らぐな日記!?
第十話
準備万端待ったなし!転職試験に挑め!
オレゴンより愛。真実姫です。

果てさて、長く辛い旅路でありましたけれど、予定通りガンダ−ラより有り難〜いお経を持って凱旋ですわ。
然しながら100里の旅は90里を持って半ばとすると言います。
此処で気を抜いて事を損じては、私に希望を託して逝った母に申し訳が立ちませんわ。
見てて母さん。
私は必ず機械の体を手に入れて帰ってくるよ!
・・・そうは意気込んで見たものの、この先の長い長い道のりを考えると少々うんざりですわね・・。
今思えばゲフェンからフェイヨンへは道こそ長いですけれど歩きやすい気候でしたわ。
この砂漠とやらは実に厄介な代物ですわね。
単調な光景と刺すような日差しが人の心を惑わせます。
そのうち、荒野を走る死神の列を見そうですわ。
抗うすべは、ありませんのね・・・;;
だんだんと姫も、砂漠を歩くコツを掴んできましてよ。
何にも考えずに、唯歩けばいいのですわ。
口ずさむ歌も何時しか、同じフレ−ズの繰り返しになっていますわ。
ま〜ぶるま〜ぶるま〜ぶるま〜ぶる♪
い〜けるけるけるケロッピチュ〜♪(適当
おや・・?
何やら私の前に立ちはだかる影がありますわ。
もうこの頃になると、姫の思考はかなり単純化していましてよ。
この小動物は何かしら?
何やら甲高い声で、吼えているようですが。
私の頭の中にゆわんゆわんと響きますわ・・。
ああ、頭が痛い。
このままでは、ザビタン並に頭が割れてしまいましてよ・・。
はいはい解りました、貴方は姫に何かを伝えたいのですね?

知ってますわよ。
裏の畑でポチが鳴く。正直爺さん掘ったらボルケ−ノ。瘤付きじいさんそれ見てニヤソ。
古来より伝え聞く先祖の知恵ですわ。
そんな罠に掛る姫では無くってよ。
ザイダベックの守りは堅いのですわ。
先を急ぎましょう。
ポンチョに砂漠の風をなびかせて、母さんの居るあの空の下。
遥かなるゲフェンを目指すのですわ、マルコ!
ああ、ゲッフェンの門が見える・・・。
長い、本当に長い道のりでした。
砂漠を渡り森を抜け、漸く今、姫のグレ−トジャ−ニ−が終わりを告げますわ。
やっぱり帰ったら目隠しをされて西武ド−ムまで連れて行かれるのかしら?
きっとそこには私のファンが10万人集まっていて、爆風スランプが私のテ−マ曲を作って待っているのですわ。
ダイエット本なんて出して場合ではなくってよ?中野。
さっさと新曲を出しなさい。姫はファンなのでしたから♪
大きなたまねぎの下で、何時までも待っていますわ。
・・・・文通相手、姫は会ってから終わりましたけれど♪
あいたた、胸が痛いわ♪
此れはなくした恋の痛み?
それとも心筋梗塞かしら?
キュンキュン♪
・・・・い、いけない、妙なノリに自沈する所でした。
寝台特急ネガティブトレインをとっとと途中下車しなければ、終着駅の虚無に着いてしまうわ。
此処で降りれば、まだ「やけくそ」で済みますわね。

何はともあれ、姫は帰ってまいりましたわ!
ゲッフェン・・。
何もかも皆懐かしい・・・。
では早速、機械の体・・・否、魔法使いの力を手に入れる事と致しましょう。
再びやってまいりましたわ、ゲッフェン魔法学校!
ホグワ−ツのような軟弱な魔法とは違いましてよ。
此処で学ぶ魔法の全ては、敵を打ち倒し己を守る荒れ狂う修羅の術ですわ!

