第八十二回 お題:「未来」
チャンプ作品(2作品同時受賞)
ウノ ◆mdm4jQk4Iw
87 名前:過去の未来 投稿日:04/11/22 01:45:52 ID:QeSGSN2L

2004/11/22/1:38 「産声」 
         いつ終わるか知れない未来に 
         生誕したのは私のささやき 
         ウユララの風はきまぐれで 
         どの木の実を落とすかは私だけではわからない 
         第一声はとっくに過去に食べられてしまているから 


102 名前:過去の未来2 投稿日:04/11/22 23:24:06 ID:QeSGSN2L

2004/11/22/23:02「月影」 
        常夜灯が月影 殺した 
        私の影は 殺された 
        青と青の階調のまどろみのなかで 短く泣いていた私を 
        灯影がまっ白く 塗り込めて 
        塗り込めて 
        塗り込めて 
        気がつけば 私の影の 影は ひとりぼっちに濃く青く 佇んでいた 
        目が慣れ もう眩しくはない けど 
        私の好きな やわらかな月影は殺された 


115 名前:過去の未来3 投稿日:04/11/24 02:49:45 ID:UhID6kwr

2004/11/24/2:16「犬」 
        犬はどこにでもいるが 
        シベリアンハスキーとまめ柴の雑種の犬は 
        どこにでもいるわけではないと私はおもう 
        その犬の飼い主は 
        彼を釘づけにしたまま引っ越してしまった 
        人なつこい犬で私の運んだドッグフードをおいしそうに食べた 
        彼のそばで 
        その家は解体されていった 
        ある日の帰り道 
        日当たりのいい原っぱで雑草を引き抜いて杭のそばに置いた 
        犬はくんくん匂いをかいだ 
        しばらくして 
        なにごともなかったかのように 
        その犬は消えてしまった 
        そんなことを 
        ふと 
        思い出した 
        奇跡的瞬間 

        あの犬 
        どうしてるかな 


116 名前:過去の未来4 投稿日:04/11/24 07:23:56 ID:UhID6kwr

2004/11/24/7:19「なきがら」 
        なきがらにそえる花をさがしつづけて 
        旅人は死んだ 
        私は旅人を摘んでなきがらにそえると 
        花をさがしにいった 


117 名前:過去の未来5 投稿日:04/11/24 07:55:31 ID:UhID6kwr

2004/11/24/7:31「埋葬」 
        風が吹き 
        ぽとりとひとつ実がおちた 
        実の重さは腐葉土を伝って 
        私のなきがらをそっと圧した 
        追憶は鎮魂の祈り 
        安らかに土にかえり 
        未来の糧となるように 


121 名前:過去の未来6 投稿日:04/11/24 21:19:06 ID:UhID6kwr

2004/11/24/21:09「放課後」 
        機械的にテープが回り 
        1,7秒後 
        その場所に調べは届いた 
        土管のなかで 
        煙をまいて 
        たわんだ世界の 
        時計を合わせた 
        這い出ると 
        一番最初に空が見えた 
        輝く雲はひどくのろく見えたが 
        実際はかなりの速さで動いている 
        涙が出そうになって 
        その場を離れた 
        私は 
        急いていたのだ 


123 名前:過去の未来7 投稿日:04/11/24 22:31:46 ID:UhID6kwr

2004/11/24/22:27「なきがら2」 
        きまぐれのささやきにも 
        誕生日があり 
        命日がある 
        ささいななにかがおわるとき 
        ささいななにかは確かに死ぬ 
        私もまたこれで終わり 
        私は過去の未来であった 

 

チャンプ作品に対する批評
◆WN8IybcvEA
1点

MUJINA ◆iXws.WGCLY 
2点
やっぱ、内容は圧巻でしょう。ちょっと説明不足で断章どうしの整合性にかける 
うらみがあるけれど、そこを読者の想像力で補わせる、という怪我の功名戦術? 

園川 ◆nWfXpQxHHM
2点
「過去の未来」という題自体が多義性を孕んだままに存在している。本編の語法もそう。 
時間をずらしての連作の投稿という形態、ここへの投稿時刻の直近に別の場所に投稿された 
作品のコピペという体裁。読むと様々なメタファーが出現する。 
形態と体裁、題、語法、イメージ、それら全てが死者の声として響いている。 
作品としてはそれでいいのだがなにか引っ掛かる。語法の問題だと思う。書き手としては完全に主観に 
埋没して生理的に引き出された言葉なのだろうが、他人には読みにくい。というより基本的に読むものだろうかこれは? 
言葉が意味を伝えようとしていない。ただ不気味な蠕動とともに死者の言葉がそこに現れた。現れてしまった。人間は訝しむ。 
・・・だとすればこの作品の、日常的な感覚からは読みようのない言葉のあり方は必要とされたということか。 
とにかく読めなくても、分らなくても、考えなくても、暗さや悲しさや悔いにも似た情調が伝わってくる。 
現れた途端に過去へと消えていく死者の悲しみだろうか。この作品と「天」と「希望の〜」の順位は保留。 

