遙かなる時の流れは
思わず沈黙の顔をつくる
忘れ去る人々の顔は
消えては浮かび浮かびては消えてゆく
帰らざる河の如く
遠くなる旧き良き時代よ
名も知らぬまま僕から離れ
面影だけを残していった人々よ
せめて今
あの頃の映像を僕に返しておくれ
時は流れ流れては繰り返す哀愁の時よ
遙かなる時の流れよ
不思議な現象が
春からずっとつづいていたのに
今日を最後に終わってしまった
あまりに突然だったので
僕はふり返りもせずに
駆け出してすぎた
もうこれで
終わりだなという気がした
二度と逢うこともないだろう
仮にこの僕が
天涯孤独の身の上ならば
どれほど僕の孤独は失われ
肩の重荷がなくなるだろうか
完璧な上に完璧な
天涯孤独の身の上ならば
もしもそうであるならば
世界はみな僕のためにある
精神は野望に尽きて
その生涯はきっと
天を駆ける一大ロマンを描けるだろう
そこにはきっと
宮沢賢治の愛すべき木偶の坊も
太宰治の哀しきハニカミ屋も
およそ弱き代名詞の数々は失せ
あるのは全て
ニ−チェの「超人」だけだ
そう思う
誰もいない木陰の上で
何を悩める青い空よ
僕をつつんで流れる雲よ
ほらそんなに笑っちゃいけないよ
僕は今日もひとりなんだからね
初恋が尊いのは
そこに虚構もポ−ズも策略も
はたまたゆとりも作戦も
損得勘定も
およそ
「夢中」なる文字から
一歩隔てたる翳りの部分が
微塵もないからだ
さみしくて歩く街角はみな
言葉なくした真空地帯
さみしくて・・・
だからこそ歩いた街角なのに
いつかひとり・・・
僕はぽっんと立ち止まった
なにかがひとつ
心の奥で
ぽっんと折れたようで
いったいそれがなんであるのか
真っ暗な部屋の中で
一晩中僕は考えていました
もちろん
こんな瞬間的なインスピレ−ションに
こたえを見つけようとすること自体が
馬鹿げていることかもしれないけれど
それでも僕は
なにかを探り当てようと
心の中で
想いを巡らしていたのです
どうでもいいのです
ただなんとなく
顔が見たかっただけなのです
何かを期待していたわけでもなく
ただ出会えたら
もうけもんぐらいの軽い気持ちで
あなたに逢いに来たのです
それだけのことです
またいつか
グッドバイ
グッドガ−ル
僕はもうすっかりダメになりかけています 自分がだんだん
ダメになってゆくのがわかるのです
魂すらも堕ちてしまって
もうロマンのロの字もありゃしません
ぼんやり時間の河川に流されて
そのまま真っ直ぐ凡人の端っこに
並べられてしまいそうです
時節がら
妙に他人の処世術が気にかかり
自分の蒼い心だけが
しだいに朽ちてゆくようです
もともと僕は価値観の異端者では
あったけれど
急激に襲ってくる現実感には
閉口するばかりです
別に僕は
頽廃ぶってるつもりはありません
それならばむしろ
ナルシストであった
数年前の方がまだしも夢がありました
日が西に傾く頃
日暮らしが
そよぐ葉ずれでやさしく啼く頃に
帰らぬ貴方に誘われ
帰らぬ貴方に手を引かれて
木陰に腰をおろしてはうつむき
沈んでゆく夕日を見つめてはうなだれ
薫葉に触れては
光躍る緑に瞳を潤ませ
小さな中庭を駆けては
ふと帰らぬ貴方のその声にふり返る
さようなら
過ぎ去りし日々よ
たった一度の人生だから
いつも主役で生きていきたい
何をやろうと
何処へ行こうと
自分自身で歩いていきたい
たった一度の人生だから
落とし物をせず
忘れ物をせず
自分のレ−ルを走っていきたい
落とし物に気づいたら
忘れ物に気づいたら
遅くはない
引き返して取り戻そう
たった一度の人生だから
死ぬまで主役で生きていこう
自ら舵を握って
