第百四回 お題:「免許」
チャンプ作品(2作品同時受賞)
Canopus ◆DYj1h.j3e.
232 :免許不携帯につき 1/2:2005/09/16(金) 22:54:10 ID:0BfZhS4I
警官をしている先輩が言う。
沖縄サミットは ほんとにヒドい目にあった って。
わたしの好きな先輩。
今朝も早くから暑いのに 泥だらけの軽自動車で
沖縄のオジイとオバアが野良仕事に出かけていく。
先輩は本土からの応援で検問の立ち仕事で
沖縄のオジイをオバアを呼び止める。
狭い国道に列をなす泥だらけの軽自動車。
免許を拝見します。
オジイもオバアもこっちの質問にはちっとも答えず
「兄さんはどこから来なすったかい」
と口々に話しかける。
そしてどいつもこいつも免許を持ってきてないんだ。
そう 誰ひとりとして。
苦笑いの幅広い肩が小刻みにふるえる。
免許不携帯につき 先輩がたしなめると
オジイは道端に坐りこんでタバコを吹かしはじめ
ヤマトの若者よ こっちに坐れ
先輩を制して こんこんと説教をはじめる。
わたしたちは あなたが生れる前から
毎日毎日 こうして仕事に出かけている。
何十年も前から同じことやってるのに免許なんか持たん。
それなのにあなたたちは 今日
本土からやってきて
免許をみせろ と言う。
233 :免許不携帯につき 2/2:2005/09/16(金) 22:55:19 ID:0BfZhS4I
ヤマトの若者よ
あなたたちがこんなことでは
これからの日本は いったいどうなる。
若者よ
こんなことではいかん。
もっと人との付き合い方をわかるようになれ。
驚いて その次怒って しまいには呆れる先輩を尻目に
沖縄のオジイとオバアは
同じ説教をして野良仕事に行ってしまう。
真夏の沖縄の狭い国道の真ん中で
あっけにとられて突っ立ってる若いヤマトの警官たち。
免許は…
あ 持ってないですか。そうですか。いってらっしゃい。
わたしの好きな先輩。
わたしの好きな幅広い肩は
心なしか昔よりまるくなったような気がする。
沖縄に行きたいな。またオジイとオバアに会いたいな。
先輩のニヤニヤ笑いに わたしは釣られて
行きたいね。いっしょに。
うっかり口をすべらしてしまい
つぎの瞬間
二人して耳まで真っ赤にしてうろたえている。
チャンプ作品に対する批評
ゼッケン ◆ZKKEnLZjOY
1点
かーわーい〜い! あ、ごめんなさい。いい年した男がこんな言葉遣いしてしまいました。
単純に気持ちよいです。もうね、こういう作品にばかりこのままずっと騙され続けたいと願ってしまいます。
我が身を振り返ってしまうと、ちょっとへこむ。
雨 ◆L4LyBSss3w
1点
沢山の主張や主義を含みながら、すとん、と個人の体験に落とし込んでしまう。
良い素材を良い腕で料理するとこうなる、という見本の様な作品です。
ヒゲルド ◆tuIUmOeA..
235 :噛んでいいかい? 1/2:2005/09/17(土) 02:49:14 ID:ALQiwq/N
らっきょうはユリ科です
窓の外は曇り空です
気管支が腫れています
声はかけませんでした
生半可には信じられない
お兄さんが胃拡張で、
胃拡張。
処方箋ごと飲み込むなんて!
片栗はユリ科ですが、
白玉粉の話をします
君の柔らかい耳たぶを、
そっと噛んでいいかい?
噛んでチューチュー吸ってもいいかい?
チューチュー吸って地球を汚染してもいいかい?
汚染した跡に南天の樹を植えてもいいかい?
その樹で家を建ててもいいかい?
落ちて腐った実も染料程度にはなるでしょうか?
法治国家ですから、
広く人権社会ですので
これでも堅さの話し合いです
東京で会いましょう。
一緒に暮らすのは、
らっきょうの百合香です。
自然の豊かな土地がいいが、
声はかけられなかった、が正解の様な気がする。
アフリカの孤児を引き取りたい。
お兄さんが棒々鶏で、
黒く汚れた服を洗濯してあげたらきっと喜ぶ、
坦々麺ごと。
236 :噛んでいいかい? 2/2:2005/09/17(土) 02:50:00 ID:ALQiwq/N
地続きのアフリカだけど、
飢餓よりニッポンの話をしない?
チャウチャウは中国産だけど、
チャウチャウ言っているのは日本の西の方の愛しい人よ。
チャウチャウ言って桜の古株を切り倒し、ツマランと噛み捨て鈴蘭の苗を植えるのよ。
こんなことばかり言って狭い島の安いハコをドサ廻りの劇場公演だけれど、
でも、 これだけやれば、 もうそろそろ
僕だけの私の中で 日本語免許皆伝に近づいたかな
遠ざかったのかな?