 

 

Canopus ◆DYj1h.j3e.
126 名前:未来へ 投稿日:04/11/24 23:52:30 ID:4xlTKetG

ギターがなりひびく 
ギターがなりひびくギターがなりひびくギターがなりひびく 
ギターがなりひびくギターがなりひびくギターがなりギター 
がギターがギターがギターがなりひびくなりひびくなりひび 
くなりひびくなりなりなりなりななななな 

地下1Fの五叉路で。写真立てには何も入ってなくて。 
からっぽな懐中電灯の陽だまりに腰をうずめて。 
踊るあなたの夢をみたジプシーの真似をして要りもしない 
カーテンを巻きつけて見よう見まねのぎこちないステップ。 
かるくつまづくたびに はにかむような笑顔をむける。 
「いまさえあればなにもいらないの」 
地下1Fのテラスで。ながめのよいそこは檸檬の大きさの空を 
つかもうとしてあなたは思いの丈をはなつように背のびをする。 
とおくにかすむゴンドラをじっと見つめていた。 

歌をうたいたい昼の月が灰色にしずんでしまう前に。 
1秒後のぼくたちの未来のために。 
ひろがりゆく生あたたかな水の劇場であなたはいつのまにか 
斜陽をあびてふかくたたずむマリオネットであった。 
ぼくたちは泪の刻印の入ったマスクをかぶりそして昼の月と 
手をつなごう。 
終わることのないカルナヴァルの弦の余韻に身を投じる。 

 

チャンプ作品に対する批評

ななほし ◆lYiSp4aok. 
2点
 地下のライブハウスで、未来に向かって歌ってる女性シンガー? そんなイメージ 
 どんな女性なんだろう。美人だが、ちょっと年増? 若く見える。……かなぁ 

園川 ◆nWfXpQxHHM
3点
>ながめのよいそこは檸檬の大きさの空を 
>つかもうとしてあなたは思いの丈をはなつように背のびをする。 

眺めの良いテラスが空をつかもうとした。あなたも背伸びをした。 
という意味でいいのだろうか。この部分だけ分らなくて混乱したが、 
この作品は文法を壊すとかずらすとかいう作品ではないようだ。 
読点の省略はあくまでリズムを生み出すためのもののらしい。 
そのリズムに統合されないイメージの奔流を乗せて、ポエジーを感じろということだと思うが、 
確かに理性による統合以前の情緒があって、それはこの作品世界が確かに成立していると言うことなのだろう。 
鳴り響くギターとそれをかき鳴らす彼の精神状態の諧和のなかに軽身で鎧った希求を感じた。 
リズムの速さに付いて行くのに疲れる。作品の意図としては速さだけで良かったのだろうが、 
取っ付き易さをもう少し考慮してもいいのではないだろうか。意図の実現と読者への親切のバランスという事を考えた。 

 

 

 

 


 

準チャンプ作品(2作品同時受賞)
ikaika ◆YffIGX9Bno 
79 名前:考察 投稿日:04/11/19 02:20:30 ID:bwKNdZ+X

未来が今我が眼前において 
打ち砕かれる様を私は執拗に 
イメージの中に描写し 
それが例えば素直な銃声が 
少年の額を打ち抜く絵となろうとも 
悲嘆という下等な言葉で構築することは 
許されず 

ただ単純なるイメージが 
そしてまたその時を 
もがき苦しむ中 

我は静かに椅子に腰をかけ 
未来が席を立つのを待つだけである 

さぁ汽車という汽車は脱線し 
もう我々の中に汽車はない 

少年が愚かにも悲嘆にくれる中で 
私はこう叫ぶ 

「見ろ、日は沈んだ、あるのは、幻想というなのはき捨てられた過去なのだ」 

 

 

 

(名無し)
122 名前:たったそれだけのこと 投稿日:04/11/24 21:40:08 ID:42OjZXfl

ピーナッツを噛まずに呑み込んだとき 
喉の奥の方 何かが引っかかる違和感を覚えた 
たったそれだけのこと 
僕の未来が危ぶまれてゆく 

スカートの裾から飛び出た糸くずを取り払ったとき 
まるで別人のような 彼女の強張った表情 
たったそれだけのこと 
僕の未来が危ぶまれてゆく 

帰りの電車の中で独り悶え狂う 
大量の汗が繁吹き 耳の裏側には熱を持ち 
陽炎のように揺らめいていた夢の続きは 真っ白な霧の中 
脈打つ命も 情熱の灯火も 
何もかもが遮断されてしまいそうな気持ちだ 

振り返ってみると大した人生じゃなかったな... 
もっと誰かの役に立てればよかったな... 
このまま舌を噛み切るかの瀬戸際 
濡れた地面を這うようにして 悍ましい夜を明かす 


あくる日の朝 
レントゲンを撮り この身体に何も異常がないことを知る 
彼女が受話器の向こうから優しく微笑み掛けてきてくれる 
たったそれだけのこと 
僕の未来は嘘みたいに輝き出してゆく