これができます。ここまでやれます。 安田瑛理
かーさんは言う。
「今は資格の時代なんだから、ちゃんとやってくるのよ」
オヤジも言う。
「資格は取っておいた方がいいぞ。何があってもツブしが効くし」
……マジ?
つーか、大学に何を期待してんだか分かったもんじゃねぇな。そんなプレッシャーかけんなっつーの。
だけど俺、何したらいいんだろ。
ダラダラガッコ行って、サークルやって飲んで、バイト行って、遊んで、だいたいそんな繰り返し。
イミあんの?こんな生活。
ダルくてダルくてしょーがねぇ。
やる気が出ねぇっつーかなんつーか……ムダなことしてるカンジ。
何もかんも自由っつーのも考えもんだよなぁ……。
だけど、ずーっとダラダラしてるワケにも行かないっつーのが、年をとるってことだよなぁ。
俺ももうハタチで、今年二十一で、ガッコも何か忙しい。
周りが変わる速さに、ついていけねぇっつーか……追いついてない。
俺って何すりゃいーの?何ができるんだ?
去年の冬から二人ともうるさくなってきてるし。
「お前、どうするんだ?」
「周りの友達はどうするって?」
「先輩がどこ行ったか調べておきなさいよ」
「もう来年から就職活動だろ?」
もうそんな時期?
つーか、いきなりすんなよ、ンな話。今まで何も言わなかったじゃん。
「じゃ、院行くの?」
行かねーよ。
そりゃ、
「卒業したら働くんだよなぁ……」
ぐれーは何となく考えてたけど……いきなりはナシじゃね?
「何言ってんの。そのために学校行ってるんじゃない。しっかりしなさい。いい年して」
おいおいおい……カンベンしてよ。
ホントの所、ガッコなんて何しに行ってんのかも分からんねーんだぜ?
それに……資格とか何のために取ってんのかも分かんねーし。
一応やってるけどさ、その仕事するか分かんねーし。
俺のしてることって何?
俺がしてきたことって何?
……あーぶねぇあぶねぇ。
鬱スパイラルにハマっちまう所だったぜ。
「なぁ、オヤジ」
「あぁ?」
「オヤジとか、かーさんとかはさぁ、資格資格言うけど何か持ってんの?」
「免許証」
「そんくれー俺も持ってるっての!そーじゃなくてさぁ……」
「特には無いなぁ。あ、サッカーの審判員とかあるぞ」
「……言うワリには持ってねーんじゃん」
「まぁな」
「オヤジとかさぁ、持ってなくてもこうして立派に働いてんだから、いらないんじゃねぇの?資格」
「やりたいことをやるには、資格がいるんだぞ」
「それって先生とか、そーゆーのだろ?フツーの社員とかにはいらなくねぇ?」
「……お前は、初めて会ったヤツが何が得意かとか分かるか?」
「……分かるワケねぇじゃん」
「だろ?そういうことだよ」
「どーゆーことだよ」
「自分が、何をどのくらいできますっていうのを一発で説明するのが、資格なんだよ」
これは……目からウロコってヤツか!?
はー、そーゆーことか!
「だから、資格を取得するってことは、自分に”とりえ”を作るってことなんだよ」
ん?
「……字が違くねぇ?とりえって……取る柄だろ?」
「けっこう、巧くないか?」
「けっこう、な」
自分で言ってる時点でアウトだぜオヤジ……。
「ま、早いとこ海外旅行へ連れてってくれよ。英語できたら、通訳として連れて行ってやるから」
「俺が連れて行くのに『連れて行ってやる』かよ」
「楽しみだなー。どこ連れてってくれるのか」
……つーか、就職する前に先ず卒業だな……。
<end>