第六章 罠
〜ピウィグの戦略〜



「ふぁあ。」
俺が起きると、すぐ横にミサキがいた。
「なんで、お前がいるんだ!」
「だって、艦内放送流れても出てこないんだもん。お兄ちゃん。」
「え、放送あったの?」
「うん。みんな待ってるよ。」
「やっべ!急がんと。」
俺は急いで、ブリッジに向かった。
「すみません!」
「いいのよ、別に。まだ、作戦開始まで40分もあるのだから。」
「でも、遅いことは遅いよな。」
「ルナ!」
「・・・すまん。」
「それより、もう一回作戦を確認するわよ。
まず、私と、ルナとあなたと戦闘員を4人連れて、ヴァンガードの平原に下りるわ。
そのあと、向こうが出てきたら、こっちの戦闘員を平原に送ってピウィグを脅して、ウイン博士を受け取るわ。
最後に、ミラージュに私たちをイーグルに転送してもらって、終わりよ。」
「あぁ。」
「じゃあ、もうそろそろ準備を始めてちょうだい。」
「うん。」
「お前、本当に行くきか?」
「そうだよ。」
「じゃあ、自分のことは自分で守れよ。」
「そのつもり。」
「なら、さっさと準備して来い。」
「うん。」
そう言って、ミサキは、ブリッジから出て行った。
「さぁて、俺も用意すっかな。」
「あなたは、剣を持つだけでいいでしょ。」
「あ、ばれてました?」
「当たり前よ。・・・あと、40分間で、あなたには、聞いてもらいたいことがあるの。」
「なに?」
「もし、もしよ、あなたのお父さんが亡くなってしまったとしたら・・・
あなたなら・・・どうする?」
「俺の前で、死ぬなんてこと口に出さないで!
・・・でも・・・もし死んでしまったら、そん時は、ピウィグたちを殺す!」
「そうね・・・私たちもね、ウイン博士にはいろいろと聞きたいことがあるの。」
「どういうことを聞くの?」
「それは・・・」
「・・・言いたくなければいいよ、別に。」
「それなら、博士が来てからやっぱり話すわ。」
「そう・・・じゃあ、俺は、剣持ってまた来ますね。」
「そうね、じゃ、また後で。」
「あぁ。」
俺も、ブリッジを後にした。