いざ行かん、戦いの荒野へ!
我行くは星の大海ですわ!
・・・・今でも不思議なのは、同盟軍のあの船長は、自分を追い越してしまったミッタ−マイヤ−を何故背後から全滅させなかったのかしら?
姫はそんな過ちは犯さないわ。
「怖いのは 殺したつもりと 殺ったはず。」
初弾が当ったからといって油断するんじゃない、止めを忘れるな!と大田巡査も言っていますわ。
目指すは高い攻撃力を持って敵を確実に葬る攻撃力型魔法使いですわ!
真実姫 「只今戻りましてよっ!」
教官 「あら、御帰りなさい。随分と掛ったものね。」
真実姫 「何事にも完璧を期するのが性分ですわ。転職用アイテムを完全制覇しましてよ!」
教官 「・・・どう言う意味で完璧なのか理解に苦しむのだけれど。」
真実姫 「一々五月蝿いですわね!心意気と言う物を理解できないのかしら!?」
教官 「そう言う体育会系の物は剣士の資質よ。ねえ、前から思ってるのだけれど、あなた剣士向き・・」
真実姫 「やりたい事と出来る事が違うのは百も承知ですわ!それでも若者は荒野を目指すのです!」
教官 「・・・まあ、好きになさいな。別段私に、貴方の人生の責任があるわけではないわ。」
真実姫 「無論ですわ。後からするから後悔なのです。先にする人は居ませんわ。」
教官 「後悔したいの?」
真実姫 「本当はしてても、していないと言い張りますわ!」
教官 「・・・まあ、するとは決まっていないわよ。お勧めはしないけれど、ね。」
真実姫 「後悔もひっくるめて、覚悟を決めたと言っているのですわ。口出しは無用だし無駄ですわ!」
全く、話になりませんわ!
私はきびすを返して部屋の真中に鎮座する巨大な魔法石の前にずかずかと進みましたわ。
とっとと試験をクリアして、こんな所とはおさらばしたいものですわね。
巨大魔法石の前に座り込み、袋の中身を乱暴にぶちまけて転職用アイテムを選り分けます。
ええと、水が二つ、柔らかな毛、あれとこれと・・・。
よし、いざ組み合わせスタ−ト!
・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・?
・・・・・・・・・・??。
・・・そういえば。
何番の混合液を作るのか忘れたから、全部のアイテムを持ってきたのですわ・・。
私ったらご丁寧に、全ての混合液の作り方をメモしてあるわ・・。
なのに肝心のナンバ−が記されていないとは・・・。
私は試験管にそっと背後の様子を写してみましたわ。
そこには、腕組みをして此方を観ている教官の姿が。
・・・・聞けない。
今更、あんな女を頼るわけには行きませんわね。
確率は四分の一、賭けに出るしかありませんわ!
八百万の神よ、姫にこの試練を乗り越える力を!
嫌いな豆乳も飲みますし、歯医者も嫌がらずに行きます!
あ、後、あの犯人は私!山○さん、△平さん本当に御免!
以上、かしこみ申しまくりますわっ!
私は思いついた番号のアイテムを手早く集め、魔法石に掲げましたわ。
すると魔法石から漏れる淡い光がそれらを包み、私の手のひらの上で一瞬強く白い光を放ちましたわ。
それがすっと引くと、手の上には何やら赤い光を放つ綺麗な液体が試験管に入って乗っていましたわ。
目を閉じてそっとそれを胸の前で握り締め、溜息を一つ。
Xaiは投げられました。どの道、もう後戻りは出来ませんわ。
ここは堂々と行きましょう!
私は睨みつけるような視線を送りながら勢い良く振り向きました。
そこには、変わらず腕組みをして此方を冷ややかに観るあんちきしょうの姿がありましたわ。
突き出すように両手を前に出し、握っていた手を開いて赤い液体を見せましたわ。
そうするや否や、
教官 「ソウルストライク。」
教官が何やらボソリと言った瞬間に空間の一部がまるで紙が破れたように避け、其処から何やら白い塊が此方へ向かって猛スピ−ドで突っ込んできましたわ!
真実姫 「わきゃあ!?」
ばっきゃ〜ん!
その白い塊は、思わずしゃがんだ私の手から浮いた試験管にぶつかって、それを粉々に砕いてしまいました。
ガラスと一緒に、淡く光る赤い液体が当りに飛び散りって、教室内のあちこちから、短い悲鳴が上がりましてよ。
真実姫 「な、何をするんですの−!」
教官は答えずに、ゆっくりと首を左右に振りましたわ。

・・・・・。
・・・・そっか、賭けは外れましたのね・・。
周りからも、ひそひそと声が聞こえてきますわ。
教官 「格好の悪い事ね。」
真実姫 「・・・そうですわね。」
教官 「これはチャンスよ。他の道を歩む、ね。」
真実姫 「もう一度挑戦しますわ。断わらないでしょうね?」
教官 「これ以上惨めな思いをするかもしれないのよ?意気込んで魔法使いになった挙句、ステ振りを失敗したとかでこの国を去っていった人間を、私は数限りなく見てきたわ。」
真実姫 「・・・こちとら、惨めと不恰好には免疫があんのよ。心配しなくても、あたしに関してはそんな寂しい思いはさせないから、安心してよ。」
教官 「・・・そう?」
口の端に薄く笑いを浮かべると教官は少し顔を伏せて、上目遣いに此方を見据えましたわ。
真実姫 「・・・・全く、困った
女
が教官をやっているものだわね。・・・もう行きますわ。」
教官 「貴女が持ってくるのは4番の混合液よ。」
真実姫 「・・・・そんな事、知っていますわ。間違えただけですわよ。」
教官は目を閉じてクスッと小さく噴出すと、組んでいた手を解いて出口を指差しましたわ。
私は何も言わずに勢い良く振り向いて、黙って出口へとずかずかと歩いていきました。
通りすがりの魔法使いさんが小声で「なむ〜;;」と言ってくれましたわ。
真実姫 「なむありっ!」
全く!
いっそ観用少女の様に涙が宝石か何かにならないかしら!?
今ごろ大金持ちですわっ!
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