どっちでも良かったな。
すっこんでろ餓鬼と大人は
倍速で延々と廻り続ける秒針の裏で緩衝材を突き破って
ひょっこりと顔を出した思想のエヴァーグリン、エノキ茸です。
――そういえば 鈴蘭もユリ科でしたね。
チャンプ作品に対する批評
Canopus ◆DYj1h.j3e.
1点
透明で沸点の低い怒りが内蔵されているんだと思う。
葉土 ◆Rain/1Ex.w
1点
脳味噌を洗濯してもらったような気がしました。それも洗濯機じゃなくて手洗い。
準チャンプ作品(3作品同時受賞)
(名無し)
203 :無免許人生 :2005/09/12(月) 10:48:55 ID:VNmWTmqs
「先生!どうしたんですか!何を悩んでるんですか!」
「どうしたもこうしたもな、ネタがないんだよ!」
「ええっ!先生が!ウソでしょう?!」
「うるさいな!ウソついてる場合じゃないんだよ!
俺はなあ!もともと詩人の免許持ってないんだ!!」
「えっ!じゃあどうやって今まで詩人をやってきたんですか!?」
「ああ!?そんなの決まってんだろ!頑張るんだよ!頑張る以外なんかあんのか!?」
「じゃあ今度も頑張ればいいじゃないですか!」
「それができないから困ってんだろ!
ああうっさい!お前みたいなキャラクターはこうだ!!」
「な!そんな殺生な!ぼくはまだnぎゃああああああ!!」
ビリビリッ
「ああクソッ!なんも浮かばん!うわあ!どうしよう!助けて!」
錯乱した詩人は机の引き出しを高速で出し入れしていた
キレてパソコンのぶっ壊し感電死した
…これがあなたの前世ですと占い師
僕は、前世でも才能がないモグリだったみたいだ、そうか
今の自分が原付免許3連敗中なのもそれはそれでしょうがないことなんだなあ
あきらめ、なぜだか清々しい楽しい気分になって
帰りにパチンコを一勝負したけど5万負けた
やわらかい蟹 ◆6P3vWUZtcI
229 :キリ :2005/09/15(木) 00:51:35 ID:1ZkRwXi7
破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体
思想の脆いビルの壁面を掌の群れがけしけしと這う指は静止した跳弾の響き
在ることを免れながら在らざることを許され得ないホログラムと詭弁座標系による佇まいが愛しかった
模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿
230 :キリ2/3:2005/09/15(木) 00:52:55 ID:1ZkRwXi7
破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体
思想の脆いビルの壁面を掌の群れがけしけしと這う指は静止した跳弾の響き
在ることを免れながら在らざることを許され得ないホログラムと詭弁座標系による佇まいが愛しかった
模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿
231 :キリ3/3:2005/09/15(木) 00:54:21 ID:1ZkRwXi7
破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体破面体
思想の脆いビルの壁面を掌の群れがけしけしと這う指は静止した跳弾の響き
在ることを免れながら在らざることを許され得ないホログラムと詭弁座標系による佇まいが愛しかった
模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿模造漿
(名無し)
238 :滅却:2005/09/17(土) 19:18:28 ID:Kw8huEgc
いつの間にか車内は静まり返っています
閻魔様がおっしゃった道を引き返す列車です
血糊の渇いた洗濯物が通りの家々ではためいています
空は赤く、雲は燃えています
黒く固まった死者たちは語るべき言葉も忘れ皆足元をみつめるばかりです
僕の隣に前では報道カメラマンがシャッターに指をかけたまま虚ろな目をしています
彼の指が電車の挙動に揺られるたびに
一眼レフが焦点をひっこめたりつきだしたりしています
僕は冷えたコーラのことを考えました
教習所には古いコカコーラのベンチがあって
その脇の自販機にはコーヒーとお茶ばかりが並んでいるのです
僕はそのベンチに腰掛け教習開始を待つ間
じっとり汗をかいて楕円の周回コースを眺めるばかりで
コーラの不在を今日の今日まで思い返すこともありませんでした
渇きというよりは憧憬に近い渇望がせりあがってきます
僕は誰も居なくなった僕のアパートのことを思いました
そこで枯れていくゼラニウムのことを思いました
僕とゼラニウムは非言語的な同質性を帯びていき
僕はたくさんの死者の中にありながら
同時に枯れていくゼラニウムとして生きていました
土くれになり水蒸気となり雲となりました
雨となり川となり瓶に詰められたコーラとなりました
そうして僕は僕の中に帰っていったのです