ラグナロクオンライン Alter Ego in Another World 〜 もうひとりの私 〜
1.失われた首都
 
  
 
 
 
空に茜色がうっすらと掛かり、アスファルトへ落とす街路樹の影も薄らぎ始めた。
自転車を漕ぐ足にも力が入る。
すぐ横を、生徒達が押し詰められたバスが通過した。
そのガラス窓は吐く息で曇り、誰の顔かもわからないほどだった。
雪が降ればアレに乗らなければならないのを考えると、少し憂鬱な気分になってしまう。
(急がなくちゃ・・・)
今日は掃除当番だったせいか、いつもより帰りが少し遅くなってしまった。
 
『ただいま〜』息があがり声がうわずる。
『おかえり〜。ラグナ大変だよ。』
居間に入ると妹の菜穂は、父のパソコンで先にラグナロクを始めていた。
着替えをする前に、今では、私専用となった青いパソコンにスイッチを入れる。
父のパソコンと比べ、多少性能が低いせいか、Windowsの画面が出てくるまで
時間がかかってしまうのだ。父のお古なんだから仕方がないか・・・。
私は、急いでパソコンが起動するまでの間に制服を脱ぎ、パジャマ姿に着替える。
着ていたものを洗濯カゴに入れ、菜穂の横に座る頃に、ようやくWindowsの画面が
立ち上がった。
 
 
 
 
 
ラグナロクとは、韓国で作られたパソコン専用のゲームのことだ。
韓国というだけで、何だか胡散臭い感じがするのだけれども、それは偏見でしかない
のかも知れない、日本のゲーム顔負けのかわいらしい絵柄のキャラ達が、動き回る
RPG(ロールプレイングゲーム)であった。そしてその愛らしさに私もはまってしまった。
その嵌ったというのもRPGだからというだけでは無く、もっと別のところに原因があったり
する。
普通のRPGは、ヨーロッパ中世の井手達をし、ファンタジー一色な世界に出てくるキ
ャラクター達はみな、プログラマーに作られた決まった会話しかしない。
10回挨拶しても、100回挨拶しても戻ってくる回答は同じことの繰り返しで、会話
はおろか、こちらが聞きたい質問すらもできない。いわば、小説やコミックのようにストー
リーが完全に決まっている世界だった。感情の無いロボットと同じだった。
でも、このゲームの凄いところは、キャラクター一人々々が感情を持ち、動いたり、会
話をしたりする。なぜなら、それらのキャラクターはネットで繋がれており、それぞれが本
当の人が動かしているからだ。
そして、私の動かすキャラクターもそこにいる。
云わば、そこには現実の世界とは異なったもう一つの世界があった。
 
ディスプレイの中だけの世界が・・・。
 
 
 
 
 
『ラグナ大変って、何かあったの?』菜穂の横に置いてあったポテチを頬張りながら伺う。
菜穂は、ラグナの横のチャット専用ウインドウに表示されたメッセージに応対しながら、
『首都行ってみたらわかるよ・・・』と、自分で話題を振っておきながら相手をしてくれる暇
も無さそうだ。気持ちは、そのチャットに夢中だ。いつものことなのだけれども。
向い合わせたディスプレイにラグナロクのタイトルが表示され、パスワードを入力すると、
私の作ったキャラクター達が表示された。
今日はまだ調子が良いみたい・・・。
いつもは、なかなか繋がらない。
お金を取らずユーザーにテストプレイをさせていたβテストの頃だったら、多少の問題は
仕方が無かったかも知れない。
でも、今は製品版としてお金もしっかり取られている。
私のおこずかいの半分を余裕で奪っていながら、繋がらないのは詐欺だと思ってしまう。
でも、このゲームメーカーの契約規定に訴えないことが記載されているからしかたが無い。
例え、どんなに不条理な内容であれ、契約をしなければこのゲームを遊ぶことができな
いのだから心の中で葛藤の繰り返しだ。
 
