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ベルトルト・ブレヒト 1939年、ナチ軍によるポーランド進行がはじまる。この本は、その時代に親を無くし、兄さんを兵隊にとられ、そんな子供たちが結成した十字軍なるものを描いている。 十字軍の原義とは、「西欧諸国のキリスト教徒がイスラム教徒を討伐するために、11世紀末から13世紀後半にいたるまで7回にわたった遠征、その軍。」である。この子供たちは、そのような目的できたわけではない。よって、私はこの題名にまず、疑問を感じた。作者は文章中で「平和の地にたどり着きたかった」と彼らの思いを書いている。 つまり、彼らは、略奪や、戦争、宗教的な争い、利益を求めるわけでない、ただ子供たちに必要なのは平和、平等、愛なのだ、と。しかし、なにもかもとっぱらって、みな仲間、というわけには、子供だってそうはいかないものだ。 「やせて小さなあおい子が仲間はずれで歩いていた おそろしい罪の負目がある―――ナチ大使館の子だったのだ。」 かつてから、イスラム主義とキリスト教は対立を続ける。その名残があることは、みな知っていることだろう。もちろん、そういう一本化された対立だけではない。歴史を短絡的にみることは、重大な間違いなのだ。 国の指導者に、そのようなかつてからの対立観念を土台とした、危機的な感情があったとしたら、それは自国の民を犠牲にしてまで、無理やりな言い訳をつけて、戦争してはいけないのだ。あってはならない。子供たちの十字軍は、平和だけを求めているのだとしたら、そのようなある「境目」を取り除かなければならないだろう。もっぱら、境目というものは、区別とは違うものだが。 この本は、読者に答えを与えないまま、いってみれば未完成だと思う。しかし未完成さのゆえに、考える部分が多々あるだろう。 あずみ |
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2003年04月19日 書
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