第九十一回 お題:「入学」
24 名前:「漸進の類 春に」1/4 投稿日:05/03/17 23:01:31 ID:SGRU3WTb
<第一章 春>
春の
春の眩むような光が屈折と反射を繰り返す
コンクリート製の舞台で
春の太陽が僕の視力を奪う
大学の片隅に 何とは無しに転がる小石の
曖昧 に結ばれた等号の
乱雑さとは無縁に 植樹された桜の
プラスチック の容器に小さく折り畳まれた様の
南方土産の木彫り人形の
欺瞞に満ちた 黄色い男の顔
みどりの田舎に 置いてきてしまった
宇宙の振幅 と共鳴する心臓
良く鍛えられた 鎚
空間軸と その原点
スケート靴の細い紐を 締めなおす行為
を 僕は忘れてしまった
そんな空っぽな男が独り 住まう
六畳一間に
焦げた血塊が
吐かれる!
吐かれ
吐
ああ なんて春だ
25 名前:「漸進の類 春に」2/4 投稿日:05/03/17 23:02:39 ID:SGRU3WTb
<第二章 戯れ>
かなたちゃんは 浅黒く 快活な東京の女です。
初めて話したのは まだ上京して間もない4月の半ば
鳥の囀りのような 雑談が好きで
「東京の水は不味いでしょう」
などと聞くのですが
素直に同意しては何故か敗北する気がして
「いやいやそんなことはないよ多摩川水系の水はけっこううまいんだぜハハハ」
と適当に返答しておきました。
かなたちゃんは 無色透明な言語で喋る 東京の女です。
「駅周辺の美味しいレストラント」の事や
「オススメの夜景スポット」の事など
実に滑稽な展開を好むのです
生返事が100回を超え 僕の頭蓋はいい加減 カタカタ と鳴っています
それでいてかなたちゃんは 実に楽しそうに ケラケラ と笑うので
僕は暗黒に包まりました。
26 名前:「漸進の類 春に」3/4 投稿日:05/03/17 23:03:12 ID:SGRU3WTb
疲れきった僕は
かなたちゃんの事を 友人のはるかくんに相談しました。
はるかくんの答えは実に合点のいくもので
「なぜかなたちゃんはそんなはなしををきみにするのか、なぜたのしそうにわらうのか
それこそかんたんなはなしで、それはかのじょはきみに<き>があるのだ」
成る程 彼女は僕に<き>が有ったのです
人間の行動に於いて これほど明快な答えがあるでしょうか?
とどのつまり 誘って欲しかったという訳です
そうと知った僕は 早速かなたちゃんを呼び出し
「レストラントデゴウカディナー」と洒落こみ
「ヤケイヲナガメテウットリ」した後
部屋に誘いセックスをしたわけですが
浅黒い と思っていたかなたちゃんの裸は案外と白く
深い深い安堵にとらわれ、その夜は熟睡出来たのです。
一足先に目が覚めた僕は 暫くぼーっとしていましたが
しかし 部屋の隅にゴロンと転がった 丸い焼酎の瓶などを見ていると
何とも言えず 清々しい気分になったので
独りでは滅多に飲まない コーヒーを淹れ
待つ者の気分を味わってみたのです
ついでに学校はさぼる事にしました
まだ7時半だったけれど。
27 名前:「漸進の類 春に」4/4 投稿日:05/03/17 23:03:43 ID:SGRU3WTb
<第三章 構築>
例えばあなたが目を閉じれば 目の前のものは消える
が
世界が消えた訳ではなく
有り様が変化したにすぎない
あなたが目を開けた時 視界に入る他人の文字列は
黒い線の集合体であるという事実と
脳髄のイオンを如何様にも揺らす電極である という両面性を持った
尊い人知の産物である
何はともあれ 入学おめでとう
その眼に映る風景が 鮮やかな色彩で満たされることを願う
ちんこ。
チャンプ作品に対する批評
P ◆WN8IybcvEA
1点
おしっこ ◆Ti0PcEbhdw
2点
ななほし ◆lYiSp4aok.
2点
おもしろかった。
結構読みやすいのだけれど、最後のちんこ。 これ、意識しながら書いたの?
それとも、書き終わってみて。何か足りなかったの? とても気になる。
ame ◆yUHAxrOw2c
1点