第三章 脱出(2)
〜ミナのオルゴール(2)〜
「ここは・・・痛っ」
周りを見ましていると、そこは、薄暗く、水滴のような音が聞こえていた。
更に何かないかと見ていたら、首筋の辺りから激痛が走った。
(そういえば、俺はノートンに捕まってたんだな。
・・・ん?ノートンのアジトに忍び込
めたんだよな。
ま、怪我しちまったけど、結果オーライだな。
でも、もって来た武器も取られちまったし、
檻の中に閉じ困れち
まってるからな。)
いろいろ考えていると、時が経つのは早い
ものだ。檻の中の窓?から夕日が見えてきた。
(おいおい、やばいぞ。
明日までに、オルゴール、直す約束してたのに、これじゃ、無理になっちまう。)
慌てていると、檻の外から、扉が開く音が聞こえた。
(お、誰か来るな。)
扉の方から、足音が近付いて来た。
檻の前に来たのは、ノートンの部下だった。
「でろ。」
ジャラジャラという音が耳に入ってきて、鍵の束が見えてきた。
「ノートン様が呼んでいる。」
檻の扉が空いたので、俺は檻の外に出た。
すると、ノートンの部下は、手に、手錠をかけようとしてきたが、俺はそれを交わして、ノートンの部下を、一発殴った。
殴られた部下は、ダウンしていた。
「すまんな。」
ノートンの部下に一声かけ、鍵を取り、その場を後にし、武器を探しに行った。
(さすがに、武器なしで、銃を持っとるノートンに挑むのは無理だからな。武器は何処―――)
俺が探していると、檻の中で、横たわっている、ノエルを見つけた。
「ノエル!大丈夫か?」
檻の扉を開けながら、ノエルに声を掛けた。
「#$%%&#%$&」
(しまった!
今まで、クォッドスキャナーが言葉を略してくれていたのにそれがなきゃ、言葉が判らない!)
クォッドスキャナーを探そうと檻から出ようとしたが、脱走したのが見つかったらしい。
そこには、ノートンの部下5人ぐらいと、ノートンが立っていた。
「おやおや、こんなトコにいたのかい。残念だねぇ、見つかっちゃって。」
「お前!・・・脱出ポットの部品をなんに使うつもりだ。」
「いきなり聞くからビックリしちまったじゃねぇか。
まあ、お前は、ここで死ぬんだからなぁ、未練を残したまま死んで、俺を呪ってくれちゃったら大変だもんなぁ。
・・・教えてやるよ。ここの星も、もう飽きちまったからなぁ、違う星にも行こうと、
あの部品を使って、脱出ポット作ってんだよ。」
「なんだって!?」
「そう大きい声出すなよ。ビックリするじゃねぇか。
でもな、坊主。この星は、すごく文明が進んでるらしいぜ。
町まで行きゃ、フェイズガンとかも普通で持ってるらしいからな。」
「普通でとは、どういう事だ。」
俺は、疑問に思った事を聞いてみたが、ノートンは答えなかった。
「おっと、おしゃべりが過ぎたみたいだ。
・・・これで終わりだな。じゃあ―――。」
「ウワァー!」
「ウギャー。」
ノートンが俺を殺そうとしていると、遠くから、人の叫び声が聞こえた。
「な、何だ!?どうしたんだ?」
「おまえな、もう少し、じっとしていられないのかよ。お前を探すの大変だったんだからな。」
俺の聞き覚えのある声が聞こえた。
「!ルナ義兄(にい)!生きてたの!?たしか、死んだはずじゃ。」
声のする方を向くと、死んだと登録されていた義理の兄の姿があった。
「お前な、少しぐらい生きてるとか言う希望持てよな。
こっちが、生きてた意味ないみたいじゃないか。」
「でも、一昨年の冬に、バーンに兄さんの艦が、攻撃されて、
生存者なしと聞いていたんだけど・・・。それって嘘?」
「あぁ、現に、俺が生きてるからな。」
(信じられないよ、もう・・・)
「でも、今はそんなこと話してる暇ないだろ。」
「あ・・・うん。でも俺―――」
「ほれ。」
ルナから、渡されたのは、俺がレプリケーターで作った武器だった。
「ありがと。」
「さーて、いっちょ、やったるか。」
俺は剣を構え、ノートンの部下に向かっていった。
一方ルナは、素手で、ノートンの部下を一掃していった。
「あとは、お前だけだぜ。」
最後の一人を殴り、残りはノートンだけになっていた。
「ケッ、はじめっからこんな奴ら当てになんかしてないぜ。」
「ふーん、でも、2対1になっちゃってるよね今。」
「うっ・・・それは、・・・お前等なんか、俺一人で十分だからな。」
(じゃあ、最初から、そうしろよな。)
「そういうことなら、行くぜ!シオン!」
「うん!」
「お前等なんかな、これで終わりだぁ」
そういうと、ノートンは、ルナに向かって、銃を乱射したが、一発も当たらなかった。
「!お前!クリエストロ人か!」
「気付くの、遅んだよ!」
ルナは、そのまま、ノートンを一発殴った。
すると、倒れて、そのままダウンしてしまった。
「結局俺、何もしてないよね。」
「別にいいんじゃないの。」
「・・・あ、そうだ!」
数秒の沈黙で、ひとつ思い出したことがあった。
「な、何だよ、急に大声出して。」
「ミナちゃんのオルゴールの部品、持ってかないと。」
「そんな約束してんのか?」
「うん。村の外で倒れてた俺を助けてくれたお礼にね。」
ルナに、聞かれたことに素直に答えた。
「・・・じゃ、その部品探して、さっさと帰るか。」
「でも、一つ気になる事があるんだけど、この星の文明レベルって、どうなってるんだろうね?」
「それは・・・、艦の中で話すよ。」
「・・・約束だよ。」
「ああ、約束だ。」
約束した後、俺たちは、部品を探すために、ルナが、来る時に見たという研究所へ行くコトにした。
「ここは・・・!?」
しばらく、何も言わずに周りを見ていた。
研究所の中は、かなり広く、空を飛ぶものをようなものも作っていた。
「これは、この星の文明レベルじゃ、とうてい追いつけないようなものばかりだぞ!
