第百回 お題:「どいつ?」
チャンプ作品
(名無し)    
736 名前:無題 投稿日:2005/06/30(木) 00:38:31 ID:3a8rAjQj

朝目が覚めると 
僕の視線の先には 
光があった 
その光は500年前から来たという 

朝目が覚めると 
僕の視線の先には 
昨日の僕の声があった 

光も声ももう僕のものではなくて 
一人の男として成り立っていたので 
私の前を通り過ぎていく 

朝目を覚ますと 
そこにはすずめの声と 
僕の重たい体だけがあった  

 

チャンプ作品に対する批評

ななほし ◆lYiSp4aok.
3点
> 朝目が覚めると 
 どいつだ? と、体のこと? 判じモノになっている。 

脚立 ◆kT2/I1/dj.
1点
夢。夜寝るときの見る夢は、それが本当の人生なのですよ。 
サア、仕事を止め、交流を止め、本当の世界で生きてみなさい。 

ゼッケン ◆ZKKEnLZjOY 
3点
覚めると覚ますの使い分けだけで意識を移動させてるところ、そして、 
その点を際立たせるための構成。詩の教科書なんてものがあったら、 
これは技術編の例題に載ってるでしょう。タイトルがあれば、テキストから独立した作品になるかと。 


 

 

 

 


 

準チャンプ作品(2作品同時受賞)
(名無し)
737 名前:無人島に行きます 投稿日:2005/06/30(木) 00:45:13 ID:npGF+DbO

俺はいっぺんの壁になりたいと 
いっぺんで良いから無人島に行きたいと 
いっぺんの詩を胸に俺はもう行ってしまうよ 

いっぺんにへーでーべる、わんねこじゃんみそ、こんがにね 
沖縄料理の飲み屋で聞きなれないフレーズを聞いたのは 
俺が19歳で日本人で大学生で向かいの女の 
焦点の合わない目を見ながらわけがわからなくなって困ってから 
いっぺんにへーでーべる、わんねこじゃんみそ、こんがにね 

俺がいっぺんの詩を 
草も肉も食わない生き物の声を 
水しぶきをあげる黒イルカの尾びれを 
俺がいっぺんの詩を 
無人島で水面が目いっぱいに 
こぶし作った左手で胸を強く叩きながら 
足を開いてだんだんと砂を踏みしめて俺がいっぺんの 
詩を読み上げると 
好きだった女が遠くの町で 
三つ編み編んで『異国の少女になりました』          

持てる全ては片手で足りてそれを丸めて伸ばして三日月にひっかけて 
いっぺんにへーでーべる、わんねこじゃんみそ、こんがにね 

無人島に行きます いっぺんの詩を胸に 
無人島に行きます 腹がへったら変なものを食べます 
無人島に行きます 俺がドイツ人だったら 

 

 

(名無し)
741 名前:変態 1/2 投稿日:2005/06/30(木) 20:29:10 ID:pt7nKFvk

エルニーニョが原因らしいと言っている。 
雨季に雨が降らない。 
乾いたままの熱帯の林を縫って進むうちに時間は予感となっていく。 
干からびた泥に囚われたニシキヘビの鱗がひび割れて告げる。 

地獄がやってくるよ 

その日が来て、浄化の嵐はついになく、 
土砂とともに流されるはずだった 
卵がすべて孵り、 
ぐにぐにと波打つ目玉目玉目玉の林、 
黒い原形質に金色の目玉を並べた芋虫が億兆匹、幹幹枝枝葉葉の先々まで 
お互いに重なり合う重みに、餌食とする葉ごと地上に落下しても 
果て無き咀嚼音無間協奏曲競争塗りつぶされた周波数見えぬ轟音 
身を守らない個体潰れてぶちまく毒液炎症性やけつく皮膚侵される神経変色する骨 
ジャングルの夜消化されて熱巨大立ち上がる陽炎間断なく欠けていく月 新月の晩に 
尽きて止む饗宴。鳥はもはや鳴かず、オートマチックの朝、強制停止した昼、突如破ったのは雷鳴、 
なにもかもさえぎるもののなくなった、たたきつけられる水滴、形成された濁流。その下流には人間の暮らす街がある。 


742 名前:変態 2/2 投稿日:2005/06/30(木) 20:29:52 ID:pt7nKFvk

河口の町の住人は 
水面を埋めて流れ着いたのが無数の蛹だと知って、眉をしかめるか舌打ちをした。 
今日も暑い日中、照りつける太陽、 
舟の出せない漁師たちは安酒をあおり、子供たちは空っぽの市場でつぎはぎのボールを追う。 
見ろ、蛹が孵るぞ! 
河岸に集まった人々はそれが見世物ではないことを悟る。 
水を弾く殻を割って重い羽を振って飛び立つ極彩色あっという間にさえぎられる陽光 
鱗粉の夜 金色の窒息 倒れたグラス 転がりつづけるボール 血を吐く喉 悶絶 血管が破れて赤い闇 
非常に危険吸い込むと呼吸困難 息が! 息が! 薄暗がりに隠された赤ん坊が泣いている  
扉を閉めて力尽きた母親は褐色の頬に血の混じった涙を流して倒れている どうか 幸せでいて 

空っぽの市場  

もとは密林だった土地に陽光が届くようになった。 
新しい場所が育ち始める。