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福田 敏浩 著 晃洋書房 この本のテーマは何かというと、東欧諸国がソ連のペレストロイカ、ドイツのベルリンの壁の崩壊によって資本主義への経済体制移行を雪崩のように進めていった。そのことはなぜ起こったのかの分析と今後どのような政策で体制移行を進めていくのが望ましいのかについての提案に力が注がれている。 表
著者は上記の表のように経済体制を分類し、社会主義の特徴とは公有にあると説く。市場社会主義というのは読者には聞き慣れない言葉であると思うので、付属の説明をしておくと、第二次世界大戦の終了後、管理社会主義であったソ連を見習い東欧諸国は経済体制を共産党一党独裁、公有である管理社会主義に移行するわけだが、戦後に登場した誘導資本主義(ex.日本・西独・米など)に比べて効率の面で勝利することができなかった。そこで、管理社会主義はいくつかのマイナーチェンジを行っていくわけであるが、その中で市場を取り込み、いくつ作れという指令を与えるのではなく、こうしたほうがいいのではないかというエッセンスだけを与える方式に切り替えた国がある。チェコスロバキア・ハンガリー・ユーゴスラヴィアといった国々である。チェコはそうした改革の中でプラハの春と呼ばれるソ連の弾圧を受けることになるが、ハンガリーでは東欧革命が起こるまで、市場社会主義として存続したという。 そうした認識を踏まえて、著者はある経済体制が存続しうる条件について言及する。それは意味的・機能的な連結の強さである。誘導資本主義は私有という個人主義の価値観に立ち、市場経済という自由を与えた結果、意味的な整合性と機能的な効率が強固な連結が可能になった。管理社会主義はどうかというと、公有という全体主義的な価値観に立ち、中央管理経済という国家主義的な管理をした結果、意味的な整合性は整ったが、機能的な効率の面で弱さが残り、弱い連結となってしまう。市場社会主義に至っては、公有という全体主義的な価値観に立ち、市場経済という自由を前提にした相互調整方式を与えた結果、意味的に整合性は整わず、また機能的にも公有を前提としたために成長ブレーキがかかってしまったことが報告されている。つまりもっとも弱い連結となってしまったのである。 さて、著者の言う存続しうる経済体制の条件とは、他の体制よりも効率がよく、思想的なバランスがうまく取れている体制であるという。現在においては誘導資本主義の一人勝ちであるが、それは今後新しい体制にとって替わられるかもしれないということまで言及している。 著者は体制移行について東欧諸国に関してはほぼ完了したと見ている。しかし、体制移行についての様々なサンプルが取れたことが今後、アジア・アフリカの社会主義国家に対する何らかの提言になればとの期待を持っている。得られたサンプルの研究から体制移行(公有→私有への移転)については急進的にするか、斬新的にするかということで分かれ、著者の立場は急進的に行うべきだと主張している。 かかし | |||||||||||||||||||||
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2003年03月29日 16時54分01秒
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