この星の文明レベルは、地球16世紀ほどじゃなかったのか!?」
「うーん、とな、それは、この近くにある村がそれだけで、
町に行けば、地球30世紀ほどになると思うが、
・・・だから、こんなトコロにこんなものがあるんだよ。
でも、何故か知らんが、宇宙船がないって言うのが気になる。」
(宇宙船が発明されてない!?
それは、おかしい。地球でも、19世紀には、月に立っていたはずだ。)
「ルナ義兄、その町に行かない?」
「おまえな、ミサキはどうするんだ?まだ、合流してないんだろ?」
「う、それは・・・。」
(どうするか・・・よし!)
「まず、オルゴールを直してから、ミサキを探す。それから町による。」
「ほう、ちゃんと約束のこと覚えてるんだな。
俺も、ミサキに頼まれてな、お前を連れてきてってな。」
ミサキに頼まれたことを言うときにルナは、声を変えていった。
「ルナ義兄!ミサキに会ったの!?」
俺は、驚いたが、確かめるために、ルナに聞いてみた。
「あぁ、俺の艦にいるよ。」
「脱出ポット拾ってくれたんだ!」
「それよりも部品を探すぞ。」
「あ、うん。」
俺らは、研究所でオルゴールの部品を探して、
見つけたら戻ろうとしていたが、なかなか見つからなかった。
「なさそうじゃない?」
「もうちょっと探すぞ。」
「・・・うん。」
しばらく探すと、脱出ポットの部品が分解されているのを見つけた。
「えっと、この中に・・・あった!」
「ほんとか!?」
「うん。」
「じゃあ、さっさと直して俺の艦に行くぞ。」
「いや、ちょっと待ってね、何か忘れているような気が・・・」
「コイツのことか?」
「ノエル!」
「どうして、ルナ義兄が・・・ありがと!」
「いいから、さっさとその村に行くぞ。」
俺は、頷き返事を返した。しばらく無言のまま、ノートンのアジトを出た。
「うわっ、まぶしい。」
「そりゃそうだろ。あんな暗いところに二時間くらい居たら目もおかしくなるさ。」
「義兄さんは大丈夫なの?」
「おう、俺は、お前ら地球人とは違うからな。」
「そうだよね・・・」
(今更になって凄いと思う。ルナ義兄の人種、クリエストロ人には・・・)
「ほら、いくぞ。」
俺が考えていると、ルナは、少し前に進んでいた。
「うん。」
俺らは、少しずつ話しながら、村に向かって行った。
「ほう、ここが、お前が助けてもらった村か・・・、
俺はここで待ってるからお前一人で行って来い。」
「うん。」
「おっと、忘れるとこだった。コレがなきゃ言葉が分からんからな。」
ルナから、クォッドスキャナーを受け取った。
「あんがと。」
俺は、ルナを残して、ノエルの家に向かって行った。
「ミナちゃん!ノエル助けてきたよ。」
「・・・ホント?」
「ほら。」
俺は、後ろに背負っていたノエルを降ろした。
「ありがと!おにいちゃん!」
「どういたしまして。それと、オルゴール貸してくれないかな?」
「あ、うん・・・ちょっと待ってて。」
ミナが、階段を上っていく音が聞こえたと思ったら、今度は下りてくる音が聞こえた。
「はい。」
「どうも、・・・この部品と、この部品を入れ替えれば・・・よし!できた。」
「え、ほんと!」
「ほら、聞いてみな。」
ミナがオルゴールのふたを開けると、キレイな音色が聞こえてきた。
「ありがと!」
ミナが、俺に抱きついてきたのは、ちょっとビビッたが、手で、頭を撫でてあげた。
「いいんだよ、別に。助けてもらったお礼だしね。」
俺が声を掛けると、ミナは、オルゴールを机の上において聴いていた。
「じゃあね。ノエルには、よろしく言っといてね。」
「うん!」
俺は、ノエルの家を後にした。