ディスプレイには、3つのキャラクターが表示されている。ゲームデータの管理されている
サーバーごとに3つまでのキャラクターを作れることを表している。
私は、全部で3つのIDを所持しているので、この『loki』と呼ばれるサーバー
には7人のキャラが存在した。
ラグナのプレイヤーの中でも比較的多い方の部類に入ると思う。中には1人しか作らな
い人もいるみたいだから。
でも、今表示されているキャラクターは、男の子のアコライト(聖職者)だった。
父が最初のβ時代に、テストで作ったものだったが、仕事が忙しいのと、PSOという家
庭用ゲームの方に魅力を感じ、こちらは全くやらなくなったからだ。
私は、そのまま父のキャラを消して自分用に3つのキャラクターを作った。
そしてメインの『kureinred』と名づけたキャラでログインをした。
 
 
 「kureinred」
らぐなの何か。を使用させていただきました)
 
 
何も表示されない真っ黒な画面にダウンロード中のバーが表示され、しばらくしたのち、
砂煙舞う砂漠が画面に表示された。すぐ側の地面に牙の付いた大きな口が暗澹と開いてい
ることから、どうやら蟻地獄とよばれているダンジョン入り口近くで前回やめたらしい。
瞬時に移動できるスキル「テレポート」も「ポータル」も、首都の位置は記録させていなかった。
面倒だけど歩いて行くしかない。「速度増加」の魔法を使って早歩きでマップを横断する。
ようやく首都があるプロンテラマップに入ると、菜穂のキャラクターである商人akaneが待っていた。
akaneは、その名からアニメの『To HERT』に出てくるヒロインと同じ名前であったため”ネカマ”
と言われて、なかなか可哀想だったりする。
”ネカマ”とは、男の人が、お気に入りの女の子キャラクターを作って、その女の子キャラの振り
をするのだけれども、私のような逆のタイプは、いったい世間では何と呼ばれているのだろう。
同類であることには変わらない。けれども別にそれは、ゲームの世界なのだから、どうでもいい
ことなのだと思ってしまう。
そのような事にこだわる人は、ゲームの世界で仲良くなった事をいいことに現実の世界でも会お
うとでも思っているのかも知れない。そういう人は、この世界には来なくていいのだ。来る場所が
間違っている。そもそもRPGとは、TRPGと同じように、そのキャラクターを演じることなのだから、
性別を偽っても、または、人間でなくモンスターであってもかまわないと思ってしまう。
もしかしたら、少年と思っていたらディスプレイの前では、お婆さんが操作しているかも知れない。
はたまた、猫がいたずらで、マウスを動かしているのかもしれない。あるいは、プログラムで作られ
た、人口知能搭載のスーパーコンピューターとか・・・想像すると限りが無い。
 
 
 
 

プロンテラ首都の南門が見え始めるにしたがい、露天やチャットなどいつもより人が異様に混み
はじめていた。
人が多いと、性能の低いこのパソコンでは少々重くなる。
そしてあることに気づいた。門より少し離れたある一定のところに人が次々ワープで飛ばされて
くるのだ。最初遊んでいるのかとも思ったけれども、どうやらそうでも無いらしい。
南門に入ったかと思えば、同じ人達が、再び入り口前のその場所に、何かで飛ばされ戻ってくる。
それが、延々と続き、誰も彼もが、『これは、テロだ!』と言ったり、サーバー管理会社に罵声を
浴びせていた。
どうやら、このラグナロクを管理している会社に対して、ログイン不能やサポート不備などで、
ある特定のギルドの人達が、改善を求めるため、首都を乗っ取ったらしいと菜穂は言う。
そして、その行為に反対するギルドの人達との間で争いが始まっていた。
それに対しメーカーは、プレイヤー同士の争いには、一切関わりを持たない意思を表明し、
いわばこのlokiは、無法地帯となっていた。
(こ・・・こんなこと、許されるの?
 あなたがたは、サーバー管理会社の気まぐれで、もしかしたらアカウント消されるかも
 知れないのに・・・。)
しかし、通常フィールドのため、人同士の直接的な攻撃はできない。
MPKモードと呼ばれる特殊なフィールドに行かなくては戦うことができないのだ。
でも、アコライトそして、その上級職であるプリーストは、首都に入ったばかりで無防備なプレイ
ヤー達をすかさずポータルという魔法で都市の外へ放りだしていたのだ。
 
 
 
 
 
