第八章 緊張の夜
〜みんなの気持ち〜



「ダラスにどう行くんだ?」
「あっちには、空を飛ぶものがないからな、このまま行ったら、俺たちは反逆者になっちまう。」
「そんな、大げさなぁ。」
「本当だ。気をつけないと、すぐに、捕まってしまうぞ。」
「そんなとこに行くっすか?」
「そうだ。」
プシュー
転送室の扉が開いてそこからミサキが入ってきた。
「ミサキ、どうしたんだ?」
「どうしたんだじゃないよ!私一人置いてってさ!」
「あ、悪い。忘れてた。」
「ひどーい!」
ミサキの、大きな声が、転送室中に響いた。
「まぁ、いいじゃないか。」
「あっ!お父さん!」
「さっきまで気付かなかったのか?」
「うん、全く。」
ミサキが、あっさりと言うから、父さんもがっかりしていた。
「お前もひどいぞ。」
「・・・・・・」
「そんなことより、まずはブリッジに行くわよ。」
「え、あぁ。」
俺たちは、転送室を後にしてブリッジに向かった。



「おかえりなさい。」
「ただいま、ミラージュ。でも、今は、楽しんでる暇はないわ。」
「どうして?」
「魔界の扉の場所がわかったわ。すぐに作戦を立てるから、みんなをここに集めて。」
「わかりました。」



しばらくたって、イーグルに乗っている、ほとんどの人がブリッジに集まった。
(艦は結構大きいけど乗ってる人は2,30人しかいないよな。)
「ねぇ、ルナ義兄、イーグルの乗員って、こんなにも少ないの?」
「あぁ、乗員は最小限におさえてある。」
「そうなの?」
「そうだ。」
俺らが話していると、ラナが話を中断した。
「前にも話したように魔界の扉のことだけど、その魔界の扉の場所がわかったわ。」
「もうひとつ、ルナ義兄に質問があるんだけど・・・」
「うん?なんだ?」
「ルナ義兄だけ魔界の事知らなかったわけだよね。」
「あ、あぁ。」
「そこ!喋ってないで聞きなさい!」
いきなり、怒鳴られたので驚いてすぐに謝った。
「ごめんなさい。」
「悪い。」
「話の続きだけど、魔界の扉に行くための作戦を立てたいわ、何かいい作戦は、ない?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・」
2分ぐらい、沈黙があった。誰からも案が出なかった。
「ない?」
「・・・はい。」
「シオン、何?」
「空を飛んでいくのは駄目なんだよね。」
「あぁ、向こうには、空を飛べるの物は確認されていない。」
「なら、転送できる物は?」
再度、質問をしてみた。
「それはわからないわ。」
「そうか・・・それじゃあさ、町の近くに転送して、歩いてその町に行けば、いいんじゃない?」
「そうだな、それがいいんじゃないか?」
「そうね、それで行こうと思うんだけど、みんなはそれでいい?」
「私は別に・・・」
「あぁ」
皆が賛成して、それで行くことが決まった。
「じゃあ、作戦も決まったことだし、解散していいわ。」
「了解」
ブリッジに集まっていた乗員は、俺たちを除いて出て行った。
「ところで行くやつは誰にするんだ?」
「私は行くわ。」
「俺も行く。」
「それじゃあ、俺もだな。」
「私も行きたい。」
「お前、今度は確実に死の危険があるんだぞ。」
少し怒り口調で言った。
「私だって、紋章術でサポートぐらい出来るもん。」
「ラナさんも何とか言って下さいよ。」
「うーん・・・確かに私たちには回復役ってのはいないわね。」
「でしょ!」
「でもなぁ。」
「いいじゃないか、ミサキを連れてっても。」
「だけど、」
「別に、かまわないわよ、私は。あなたが、ちゃんと、自分を護れるならね。」
「ラナさん、ありがとう!」
「ほんとにいいのか?」
「別にかまわないって言ったでしょ。」
「大丈夫ですよ、ミサキさんは。」
「ミラージュさん。」
俺達が話しているところにミラージュが加わって来た。
「あなたたちが、ヴァンガードへ行っている時、私も付き合って、練習してましたから。」
「ほんとか?」
「うん。強力な紋章術も覚えたんだから。」
「そうか、なら、大丈夫かな。」
「なら、行くのは、ミサキと、シオンと、俺と、ラナでいいか?」
「ミラージュさんは?」
俺は、ミラージュに聞いてみた。
「私は、ここで待っているわ。」
「そうですか・・・」
「行くのは、明日よ。それまで、ゆっくり休んで。」
「わかった。」
「それじゃあ、解散。」
「はい」
「ミラージュ、イーグル、ヴァンガードの平原に、降ろしといて。」
ラナの声を最後に聞き取って、俺と、ミサキは、ブリッジをあとにし、自分たちの部屋に向かった。
「なあ、ミサキ。」
「なぁに?お兄ちゃん。」
「お前、どんな呪文覚えたんだ?」
「なに、急に?」
「いや、どんなのを覚えたのか聞きたかっただけだ。」
「うーんとね、攻撃呪文でも、凄いの覚えたんだからね。」
「ふーん。」
「回復呪文でもね、ヒーリングより、凄いのを覚えたんだから。」
「そうか。なら安心だな。」
「うん、だから、安心していてね。」
「でも、お前は、後ろのほうにいろよ、前は、俺たちが何とかするから。」
「わかってるよ。」
「ならいいよ。・・・じゃあ、明日。」
「うん、明日。」
俺たちは各自の部屋に入って行った。



