第四章 再会
〜クォーク結成の理由〜
「もういいのか?」
「うん。」
「じゃあ、行くぞ。」
ルナが歩き出したため、俺も後についていった。
「ねぇ、何処に艦があるのさ。」
歩きながら、ルナに聞いてみた。
「お前の脱出ポットの近くだ。」
「ほんと?」
「あぁ、ほんとだ。」
そのまま俺たちは何も言わずに、少し歩いた。
「ここだ。」
「ここ?」
そこには、崖があるだけで、艦らしきものは見当たらなかった。
「どこにあるの?」
俺が聞くと、すぐに答えてくれた。
「呼ぶんだよ。」
ルナは答えると、ポケットから、トランシーバーのようなものを出し喋っていた。
「おい、こっちに来てくれ。」
『はい、分かりました。』
トランシーバーから声が漏れてきた。たぶん女性の声だと俺は思った。
「これで、よしっと。」
「女の人が操縦してるのか?」
「ああ。」
ルナから返事を貰うと、崖の下のほうから、宇宙船の飛行音が聞こえてきた。
「お、来たみたいだな。行くぞ、シオン。」
「え、あ、うん。」
俺が返事を返すとルナはポケットからもう一回トランシーバーを出して、女の人に声を掛けた。
「ミラージュ、頼む。」
『了解。』
(ふーん、あの女の人ミラージュさん、て、言うんだ。)
俺が考えていると、転送装置で、崖から、艦の中に入っていた。
「ここが・・・」
「ここが、俺らクォークの艦、イーグルだ。
この艦はちっちぇえが、重力ワープエンジンなど積んでるしな、連邦の艦より、すっげぇ速えんだぜ。」
(クォーク?何だ、それ。連邦のって、連邦とは関係ないところに属してるのか?)
「ルナ義兄、クォークって何?」
「あぁ、お前知らないのか?今、連邦にはむかってる組織のひとつだよ。」
「えー!」
反連邦組織と聞いて驚いてしまった。
「おいおい、大声出すなよ。」
ルナは、耳を指でふさぎながら答えた。
「だって、反連邦組織だよ!連邦にはむかって勝てるわけ、ないじゃないか!」
「そっちかよ・・・。大丈夫さ、俺がリーダーだった頃より、被害は少なくなったし―――」
「ルナ義兄!リーダーだったの!」
「いちいち驚くなよ。こっちがビビるだろ。」
「だって・・・」
「後で、ちゃんと説明、すっから、て、言うよりリーダーから話があると思うぞ。」
「そうなの?じゃあさ―――」
「そんなことより行くぞ。」
「え、あ、まってよー。」
ルナは、一人で、歩いていってしまった。
「ここだ。」
ルナが、指で扉を指しながら、言った。
ルナは、何も言わず、扉の前に立ち、自分の名前を言った。
「ルナだ。シオンを連れてきた。」
「入って。」
女の人の声がした。その声はトランシーバーで聞いた声とは違う声だった。
「おい、行くぞ。」
「うん。」
プシュー
扉が空いて、俺たちは中に入って行った。
「こんにちは。・・・私がクォークリーダーの、ラナ・トリームよ。」
「こ、こんにちは。」
「そう、堅くならないで、あなたに危害を加えようとしているわけじゃないのだから。」
「いえ、そう言うわけじゃなくて、
その、あなたが、僕と同じような歳に見えるのにクォークのリーダーだなんて尊敬しちゃうから、ちょっと・・・」
「だから堅くならないで、って言ってるでしょ。」
「堅くな―――」
「だから、あなた自身の喋り方に戻して!」
「うわー、いきなりくらっちゃったよ・・・」
「そこ、聞こえてるぞ!」
「すみません!」
「わかった。」
「そう、その喋り方。それじゃないとやりにくいから・・・」
「・・・で、俺をココに連れてきたわけは?」
「そうだね・・・いきなり言うのもなんだけど、あなたのお父さんは、バーンに捕まってるわ。」
「な、何だって!」
「ほんとよ。それから、・・・多分もうそろそろ、あっちから連絡が来ると思うけど―――」
「リーダー、バンデーンから連絡がありました。」
「噂をすればなんとやらだ。」
「モニターに出して。」
「こんにちは、ピウィグ。」
「ほう、その子が・・・」
「僕がなんなんだ!」
「そう、怒鳴るな。こっちには、君のお父さんを預かってるんだから。」
そう言うと、ピウィグは、父さんを、自分の横に連れてきた。
「父さん!」
「シオン!」
「だからそんなに叫ぶなといっているだろう。」
ピウィグは、父さんに、銃を突きつけながら、言った。
「お前らが少しでも、要求に応じなければ、こいつの命はどうなっても知らんからな。」
