第九十六回 お題:「駅」
408 名前:世界の果て1/2 投稿日:2005/05/13(金) 13:23:28 ID:s+SaE135
私が目を覚ましたとき、列車はまだ、出発ホームの横を走っていた。
それで、となりの紳士
(その紳士はえらく背の高いシルクハットをかぶっていて、きっと鳩か鳩の卵を隠しているにちがいない)
に
この列車はこの駅から出ることはないのではありませんか?
と尋ねると、
そりゃそうです。この駅はなんといっても世界最大なのですよ、世界とほぼ同じ大きさと言ってもよいでしょう。
ほぼ同じ大きさということは、駅の外にはまだ世界が残っているのですか?
紳士はすこし困った顔になり、
そういうことを言う者もいるという話ですが
(次の質問で では駅の外にはなにがあるのでしょう? と訊かれることが分かっている)
おほん、失敬、知識階級というものは言い切らないものです。したがって、ほぼ と言うのです。同居の祖母ほぼ保母なのです。
409 名前:世界の果て2/2 投稿日:2005/05/13(金) 13:26:53 ID:s+SaE135
私は黙っていた。紳士は恥をかいた。すると
クルックー
ほら、やっぱり鳩だ、鳩が出るぞ!
紳士の顔がぱかりと左右に開いて、鳩が
びよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん と 出た。
私にちらりと横目をくれて(鳩の目はもともと横についている)、次は
クルッポー と鳴くぞ。私の期待を迷惑に思ったらしく、鳩のくせに首を縦にはふらず横にふりつつ、
ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜よび と 戻った。
いまや紳士だか鳩時計だか見分けのつかなくなった元知識階級紳士時計鳩内蔵は振り子を無心に振っており(振り子はコリオリの力によってすでに捩れ始めている)、
列車の中だというのに置き去りにされた私は
次の駅のキオスクで
小倉アンパンと
ミドリ牛乳を
買う
夢
を
見よう
と目を閉じたら
列車は世界の果てを通過して次の駅についてしまったのだった。
もう!
チャンプ作品に対する批評
Canopus ◆DYj1h.j3e.
2点
素直に面白く読めました。特に最終部付近のナンセンスなスピー
ド感が、大好き。前半は、冗長とも思えるほど、ゆったり構えるのが正解だと
は思いますが、即興のせいか、粗さを感じますね。
葉土 ◆Rain/1Ex.w
3点
この紳士好きです。この詩はとても楽しかった。