一歩一歩確かめながら生きていこう
たった一度の人生だから
たった一度の人生だから
すべての友よ
僕から去れ
すべての友よ
僕を忘れよ
諸君たちの記憶の中に
僕を宿すな
すべての友よ
僕の名前を抹殺せよ
老いたる人よ
哀しくなるな
老いたる人よ
そんなに悩むな
お前はお前であればいい
つまらんことに迷っちゃだめだ
未来を恐れてなんになる
老いたる人よ
笑ってみなよ
哀しい想いを捨て去ることだ
埃のかぶった
ちっぽけなタンポポの花
電信柱のわきに咲いている
そんなつまらないタンポポの花
ふだんはみんな
通りすぎてしまう
ふだんは気づくこともなく
通りすぎてしまう
でも
人はみな悲しみの淵に落ちた時
人はみなさみしさの湖を漂う時
人はみな
そんな埃にまみれた
タンポポの花に出会う
さみしさは言葉にならず
人恋しさに想い煩えど
愛すべきものもなく
ひとり夜の沈黙に夢を果てれば
孤独なるおのれにのみ
繰り返す唄はみな
哀しき雨の涙の如し
遠い砂塵の荒野を歩く
遠い砂塵の彼方の果てへ
夢を求めて
愛を求めて
遠い砂塵の彼方の果てへ
僕の小さな記憶の中に
過ぎ行く時を惜しむまもなく
夢を求めて
愛を求めて
僕は一人
遠い砂塵の荒野を歩く
遠い砂塵の荒野を歩く
この頃よく
「青春」という言葉にふれるたびに
僕は何故か
感傷的になってしまうのです
今さら何を・・・と
自嘲してはみるものの
「今さら」だからこそ
これほどまでに
時間の喪失感に
囚われてしまうのかもしれません
失ったものなど何一つもないはずなのに
ただ
この今があまりにも淋しすぎて
青春は一時の虹
七色に輝く雨のうしろ姿
激しい雨を和むように
柔らかく心に色を染めていく
青春は君とすごした一時の秋
もうふり返ることもない
僕はいつまで
幕の下りたスクリ−ンを
見ているのだろう
あこがれていた時代は
自分の足音に驚くこともなく
流れ去る風の冷たさも知らずに
輝く星に
夢をいだいていたそうな
あこがれていた時代は
いつも孤独の貴公子でいたそうな
あの人の写真も手紙もなにもかも
みんな捨ててしまったそうな
僕はいま
ひとりぼっちで
あこがれていた時代にあこがれる
あこがれというものを
失くした時
もしかするとそれが
大人の始まりかもしれません
子供の頃のあこがれは
純真でそれがすなわち
絶対的価値を持ちえていたのに
歳を重ねる度に
あこがれていたものの
価値が低下し
さほど魅力を感じなくなって
来るものなのではないでしょうか
自由に生きたい
気ままにやりたい
すべてを捨て去り思うがままに
なにもかもが嫌になってしまう
こんな夜
親しみあるものすべてが
急にしらけて
みんなぶち壊してみたくなる
煩わしいのは今の自分
善人ぶったこの僕のにやけ顔
誰でもいい
この僕をぶん殴ってくれ
そして僕も
思う存分殴りかかるだろう
やるせないこの怒りを
力一杯吐き出すだろう
お利口さんの世の中に
僕は別れを告げるんだ
すさんだ心が
堕落という娘と結婚して
頽廃という子供を生んだそうな
遙かな淡い想いは
沈みゆく夕日の美しさには
似てはいるけれど
すさんでゆく東の空のむなしさを
翳りゆくうす紅のはかなさを
誰も美しいとは言わないそうな
過去をみんな忘れ去り
ふりむかないと誓った旅人が
眠る草枕で見る夢は
いつも遠い昔の恋人であったそうな
笑ってください
三文ピエロがまたおろかな
走馬燈を動かし始めました
淋しいのです本当は
夜も昼もいつも
僕は
いつでもひとりぼっちを感じています
精一杯おどけてみても
笑いがふとぷつりと切れて
黙りこくってしまう自分をみつけるのです そんな毎日の中で