「何を言ってるの、そんなことをすれば、あなたが必要なものが手に入らなくなるわよ。」
「それは・・・、まぁいい、その二人を交換する場所を決めようじゃないか、
それは我々で決めていいかね?」
「別に構わないわ。」
「ちょ―――」
俺が喋ろうとすると、ルナが手で俺を止めた。
「じゃあ、ヴァンガードの平原にしよう。」
「わかったわ。」
「それでは、時間の方だが・・・」
「私たちが決めてもいいかしら?」
ラナが、ピウィグにうって掛かった。
「あぁ、別に構わんが・・・」
「じゃあ、・・・あさっての正午にそこに・・・」
「あぁ、わかった。」
「それじゃあ、その時に・・・」
ラナが喋り終わると、モニターが切れた。
「ちょっとどういうことだ!!二人の交換って・・・!」
「それは、今から説明するわ。」
「父さんと俺は、何で・・・。
あんたらは、俺と父さんを交換するためだけに、俺を連れてきたのか?」
「それは、違うわ。」
「どう違うんだよ!」
「確かに、あなたのお父さんは私たちにとって必要なの。
でも、私たちは、あなたとウイン博士を交換するわけじゃないの。」
「じゃあ―――」
「ウイン博士は、受け取るわ。でも、あなたは渡さない。あなたも、私たちにとって必要だから。」
「必要ってどういう事だ!」
「それは、博士を受け取ってから話すわ。」
「・・・・・・わかったよ。」
「よし、それなら、作戦を立てるわよ。君とウイン博士の二人共に手に入れる方法を。」
「じゃあ、どうするんだ。」
「あなたには明日説明するわ。だからあなたは、寝てていいわ。」
「そんな、俺も一緒に―――」
「あなたはあさって大事な役目が待ってるかもしれないんだから。
それに、あの子に会ってこないの。」
「あ・・・、どこにいるんだ!ミサキは!」
「だから急に叫ぶなよ。俺が案内してやるから。」
「あ、あぁ。」
俺は、ルナの後に付いて、ミサキの部屋に向かっていった。
「ここだ。」
ルナが立ち止まった。
「ここに、ミサキが・・・」
「そうだ、待ってるぜ。お前を・・・」
俺はコクンと頷き部屋の中に入っていった。
部屋の中は、ベッドが二つで机のようなものがあったり、生活するなら普通のところであった。
ミサキは、ベッドに座って下を向いていた。
「ミサキ!」
「お兄ちゃん?」
ミサキは顔を上げて俺のほうを向いた。
「お兄ちゃん!」
俺だと確認すると、ミサキは立ち上がって俺のほうに抱きついてきた。
「心配したんだから。」
「もう大丈夫だよ。」
「でもお兄ちゃんまたどこか行っちゃうんでしょ。ルナお義兄ちゃんに聞いたよ。」
「ルナ義兄!余計なこと喋るなよ!」
「ほんとに行っちゃうの?」
「大丈夫だって、少しの間だけだから、すぐに戻ってくるよ。」
「・・・ほんと?」
「あぁ、ホントだ。だから泣くなよ。」
「うん。」
「俺ちょっとルナ義兄と話してくるから。お前はもう寝てな。」
「・・・うん。」
俺は、ミサキを残して部屋を後にした。
「ルナ義兄!何で、ミサキに心配させるようなこと言うんだ!」
「仕方ないじゃん。」
「ルナ義兄楽しんでるだろ!」
俺は、怒鳴ってそういった。
「まあ、そう怒るなよ。」
「怒ってなんかない!」
「だからそう言うトコが怒ってるって。」
「もういいよ!もう!」
「そうかっかするなよ。お前には、あさって大事な役目があるんだからよ。」
「じゃあ、もういいよ・・・」
「そうか、じゃあ、おまえも、もう寝な。」
「あぁ。」
「お前の部屋はこっちだ。あと、俺もこの部屋だから。」
「わかった。ありがと。」
俺は、ルナが指差している部屋に入って寝た。
「ふぁあ。」
俺が、起きると、丁度その時、艦内放送が流れた。
『シオン君、悪いけどブリッジまで来てくれない。よろしく。』
「昨日、話があるって言ってたけど、どんな作戦が出来たんだろ。」
俺は、色々考えながら、ブリッジに向かって行った。
「シオンです。入りますよ。」
扉が開き、俺は中に入って行った。
「よ、シオン。遅かったじゃねぇか。」
「仕方ないだろ。今さっき起きたんだから。」
俺が、ブリッジの中に入ると、ルナの声が聞こえてきたのですぐに返事を返した。
ブリッジのモニターに、作戦のようなのが書いてあるのが目に入ってきた。
「そんなことより、ちょっと厄介なことになったわ。コレを見て。」
モニターに、ピウィグの姿が映った。
「ピウィグ!」