人々が南門の前で首都の中にいる連中へ非難を浴びせていた。
しかし、そんな罵声は聞こえるはずもなかった。
首都へ入れずにいる人々が次々と原野に溢れ出し、露天やチャットが軒なみ立ち並んで
いる。その光景はまるでフィールド上が、街の中だったのではないかと錯覚させるほどであった。
 
そんな集団の中、30人程の2次職達がフィールドにワープしてきた。みんな天使ポリン
というモンスターが落とす”天使の髪飾り”を装備していた。そのアイテムは、ある種ステー
タスであった。
そして、その集団は逆正三角形の陣営を組みはじめ、その光景は異彩を放っていた。
一斉に、次々と『深紅の革命団』とチャットウインドウを表示させた。
人々は、何事かと騒ぎはじめ、驚きのエモーションを出しているものもいる。
このチャットウインドウは、本来、そのウインドウをクリックし中に入ることで、
会話を楽しむものなのだが、ポータルで飛ばされないための絶対防御の役割も果たしていた。
何かのパフォーマンスでも始まるのだろうか・・・不信な空気を感じはじめた時、
逆三角形になった陣営の頂点にいるリーダーらしき人物が演説をはじめた。




『私は、この”深紅の革命団”を率いる4人のギルドリーダーの一人、”レイドリィック”だ。』
『我々は、このミッドガル世界において、正統なサービス提供を求める集団である。』
『サーバー管理者であるガンホーの怠慢により、ログインできずにあぐねる毎日が続いている。
塾通いや働いているものにとっては特に、貴重な時間、そして、体力、精神力を消耗させ、
このような状態であるにもかかわらず強行的な課金を行っている。
開発資金は、もう十分な程得られたはずだ。満足いくプレイ環境が整うその日まで、ふたた
び無償テストにするべきだ。それでなければ、他の会社にサーバーを管理させるべきなのだ。
我々は、ガンホーへのメール。各ラグナの掲示板でその事を訴えてきたが、一向に改善が
見られないことはおろか、何の返答も未だ無い。たかがユーザーだと我々は蔑ろにされ
屈辱を受けたのだ。
我々は、メーカーが悔い改めるその日まで、この首都を占領し諌めなければならない。
そして、これはみんなのための戦いなのだと理解をして欲しい。』

周囲にざわめきが起こる。

『如何せん、この理念に同意しない者も中にはいるようだが、その場合には
ガンホーの肩を持つものとして、この”深紅の革命団”が討伐する。』

話を聞いている多くの者がいきり立っていることだろう。
私も、激情的に何かを言い出したかったが、言い淀んだ。

切れたウィザードリィやマジシャン達が、メテオストームという巨大な炎の魔法や
氷の壁でリーダーを囲って挑発した。MVPでないため、一切そのような攻撃は効くはずもない。
すると、その”深紅の革命団”の周囲を囲むように彼らと同じ井手達をしたプリースト達が現れ、
そのウィザードリィやマジシャン達を次々とポータルで他の場所に飛ばし始めた。瞬時にポータル
避けのワザでマジッシャは、横に移動しても、そこにもポータルが出現し逃げる場など無かった。
ポータルを使用するため、”深紅の革命団”のプリースト達ががチャットウィンドウをはずした瞬間
を狙い、反旗を翻すアコライトやプリースト達が、彼らをポータルで飛ばし返した。
まさにその光景は阿鼻叫喚の巷と化していた。

私は、彼らと一緒に”深紅の革命団”と闘う勇気が無かった。
モンスターを倒すため、力を合わせるのでは無く、人同士が闘い合うこの光景はβ時代から
慣れ親しんだ平和なその世界が壊れるようで怖かった。
βテスト時代、害人とよばれた、ノーマナーな人達やBOTとの戦いも収束し、この世界は
少なからず落ち着き始めていた最中だった。
彼らの行動は己自身にとっては、正義かも知れない。だけど、私達の瞳には、その粛清は、
偽りの正義にしか映らなかった。

いつのまにか、彼らにとっての反乱分子は雲散霧消していた。
その場にいた傍観者達は萎縮している。

この策謀に未来は決して無い。彼らは似非者としてラグナロクの世界に刻まれるだけなのであろう。
 
 
 
 
 