そんなぼんやりした未来への不安の中で
僕はずいぶん疲れてしまったみたいです
いつのまにか
僕が夢をみているあいだに
もうずいぶん
時が流れてしまったような気がします
厭らしい人間たちの
処世術を見ているうちに
いまのまにか
僕の心までがうす汚れてしまったようです
なにもかもがぼんやりとしてしまって
ふんわりと雲の上に浮かんでいるみたいで
なにがなんだか
わけのわからない気持ちでいます
空はどうしてあんなに青いのでしょうね
結局
先が見えてしまっているのですよね
別に僕は
頽廃ぶっているつもりもないげど
「平凡」にはなれないのかもしれない
危険思想を持っているわけではないけど
僕のまわりには
真実味のあるものがあまりにも少なすぎた
みんなどこか嘘っぽくて
うすっぺらで
ああクラクラした想いの中で
僕は
眠りに落ちてゆくようです
君のその
おもわせぶりがいい
君のその
うつろな誘いがいい
だけど
たまに一度は素顔をみせて
モンロ−ウォ−クも悪くはないけど
僕にはききめがないんだよ
心の奥まで化粧をしたって
僕にはぜんぜん
なんともないんだ
だから僕には
素顔をみせて
大きな大きな夜が明け
しょせんちっぽけなあとずさり
あんなに悩んだ今日の日を
しょせん素知らぬあとずさり
愛すればこそ
あなたはそっとしておこう
それでもちょっぴり哀しくて
今日という日に眼を閉じる
夜は流れてゆこうとも
今日という日を覚えておこう
恋した女の誕生日
愛した人のメモリ−ナイト
突然の疾風は
僕の頬に甘美な夢を贈ってよこした
君の笑顔は
傷ついた僕の心に
ゆるやかな波を与えた
想い返すことを忘れた
遠い昔のバイブレ−ション
君はまるで彼女のように
僕の前に現れた
時代はめぐるというけれど
まるで彼女のように
哀しくも
僕の心に宿り始めた
旅ゆけばひとり想う
あてのない人生
過ぎ去ればふり返る
自分というものを
夢あればそれに向かい
生きてゆく意味もあろうが
何もない今はただ
風に吹かれるだけ
彷徨えど見知らぬ街の
通り風は冷たく
帰りつくあてもない
終わりなき我が旅
夢は去り今はただ
北国のともしびの中
捨てたとて今は懐かしい
安らかな我がふるさと
人生だねって君がいう
もっともらしい顔をして
泣いては笑いすぎてゆく
人生だねって俺もいう
今宵は二人酔い明かし
語り明かそうあの頃を
時は過ぎ人は去る
帰らぬ日々の追憶は
何故にこんなに懐かしい
さらばいとしき日々よ
とこしえの眠りに落ちろ
酔いては想う青春の
光よ心の花と咲け
時は過ぎ人は去る
時は過ぎ人は去る
大きな空は
どこまでもつづいていて
きのうなくした
僕の紙ヒコ−キは
今も飛びつづけているのでしょうね
そして時々
あの白い雲につつまれては
めまいをおこしているのでしょうね
もしそうなら
いつか僕のところへ戻って来たら
僕はおかえりって
言ってやるつもりです
今日も青い空です
大きな大きな空です
泣きたいくらい
大きな空です
僕の日々を捜しにゆこうと
君は本気で言っているの
僕の失くした時間を捜しにゆこうと
馬鹿げているよ
もう捜しようもないよ
時代は変わっているんだからね
君はそうやって笑っているけど
僕が君のところへゆくのに
もう4000日も必要とするのを
いったい君はわかっているのかい
時代は変わっているんだからね
僕の日々は遠い昔
君の妹がまだ小学二年生の頃
君はほんとに美しかったね
だけど時代は変わっているのさ
あんなにかっこよかった奴が今はどうだい
淋しそうにひとりぼっちな顔してさ
時代は変わっているんだからね
北島悄平