第百一回 お題:「空梅雨」
チャンプ作品(2作品同時受賞)
脚立 ◆kT2/I1/dj.    
777 名前:ダンス 投稿日:2005/07/08(金) 02:38:48 ID:s6Y4kGcP

どれだけ地面が乾いてしまっていても、 
「ある踊りを踊れば、たちまち潤う」 
という噂があったのはまだ記憶に新しいと思います。 

16歳の女の子が、フワフワしたワンピースの裾を咥えて、 
右手と左手を接着剤でくっつけて、 
その両の手をまっすぐ水平にピンと伸ばして、 
そのままくるくるくるくる回る、踊り。 

一昨年の6月には各地方でその踊りを推奨され、 
国家さえも信じきった一種の噂。 

かつてここまで広まったウソというのは、 
もう他にないんじゃないかというぐらいの、 
噂。 

それでも、今年にもなればもう忘れられ、 
「そんなんあったね。バカだったねアハハ」 
「そんなんあったよ。バカだったよウフフ」 
「アハハ」 
「ウフフ」 
「アハハウフフアハハウフフ」 
と、思い出しては、その場のジョークとして扱われています。 

だけども私はまだ接着剤が取れずに、 
今年もまたくるくるくるくるしなきゃあならない。 
日記に冗談で書いたこの踊りを、 
私がくるくるくるくるしなきゃあならない。 

そしたら、地面の割れ目に、赤いパンプスがひっかかり、 
コロンと転げて、潤った。 

 

チャンプ作品に対する批評

ななほし ◆lYiSp4aok.
1点
 かわいい16歳、記憶に新しいと思います……かなぁ? 少年追いやすく?

Canopus ◆DYj1h.j3e.
2点 
メイポールダンスならぬ、ダンスインジューン、てことですか。ポップ 
で淀みない文章が、他愛ないナンセンスを充分に支えていて、読んでて好まし 
いです。踊んなきゃいけないのはよく分んないけど、最終連はキマッてるね

さい ◆YkbutFA6Pw 
1点 
これ面白いんだよ。でも作り込みが甘い。もっとひねれると思う。惜しいなぁ。

 

スプリング ◆0zNSR4UTE.    
793 名前: 投稿日:2005/07/11(月) 23:49:30 ID:HIh2KX4P

青空 腹が立つ 
雨 俺の役目=出番 

人=降ると困る 
傘=振らないと困る 

作物=恵み 

太陽=いらない 
豪雨=絶対必要 

自分=? 
自分=必要である? 
自分<青空 
自分>雨 
現在 青空 
青空=不必要 
自分=不必要 

青空 腹が立つ 

 

チャンプ作品に対する批評

ななほし ◆lYiSp4aok.
3点
明快で共感湧く。傘の心境。

さい ◆YkbutFA6Pw 
1点 
これはこれで完成されてる。美しい。着地も悪くない。 

 

 

 


 

準チャンプ作品
(名無し)
791 名前:空梅雨 投稿日:2005/07/11(月) 19:59:29 ID:8+oT+5Fs

今年は空梅雨だなと、空を見上げれば 
無数の蛙がゲコゲコと降ってくるではないか 
とうとう、蛙が降り出したかと 黒い傘を刺す 
道は蛙で埋め尽くされ 時々すれ違いざまに 
知らぬ人が蛙を踏みつけていく そのたびに 
カエルは ゲコ と鳴いて ペシャンコになっていく 
道行く人々が ゲコ ゲコ と蛙を鳴らしていくので 
しまいには踏まれていない蛙まで鳴きだして大合唱を始める 

これが俗に言う蛙時雨かと思いながら家路を急ぐ 
家に帰ると娘がお父さん今日は蛙が降ってますねと 
普通に言うので私もあぁ降っているなと答える 
嫁も貴方今日はやけに蛙が降ってますねというので 
そのおかげでうるさないと答える 

水場も無いコンクリートの上で一日中蛙は鳴き続けたが 
一晩明けてみると、全部の蛙が干からびていた 

私は一匹一匹に墓を作ってやる 戒名も付けてやる 
娘が後に続いて花を供えてやる 
妻が念仏を唱えてやる 

死骸の後を辿っていくと 
湖についてそこでは生き残った蛙たちが鳴いている 

ポツリポツリ 

とようやく雨は降り出した