「ねぇ、ヴァスター?」
俺は、部屋の中に入ってから、ヴァスターに語りかけた。
『・・・なんだ?』
「お前、魔界の扉閉じたらどうするんだ?」
『聞いてなかったのか?』
「何を・・・」
『前言っただろ、名前を呼んだ者の体を使って、生活するんだ。出ることは出来るが、お前が死ぬことになる、って。』
「じゃあ・・・」
『そうだ、お前が死ぬまで無理だな。』
「はぁ。」
『なんだよ、その嫌なような溜め息は。』
「いや、そういうわけじゃ。」
『そうか?』
「あ、あぁ。」
『まぁ、いいが、お前、明日からは、こんなのんびりは、してられないぞ。』
「あぁ、わかってる。」
『だから、もう寝たほうがいいかもな。』
「7時か・・・」
『そんな時間なら寝たほうがいい。』
「じゃあ、そうするよ。」
俺は、ベットに入り、そのまま、寝てしまった。



「ふぁあ。」
俺はあくびをして、今の時間を確認した。時計は、PM9:00となっていた。
「まだ九時か・・・」
(目、覚めちまったな。)
「どうするか・・・、ミサキはどうしてるかな?」
『気になるんだったら見に行けばいいじゃないか』
「ヴァ、ヴァスター!」
『何、驚いとる』
「だってヴァスター寝てるかと思ってたから。」
『私は、お前の精神だ。お前が起きたら、私も起きる。』
「そうか・・・悪かったな。」
『別にかまわんさ。私は、お前の身体を使ってるからな。』
「そう・・・。ヴァスター。」
『なんだ。』
「ヴァスターって、今、緊張したりしてる?」
『緊張か・・・わからんな。』
「そう・・・俺は今、緊張してるかもしれない。」
『シオン・・・。明日は、敵の本拠地に乗り込むんだろ。緊張して当たり前さ。』
「そう・・・だな。」
『緊張してるんだったら、外の空気でも吸いに行ったらどうだ?』
「そうしようかな。」
俺は、自分の部屋をあとにした。



