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□マガジンタイトル:「少し、ふつうのエッセイ。」 □発行周期:月2回、第1・第3月曜日の発行を予定しています。 □マガジンの内容:私が体験したこと、思ったことなどを書き綴ったエッセイです。 □登録・解除 |
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少し、ふつうのエッセイ。 (マガジンID:0000092951)
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//////////////////////////////////////////////////////////// <<少し、ふつうのエッセイ。>> 第0回 「真夜中の散歩」 発行日 2002年6月18日 //////////////////////////////////////////////////////////// はじめに このメールマガジンは私、池野丹(ペンネーム)が 体験したこと、思ったことなどを 書き綴ったエッセイです。 このメールマガジンは『まぐまぐ』さんから発行されています。 もし、このメールマガジンを購読した覚えがないのに、 届いた場合は手違い、若しくはイタズラですので、 お手数ですが、『まぐまぐ』さんか私のホームページから 購読を解除してください。 『まぐまぐ』さんと私のホームページのURLは、 このメールマガジンの最後にあります。 //////////////////////////////////////////////////////////// 第0回 「真夜中の散歩」 猫が好きだ。 いや、むしろ動物全般が好きといっても過言ではない。 その中でも特に猫が好きだ。 そんなわけで、我が家では猫を飼っているし、 必然的に猫との出来事も色々とあった。 どうも、私は動物から見て、 好き嫌いがはっきりとされているらしい。 よく他所の犬に吠えられるが同時に よく他所の犬に甘えられたりもする。 一方の猫の方には、道で鳴き付かれることもままあるし、 また、部屋に入れてくれ、と急に家の網戸に張り付いて 鳴き出した野良猫もいた。 犬が吠えるのは、番犬としての仕事だから分かるが、 どうして、犬や猫に甘えられたり、 さらには網戸に張り付かれたりするのか、 これらは見当もつかない。 今回書くのは、そんな動物とのやり取りの中でも、 猫とのある不思議な出来事である。 昔、我が家に一匹の野良猫が住み着いた。 当時、特に名前をつけなかったが、 白い猫だったので、シロと呼ぼう。 そのシロだが、捨て猫だったようだ。 全く人を警戒せずにむしろ、 人と見れば誰にでも擦り着いていくような猫だった。 我が家の飼い猫とケンカをする以外はごくおとなしく、 玄関に近い一室を占領して、一日中じっとしていた。 不思議な出来事というのは、シロが我が家に住み着いて、 二週間ほどの事だった。 ある夜のこと。ふと、目を覚ますとシロが外で鳴いていた。 枯れた特徴のある声ですぐに分かるのだ。 時計は深夜の二時を回っていた。 うるさいくらいに鳴いていて、何事かと私は外に出てみた。 玄関を出ると、やはり鳴いていたのはシロだった。 だが、いつもと様子が違った。 普段は、人を見れば近寄ってくるのだが、 じっとしたまま動こうとしない。 私が近付くと、シロは逆に離れていった。 警戒して、逃げるというわけでもなかった。 その証拠に、近付く私から離れはするものの、 私の先を少し歩くと、立ち止まって私を振り返り、 また鳴くのだ。 再度、私が近付くと、やはりシロは先を少し歩いた。 そして、立ち止まり、また鳴く。 こんなやり取りが何度か続いた。 私に「ついてきて」と訴えているようだった。 猫は案外、こういった行動を取って、 例えば「エサが欲しい」とか「ドアを開けて」、 「水が飲みたい」といったように訴えてくる動物である。 だが、シロは野良猫である。 さらには、シロが誘導する先は町の通りなのである。 何を求めているのか全く見当がつかない。 私は少し、思案したが、ついていくことにした。 パジャマにサンダルという格好だったが、 この時間、誰もいやしない。 私が歩き出すと、シロはいよいよ私を誘導するように 先を歩き出した。やはり、何か訴えている。 黙って、シロについていった。 しばらくして着いた先は、ゴミ捨て場だった。 生ゴミをあさるのかと考えたが、そうでもなさそうだった。 ここでは、なぜかコンクリートの箱のような(ちょうど、 浴槽の巨大版を考えて頂くと分かり易いかと思う)、 入れ物にゴミを入れて、さらには鉄のふたをするのである。 人間がずらすにも少々重い鉄のふたで、 猫がここでゴミをあさるとは思えない。 他にもっと楽にゴミをあされる場所はある。 シロはゴミ捨て場の前でじっとしていた。 この時、シロは鳴かなかった。 私には、別の見当がついた。 実はシロは最初、ここにいたのだ。 ひょっとして、(たぶん)捨て猫のシロは ここで飼い主に捨てられたのではないか。 飼い主の事を思い出してここにきたのではないだろうか。 もちろん、真意は分からないが、 その時、私にはそう思えた。 五分ぐらい、じっとしていただろうか。 その後、シロは何かを諦めたのか、 それとも何か別の考えがあったのか、 色々とあちこちを歩き回った。 当然、私もそれについていったわけである。 途中、家に戻ろうとしたが、 シロは鳴いて私を呼び止めるのだった。 三十分は歩いたと思う。 最後まで、何の目的で私を連れまわしたのか は分からなかった。 結局、私の家に戻ってくると、 シロはまた占領した一室に戻り、眠ってしまった。 釈然としないものがあったが、 これでその夜は終わりである。 猫に散歩に誘われたとしか言いようがない。 翌朝、家族に昨夜のシロのことを聞いてみると、 誰もシロが鳴いていたことは気付かなかったらしい。 さらには、私が外に出ていった事も知らなかったらしい。 普段は、私がトイレに行くぐらいでも、 家族の誰か一人は気付く。 だが、その夜だけは誰も、私が起きた事も シロが鳴いていたことにも気付いていなかった。 さて、私を夜中の散歩に連れ出したシロである。 この夜から数日後、急にいなくなってしまった。 あれから、二度と見る事はない。 あの散歩で私に何か伝えたい事があったのだろうか。 それとも、それは思い過ごしで、 やはり単なる散歩だったのだろうか。 白い猫を見ると、そんな出来事を思い出す。 //////////////////////////////////////////////////////////// 次回は、7月1日に発行予定です。 みなさんのご感想など頂ければ幸いです。 お待ちしています。 ※無断転載等はご遠慮ください。 //////////////////////////////////////////////////////////// 発行者 池野丹(ペンネーム) まぐまぐID 0000092951 登録と解除 http://www.mag2.com/m/0000092951.htm ホームページ「Pool Side」 http://www.geocities.co.jp/bookango/3794 メールはコチラ soapdisk@mail.goo.ne.jp |
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