「大丈夫よ。これは、あっちが送ってきたものよ。」
『クォークの諸君、昨日は、どうも。早速だが、用件に移ろう。
・・・集合時間を変えたいんだが、本日の、正午に集合場所にというのでよろしいかね。
もちろん、そちら側で変えて下さってもいいが、その時は、分かるはずですよ。あなたならね。』
それで、モニターはプツリと切れた。
「・・・正午までは?」
「あと・・・四時間半です。」
「それじゃあ、それまでに作戦の説明をするわ。」
「どんなもんだ。」
「この作戦は、あなたが鍵を握っているわ。」
「俺が・・・」
「そう。で、作戦内容だけど、
まず、私とルナとあなたとクォークの戦闘員四人を連れて集合場所にいくわ。
それで、向こうも、転送には制限があるはずだから、そんなに多くの人数は転送できないはずよ。
それで、交換のときになったら、あなたは素直に、相手のほうに行って。
そのあとは、私たちが兵を送り込んであなたを助けるわ。」
説明を聞き終わると、俺はすぐに聞いた。
「それで大丈夫なの?」
「あぁ、相手が変なことしない限りな。」
「ふーん。」
「リオン。防御レベルSの兵を四人用意して。
あと、あとから送るために、攻撃レベルA以上の兵を用意しておいて。」
「はい。分かりました。」
「あなたたちは、もう少し部屋で待っていてもいいわ。時間になったら呼ぶから。」
「え、俺も、っすか?」
「あなたには、もしものときのための大事な仕事が残ってるんだから。」
「・・・わかりました。・・・シオン、行くぞ。」
「え、あ、あぁ。」
俺たちは、俺らに割り当てられた部屋に向かった。
「ねえ、ルナ義兄、今はどうしてリーダーじゃないの?」
俺は、部屋に入ってから今までの疑問を聞いてみることにした。
「それは、俺よりも、ラナのほうがまとめ方は上手いからだ。」
「それだけの理由?」
「・・・あぁ、それだけだ。」
ちょっと、詰まっていたっていたが、ルナは答えた。
「何か理由があるでしょ。」
「それは、・・・最初から話さんといかんな。」
「最初って?」
疑問に思ったことを口にすると、今度はすぐに答えた。
「クォークを作った理由だよ。」
クォークを作ったのは、ルナという事は知っていたけど、理由までは知らなかった。
「クォークはな、俺が、五年前に作ったものだ。
作った理由は・・・、そうだな、・・・困ってる人を救う、かな。」
「まじ、あのルナ義兄が、困ってる人を救う?ルナ義兄、どっか頭でも打ったのか?」
半分冗談交じりで、ルナに言ってみた。
「俺は、正常だ!」
「悪い悪い、ちょっとからかってみただけ。」
「話し戻すぞ。・・・主にな、俺たちは、抑圧からの解放と、独立、自立にあって、
これらを望む種族や、民族の仲立ちをするのが、俺たちの仕事だ。」
ルナの話にいい加減に答えた。
「ふーん。」
「ちょっと前はこんなのがひどくて、俺が立ち上がろうって、思ってクォークを作ったんだ。」
「そうなんだ。・・・で、今のリーダーとのかかわりは?」
「あぁ、それは、俺がクォーク作って、半年ほどたった頃にな、
脱出ポットが宇宙に浮遊してたのを助けたんだ。
ま、それがラナだったんだが、
・・・なんで、脱出ポットに乗ってたのか、理由を聞こうとしても話してくれないんだよな、これが。」
「ふーん、そうなんだ。その後は?」
「で、その一年後、半年前だけど、俺より、判断力があって、まとめる力もあるからリーダーに抜擢されたんだ。」
「ふーん。」
「よしこれで終わりだな。」
「ルナ義兄、まだ終わってないぞ。質問は。」
「なんだよ、まだあるのか?」
「約束したし、ヴァンガードの文明レベルについて!」
「あ、お前、まだそんな事覚えてたのか?」
「まあね、記憶力と頭はこれでもいいんだから。」
「あっそ。・・・ヴァンガードについては、
あまり分かってないんだが、俺たちが調べた感じでは、
あそこでは、数年前までは、16世紀ぐらいだったと言われてるんだ。」
「何でそうなったんだ?」
俺は、疑問に思ったことを口にした。
「正しいかどうかは知らんが、坑道を掘ってたら、凄いものを見つけたそうだ。
それを見つけてからヴァンガードの文明レベルは格段に上がった。」
「凄いものって?」
「さあな、俺たちでも分からなかった。」
「ふーん。」
「よし、これで終わりだな。作戦までまだ時間があるから寝てな。」
「あぁ、そうするよ。」
俺は、ベッドに横になり、眠った。