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徒然なるままに記す異国滞在漫遊日記(遊び呆けている訳ではないぞ)

日時
1999年8月15日
主な出来事






シカゴはもう夏は終わり、秋に入りかけたようです。20℃前後で推移し快適ですが、半袖・短パンではちと涼しいかなと言うような環境になりました。そんな中木曜日にシカゴダウンタウンの一部突然襲った大停電が騒動を呼びました。今でも問題となっている。これはダウンタウンの北部が朝の8時頃(1時間後復旧)、西部が10時頃(同)、南部が14時頃(同)に突然電力供給が止まり、異変に気づいた電力会社(Commonwealth Edison=コムエドと言う)は15時くらいからダウンタウン南部の一部への電力供給を意図的に止める旨一方的に通知し、実施したもの。幸い警察・病院や地下鉄などには支障がなかったが、レストランなどでは冷蔵庫の材料が腐るなど文句たらたらで、この日の被害総額は推定100億円程度となったらしい。原因はダウンタウンに2ヶ所ある変圧器4つづつのうち3個が故障した事によるもの。

事前に自社の設備の以上や電力の需要を見込み切れず、突然電気が切れると言う最悪の結果になったお粗末な対応に、Daley市長は完璧にぶち切れてしまった。当日の16時に緊急会見を開催し、
「そもそも事前に通知がなくて突然電気が切れるとは、いったいどーいうことなんだ。これは市に対する脅威であり、市としては絶対に見過ごすことはできん。そもそも自分の設備が老朽化していることなど、当然事前に察知しているはずだろ、全く金を惜しんで手抜きな事をやっているからだよっ。お前らのせいで警察、消防、病院、交通、鉄道、等今の所現場の人々は大変だぞ。たまたま彼らが、実に巧く立ち回ってくれているからいいけど、市・市民に対する責任は大きいなんてもんじゃないぞ。現在のCEOはまだ着任して1年も経っていないが、彼に聞いたところ何も知っちゃいないじゃん。会社の中の誰かとんでもない奴が意図的に情報操作をして、CEOに虚偽の報告をしていたに違いない。誰かが嘘をついていたんだ。」
とまあ、実に激しい調子で民間企業を非難してました。大島渚じゃないけど、殆ど「バカヤロー」の乗りでした。この会見あんまり面白くて、夜に何度も再放送していたので全部見てしまった。アメリカでは嘘をついたと言う事は実に重大な意味を有しており、最大級の非難と考えて間違いないです。いつもは避難される側の市長も鬱憤がたまっていたのでしょう、一気にあちこちの日頃の恨みをコムエドにやつ当たりしたという感じでもありました。
翌日、電力会社の副社長が責任を取ってというか、追いやられた形で辞任となりました。結局調査団を設置して調査開始することとなった。変圧器の方は、今後どうなるかといった特段の変調は発見できず、なんとなくうやむやムードになって来てますね。

新聞には電力会社の非難した、怒りの市長の写真がでかでかと掲載されており、大変勇ましいものでしたが、2・3日経過後の新聞には、市長に対する意見が掲載されています。「電力会社への非難は市長として当然のことですが、それ以外に老朽化したインフラ施設の改修・取り壊し新築はどうするおつもりなんですかね、市長さん。あなたが担当でしょ。橋、道路、地下高速道路、電車の陸橋、水道、等これまで先延ばしになっていた大改築作業は山積みだし、財政は火の車だし、どうするんですかね?あんたが指摘した電力会社の問題なんか全部あなた自身の大問題なんじゃあないの。コムエドばかり非難できないんじゃないの」。私はこの論説に爆笑してしまいました。

この辺はシカゴのみならず、アメリカ全般(日本の役所にも)に言えることですが、既存の老朽化したインフラの維持管理・改修には余り力を入れられず、別の新築のものには注力される、という傾向が見られます。基本的には政治家のご機嫌とりのせいのようです。老朽化したものを改修しても誰も評価してくれないし。あっこれは民間企業にも当てはまるか。だから新築のホールやら公園やら何とかセンターは実に良く作られることになりますね。

一般にアメリカのインフラはあまりにも老朽化が激しいのに全く省みられていない例が多いです。Bostonの高速道路も地下鉄もひどいよー。例えば、地下鉄の駅(Harvard SQ.)なんてネズミが追いかけっこしてるもんね。またNYのマンハッタン島から東西に架けられている数本の橋は、全部が相当老朽化しており、傍から見ても錆だらけで、おいおい大丈夫かよ、という程度まで来てます。また道路も劣悪で、冬季の凍結によりアスファルトが陥没したりで、ぼこぼこになってます。Die Hard3の後半に出てくるトラックが移動する道路FDRは、その悪路の典型例です。イリノイ州も同様で、日本人には信じ難い光景が並びます。

先日は2層構造になっているダウンタウン内部の地下の高速道路の屋根のコンクリートが剥離して塊が道路に落ちてきた、何て言う事件もありました。その周辺は1日封鎖されましたが、コンクリート工事の補修工事等は、内部が腐食されている限り全く役立たないのが通常。所謂対処療法に過ぎず、また出てくることは間違いない。この辺のコンクリートの老朽化の話はまた後日。

いずれにせよ、今回の電力会社のダウンは所謂Y2K(2000年問題)の前哨戦のようなもので、実際こんな形で被害が現れるんだろうなあ、と思います。行政側は「俺達はきちんとやれと何遍も言ってきた」などとほざいて、担当の企業を責めるだろうし、担当の企業は担当者を首にしておしまいというシナリオは見えています。どこの企業もY2K対応をそこそこやっているみたいだけど、電力会社等のダウンは見込んでいなくて、電力がきちんと供給可能な事が最低の前提になっています。これが崩れたのが今回の事件で、色々な意味で考えさせられる事件でした。ちなみに電力なしなら地下鉄も動かず、ビル内も臨時の自家発電機でも3〜4時間くらいしか持たないから、臨時休日にでもなるんでしょう。

先日Eyes Wide Shutを鑑賞してきました。後日またこの辺は。誰か感想を送ってください。









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