「甲板は、確かこっち・・・」
俺は、記憶を確認しながら、甲板に向かって行った。



「ふぅ・・・。」
甲板の扉を開けて、外の空気を吸った。
「あれ?ルナ義兄だ。」
甲板に出ると、ルナが、立ってるのが見えた。
「ルナ義兄どうしたの?」
「なんだ、シオンか・・・」
「こんなとこに来て、緊張でもほぐしてたの?」
「ば、バカか、な、何で俺が緊張しな、いかんのだ。」
「思いっきり、言葉詰まってるぞ。」
「うるさい!」
「へいへい。」
「・・・お前はどうして?」
「俺は、外の空気を吸いにだよ。」
「そうか・・・」
「ねぇ、ルナ義兄。」
「なんだ。」
「この戦いが終わったら、どうするの?」
「戦いが終わったら、か・・・どうするだろうな。・・・クォークを、続けるかな。」
「ふーん。」
「お前はどうする気だ?」
「俺は、家に帰るかな。」
「そうか・・・」
「ルナ義兄もたまには顔出してよ。」
「あぁ、そうするよ。」
「・・・それじゃ、俺寝るわ。」
「じゃ、明日な。」
「あぁ。」
俺は、ルナを残して甲板をあとにした。
「自分の部屋戻って寝るかな。」
自分の部屋に向かっていった。
「ん?」
部屋へ向かう途中に、誰かの扉から光がもれているのに気がついた。
「誰の部屋だ?甲板に行くときは点いてなかったのに。」
部屋の中を、隙間から見てみると、ラナがベットの上で座っていた。
(入ってみるかな。)
コンコン
「誰?」
「シオンです。」
「・・・どうぞ。」
「失礼します。」
「どうしたの?こんな夜に。」
「廊下に光がもれてたので、どうしたのかな、って思って。」
「ちょっと、考え事をね・・・。あなたこそどうして、こんな時間まで起きてるの?」
「俺は、ちょっと目がさえちゃって。」
「そうなの・・・」
「ラナさんは何を考えてたんですか?」
「私のことは、ラナでいいよ。」
「そうですか・・・じゃあ、ラナ、何を考えていたんだ?」
「魔界の王についてよ。」
「・・・・・・」
「クロウズと、話してたんだけど、魔界の王は、すごく邪悪な力を手にしたそうよ。」
「その力って?」
「それは、わからないわ。でも、クロウズには、探索の能力があるから、それで、頑張ってみるわ。」
「頑張ってください。」
「ありがとう。」
(クロウズが、探索なら、ヴァスターは、何の能力があるんだ?)
『私の能力は、戦闘だ。』
(ふーん、そうなの。)
「シオン、明日は早いわ。だから、早く寝なさいよ。」
「あぁ。」
「それじゃ、お休み。」
「お休み。」
俺は、ルナの部屋を後にして、自分の部屋に向かった。



「よし、じゃあ寝るかな。」
自分の部屋に入ろうとしたとき、ミサキの部屋から、誰かが出てきた。
「ん?・・・誰だ?」
「お兄ちゃん?」
「なんだ、ミサキか・・・」
「なんだじゃないわよ、どうしたの?」
「いや、寝られなくて・・・」
「お兄ちゃんも?」
「も、って?お前もか?」
「うん。」
「寝られなくても、もう寝ろよ。」
「だから、寝ようとしても寝れないんだって!」
「・・・そうか。なら、お前が、寝るまで側にいてやるよ。」
「ほんと?」
「あぁ、側にいてやるよ。だから、もう寝ろよ。」
「うん。」
俺たちは、ミサキの部屋に入っていった。
「ほれ、速く、速く。」
「なんで、そんなにも急ぐの?」
「俺は、はやく寝たいんだ。」
「なら、しかたないね。」
「・・・お休み。」
「お休みなさい。お兄ちゃん。」
俺は、しばらくその場にいたが、しばらくして、ミサキの部屋をあとにした。



「よし、寝るか。」
俺は、自分の部屋に入ってベッドについた。
「明日からは、しばらくベッドで寝れないだろうな。」
『そうだろうな。』
「ヴァスターか・・・そうだろうね。」
『お前は、早く寝たほうがいい。明日に疲れが残ってたら、イセリアル・ブラストが、何発も打てないからな。』
「そう言う意味かよ。」
『だから、早く寝ろ。』
「ま、いっか。・・・お休み、ヴァスター。」
『あぁ、お休み。』
目を閉じてしばらくすると眠ってしまった。



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