母の晩御飯の呼びかけに、”深紅の革命団”の去った後の凄然としたプロンテ
ラを離れることにした。
体力とスキルポイントを回復するためにここで放置しておくことは、今の状況では
何が起こるか不安だからだ。
『kureinred』が登録していたオークダンジョン行きのワープポータルを出し、菜穂
の『akane』とともにダンジョン上部にある休憩所にて休ませることにした。
休憩所は、いつもと変わらない様子だったが、プロンテラで大規模テロ発生を
知らせるチャットが2件ほど出ていた。中にも何人か入っているらしい。
もしくは先ほど飛ばされた被害者もいるのだろうか・・・。
恐らく、チャットやGPSというチャット機能を備えた情報相互システムを使用して
いる人も多いせいか、そのことが話題になっているのかも知れない。
とりあえず、パソコンから離れ台所に向かう。
お好み焼きを食べながら、TVを見ていると、父がチャンネルをニュースに切り替えた。
『え〜見ていたのにぃ〜〜〜』
菜穂が、毎週見ていたお気に入りのアニメ番組だったので不平をこぼした。
今日は父がたまたま早く帰ってしまったからだ。ゲーム会社も不況だと仕事も
減って、うちにもこのような形で皺寄せがきてしまう有様だ。最近は、ゲーム開
発よりもビジネスソフトに基軸を変え、ニュースを見ていないとお得意さんとも
話が合わせられないからだそうだ。私は、ゲームだけを作っていて、アニメも欠
かさず見ていた頃の父が好きだったのだけれど・・・。

TVに写り出されたニュースは、近々日本も戦争の影響を大きく受けるとのこと
だった。しょせん、外国の事だと思っていたのだけれども、噂では、日本が一番
危ないとのことだった。私のクラス一番の友人が、その敵対国になるであろうと
する国の出身だ。
見た目は日本人とは変わらない。でも、その素性を知るのは私ともう一人の友
人美崎だけだ。そのことを他のクラスメートは知らない。少し前まで拉致だとかで
その国の人達への迫害が酷かったのを知っていたので、私は絶対に黙っていること
にしていた。

ご飯を食べ終わり、オークダンジョンでレベルを稼ぐことにした。菜穂の『akane』と
ともに、ダンジョン内へもぐっていくとペコ騎士の死体が転がっている。
このゲームでは死んでも会話できたりする。
プリーストのスキルや市販のアイテムを使用することで復活することも可能なのだ。
でも、私はアコライトであり、貧乏なので生き返らせるための『イグハシルの葉』も
1枚しか持っていなかった。
これは、商人の『akane』がもし死んだら生き返らせるためのだから。
だから、生き返らせて欲しそうだなぁ・・・って思っても、『なむなむ』で逃げ切ることに
していた。この『なむなむ』とは、おばあさんがよく念仏でいう『南無阿弥陀仏』の頭
文字を2つとった造語だ。なんとなくかわいいので使っている。
そうこうしているうち、『akane』が汗マークのエモーションを出していた。急いでヒール
をするが、なかなか追いつかない。それもそのはず。何気に叩いたスチールチョンチョン
が仲間を呼び寄せ7匹に膨れ上がり、さらにオークゾンビ5体ほどに袋叩きにあってい
たのだ。
人に『なむなむ』言っているあいだに、相方が、このままでは逝ってしまう。
そして、恐怖のオークスケルトンまで現れた。このモンスターは、攻撃力が高いうえ、
体力もあり素早い。3匹追加された日には、ワープで逃げたいのだけれども、菜穂は
横でたすけて〜と騒いでいる。どうやらハエの翼で逃げ切れないようだ。ラグが起こる
と、スキルやアイテムが効かないことがある。まさにその状況だった。
私のSPも完全に切れ、akaneは、回復剤のイモが切れるとともに、ぱたりと倒れた。
商人用カートがむなしく立っている。すぐ横でモンスターを狩っていたアサシンの方へ
モンスターの団体は流れていった。
復活しないで街に戻ると菜穂は手を上げるエモーションを出して戻っていった。
そして、ふたたぶ菜穂は悲鳴を上げた。
セーブポイントが首都プロンテラの街中だったのだ。
菜穂のディスプレイを覗き込むと、そこには再び商人『akane』の死体が転がっていた。
そして周囲を見渡すと他のキャラ達の死体の山となっていた。
そこには、ドッペルゲンガー、オークヒーローのボスやポリンやファーブルなど無数のモン
スターが徘徊していた。『akane』は、復活してもすぐ殺されてしまう。街へ抜けるための
ほんのわずかな距離がこれほどまで、長く感じたことは無かった。
やはりこれも”深紅の革命団”の仕業なのだろうか・・・。
いったい街中で何百本の枝を使用してモンスターを召還したのだろう。
建物の影に氷の壁を作って、プリーストやウィザードが監視をしている。
彼らの頭にある天使の髪飾りがそれを物語っているのかも知れない。
菜穂は、あきらめ、後でもう一度ログインし、モンスターがいなくなるのを見計らって
抜けることにした。