「どうするか・・・」
俺の部屋で考え込んでいたが、すぐに考えが決まった。
「よし、フラニティを持って、ブリッジで待っているかな。」
『お前、あと、40分も向こうで待ってるきか?』
「あぁ、何もすることないからな。」
『その剣を磨いたりとかしないのか?』
「あ、忘れてたぜ。・・・じゃあ、あとの時間、この剣を、手入れするかな。」
俺は、ポケットから、ハンカチを取り出して、水に濡らした。それで、フラニティを磨いた。
「そういやさ、ヴァスター。」
『なんだ。』
「あんたっていったい何者なんだ。」
『私は、天界の使者だ。』
「天界?何だそりゃ。」
『天界は、言わばお前たちで言う天国のことかな。
お前たちの世界の上にあるところだ。
で、お前たちの世界の下が、魔界だ。』
「ふーん。天界の使者がいるってことは、魔界の使者もいたりするのか?」
『あぁ、存在する。魔界の使者は、いわゆるモンスターだ。
私達は、魔界の者を始末するために、こっちの世界に来たんだ。』
「そうか・・・なら、大変だな、モンスターって、この世に、何億って数ほどいるぞ。」
『一匹一匹倒していってもきりがないからな、その元を断つ。』
「元って?」
『お前たちの世界と、魔界とを通じる扉が、日に日に開いていっている。
時間が経つと、人間界が、魔界に飲み込まれてしまうのだ。』
「それって・・・結果的にどうなるの?」
『お前らの世界に魔界の者たちが入ってきて、今より、何億倍のモンスターが、人間界に住み着くだろう。』
「何億って、・・・やばいじゃん!」
『そうだ。今はまだ、扉があまり開いていないから、弱いものしか入ってこれないが、
扉が開き続ければ、この艦ぐらい大きなモンスターがこっちに来る。』
「そうなると・・・早くその扉を見つけないと!」
『あぁ、そうなんだが、その扉の場所がいまいち分からんのだ。』
「それじゃあ、どうするの!」
『お前の父が、魔界について研究しておる。』
「えっ!そんなことまで研究してるの父さんって。」
『あぁ、だから、お前の父が扉の場所のことについて何か知っているかも知れん。』
「なら、早く助けないとね。」
『あぁ。』
「あとさぁ、あと、どんだけで魔界の扉が完全に開くんだ?」
『魔界の扉は、あと、一ヶ月ぐらいで完全に開いてしまう。』
「一ヶ月って、まだそんなにもあるじゃん。」
『そんなにもってモンじゃない。魔界の扉を見つけたとしても、その扉を閉めるのに、二日はかかる。
それに、魔界の扉の前にも、モンスターがたくさんいる。』
「モンスターだったら、今日の、アレでイチコロじゃん。」
『お前はアレ一発で気を失ったろが。』
「そういえば・・・」
『さらにだ、魔界の扉の前には、魔界の王がいるといわれておる。』
「魔界の王って・・・でも、完全に開いてないなら、王もこっちにこれないはずじゃないのか?」
『それが、どっかの、誰かが、魔界に入ってしまったらしい。
それで、王に取り付かれて、こっちの世界に来て、取り付いたやつから出て、扉の前にいるそうだ。』
「そうなのか・・・」
『・・・そう言えば長々と話しているが時間、大丈夫か?』
「あっ!忘れてた。」
時計を見たら、アレから30分も経っていた。
「急がんとやべぇな。」
俺は、急いで、ブリッジに向かった。



「遅い!お前、何回遅刻すんだよ。」
「悪い・・・」
「まぁいいわ。それじゃあ、私達は、ヴァンガードへ、いくわよ。」
「あぁ。」
俺たちは、ブリッジを出て、転送室へ向かった。



「ミラージュ、お願い。」
『了解』
ミラージュの言葉が聞こえてから数秒後、俺たちはヴァンガードへと転送された。



「平原だなぁ、やっぱり。」
「あぁ、でも、なんか引っかかるよな。」
「なにが?」
「何もない平原を選んだこと。」
「さぁね。」
「お、もうそろそろ時間だぜ。」
「くるか・・・」
ポワン
「クォークの諸君の出迎えとはねぇ。」
クォークの部隊が、ピウィグたちに向かって銃を向けていた。
「いいのかなぁ、そんなことして、博士に当たったらどうするつもりだ?」
「当てないわ。」
「そうか、そっちも力ずくかね。」
(そっちも?)
「おい、転送を開始しろ。」
ポワン
「な、なんだ。」
「お前たちは、援軍を出そうとしても無駄だ。」
ピウィグが送ってきたのは、転送妨害装置だった。
「転送妨害装置なんてけったいなもん送ってくるはねぇ。
でも、あなたたちも、これで、転送することはできないわ。」
「転送ができない?それはどうかな。」
ポワン
(なっ!転送妨害装置があるっていうのに、なんで!)
「残念だったな。クォークの諸君。形勢はこっちに片寄ってるかな?」
「なんで!」
「バーンの最新型の転送妨害装置だ。だから、お前たちだけ、転送ができないんだよ。」
「くそ!これじゃあ、分が悪いわ、一旦引く―――」
「何処にだい?こんな草原の中で、何処に行くっていうのかい?」
「くっ!仕方ないわ、戦うわよ。」
「戦って勝てると思うのかい?」
「もちろんよ。」
「そうかい、なら・・・おい、10体ほどこっちに転送しろ。」
「はい。」
ポワン
「これじゃあ、ますます、分が悪くなる ぞ!」
「そういわれてもねぇ!」



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