです。
おれがもっとスマートだったり(この詩も主音声と副音声のずれが方向と距離を生んでいる。
クールだったりすれば、(つまりベクトルである。
みなさんももっとスマートで(この詩は道についてうたいながら、
クールなメンバーになれたんですよね。(道を構成している。
おれがカリスマだったら、(自己を内包しながら自己を構成するフラクタルである。
みなさんもカリスマの知り合いだって(これは老子の説く道にも合致するのである。
自慢できてたんですよね。(って言ったはずですよ、園川さんが。
みなさん申し訳ありません、(いや、まったく言わないですよね。
おれさえメシアだったら。(ええ。言いませんね。
(そもそも、ベクトルを持ち出してきたのは後付けですよね。
592 名前:固有値 おわり 投稿日:04/11/03 23:37:30 ID:ZlCcPevT
愚痴りながらも一歩踏み出すその勇気、(いや、これはね、最初から考えてた。
踏み出す先には犬の糞、(えー、ほんとですかあ?
だから勇気が欲しいんだ、(本当だとも。それとも私がうそをつくと?
犬の糞をあえて踏む、(あんた、最初の作品の最初でうそついてるやん。
むしろ落ちてる糞はすべて踏む、(なはっ!
踏んで踏んで踏みまくる、(前回チャンプのameさんのと父に影響されて
オレオリジナルじゃないけれど、(遠浅なぱくりをしてしまいました。
でもその道の端っこ、(ということを告白したところで放送時間があとわずかです。 、
フンまみれの全力疾走、(それではみなさん、ごきげんよう。
フンでフンでフンでフンでふんふんふんふん(ごきげんよう。
ふうん、で?