私は、自分のキャラが危険なオークダンジョンで放置されていたこと思い出した。
もしかしたら、死んでいるのではと思い、急いで席に戻る。
案の上、私にオークゾンビやこうもりが攻撃を加えていたが、見知らぬ女性プリーストが
回復のヒールをくれていた。
”♪”のエモーションを出し、急いでそれらをかたずけると、たすかりましたとお礼を述べた。
『いえいえ。たいした事ではありませんので。』
『赤Pは持っていますか?』
とプリーストは聞いてきた。
『いえ、重たいので持ち歩いていないです』
『いりますか?』
『いえ』
その私の答えは少し冷たく感じられはしなかったかと少し心配したが、そのプリーストは
私より少し離れたところに座り、私が囲まれ大変なときにヒールやブレッシングというパラ
メーターが一時向上するスキルを唱え、たすけてくれた。
プリーストの名前は『white snow』となっていた。おそらくラグナのβテスト時代からの引
継ぎなのかも知れない。βからβ2テストに移行の際にそれまでアルファベットしか入力
できなかった名前が、日本語も使用できるようになった。そして、2次職キャラクターの
多くが、βテストから育てていた人が多い。
white snow・・・。その名前には憶えがあった。
たしかβ時代に下水道の配管で経験値稼ぎをしていたときに、助けてもらった記憶が。
でも、そのときはたしか剣士だったはず・・・私の思い過ごしか、似た別の名前だったのか
も知れない。たすけてもらった私のキャラも男でなく女アコライトだったのだから・・・。

もうかれこれ1時間近く助けてもらっている。
これ以上は悪いかなと思い始めた頃、不意にwhite snowは聞いてきた。
『ギルドに入っていますか?』
私のkureinredは、どこのギルドにもパーティーにも属していなかった。
他のキャラクターはギルドに入っているのもあった。でも、このキャラはやはり男キャラという
ことで、後ろめたさもあったのかも知れない。
どこまで男の振りをしていられるか自身が無かったから・・・。
むしろ女キャラが男キャラにギルドへ誘われることは多くあると思う。でも、その逆は稀だと
思っていた。
『いえ、どこにも入っていません。』
『私の持ちキャラ違いますが私のギルドに入りませんか?』
少し迷った・・・。ここまで手伝ったもらって入らないと無下に断っていいものだろうか・・・。
断って相手を傷つけるようなことはしたくない。
そして、今ここで断るとLv70まで、のほほんとギルドへもPTへも誘われることなく育った
このキャラが誘われることなど今後ありえるのだろうか・・・。
そして私は決断した。
『入ってもいいですか?』
『はい。よろこんで』と彼女は♪のエモーションを出した。
『よろしくお願いします。あまり役に立たないアコですが・・・』
と私も♪で嬉しさの感情をお返しする。
『では、みんなに紹介しますので、ここにポータル出しますからそれに乗ってください。
私も別のキャラクターでそこへ向かいますので』
『ギルドの他の人達も歓迎したいそうです』
『わかりました』と手を上げるエモーションを出しwhite snowに別れをつげた。

その行き先不明のポータルへと私は飛び込んだ。

そして、ダウンロードが終わり画面に薄っすらと浮かび始めた。
見覚えのある街並に聳える円形の噴水と花壇が・・・。

 

1部 失われた首都 終わり

2部は、執筆中です;