「悪魔を愛しむ唄」 第7話〜風になるまで〜

パチパチ。
拍手ではない。これがゲームならSEを入れることによって解決する問題なのだが、文章なので
この擬音が何を指し示すのかみんな分からないと思う。
説明しよう。焚き火をしているのだ。

「あれ?ケンイチ、なにしてんの?」そこに、エトナがやってきた。

「説明しよう。焚き火をしているのだ」
「はぁ…」
「まぁやっぱり寒いしね」
「わたし思うんだけど」
「なに?」
「第七話ってちょっと急展開すぎない?
第七話とか言うな
「えー、自分だって↑の方で文章とか言ってるじゃん」
「……」
「はぁー、それにしても。あったかいねー」

そう言って彼女は座り、焚き火に手をかざしながら白い息を吐いた。俺はそれをただぼんやりと
見つめていた。いや、正確には見とれていたと言った方が正しいだろうか。
とにかく、それは純粋で、美しくて、儚くて。この日々もいつかは夢のように―――。
…なんて。そんなくだらないことを考えてしまった。
「あ」思いついたような表情。
「どうした?」
「あのさ、いい考えがあるんだけど」
「お、なんだなんだ?」
「焼き芋しない?」
「や、焼き芋〜?お前俺より日本人っぽいな、悪魔のクセに」
「へへ〜♪」
誉めているワケではないのに得意気に笑う彼女は、とても可愛かった。
「うーん、いいけどさ。芋喰うとオナラが出るらしいけど大丈夫?

バキッ。












「さー、いってみよーう!」
「分かりましたエトナ様、ただちにこしゃくな(どちらかというと男爵だけど)イモを放り込みます」
「つまらんギャグを言うな」
「言ってません!心の中です、勝手に読まないで下さい!」
「次にしょうもないこと言ったら、分かってるよね?」
「はい。もうあれ以上の地獄を味わいたくありません」
そう言って燃え盛り、形を変えていく炎の中に次々と芋を放り込んでいく。
俺もエトナも、ただそれをずっと見つめていた。

…そして、イモを取り出しゆっくりと銀紙をはがして、二人でほお張る。
「いやー、おいしーですなぁ」と彼女。
「全くですなー」と俺。
「ありがとね」
「ん?なにが」
「…いや別に」そっぽを向いて苦笑いしながら、彼女はそう言った。
「ま、これからもよろしく」そう言って手を差し出す。
流線型の僕の気持ちは、音も立てずに溢れ落ちる水のようだった。



冬なのにあったかいのは、焚き火のおかげだろうか。…そういうことにしておこうと思う。