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石原都知事臨時記者会見(2003年11月11日) TBSを刑事告訴

TBS「サンデーモーニング」の捏造報道について

【石原】過日の拉致被害者支援の東京大会で私、頼まれて講演をしました。その内容についての報道で、TBSの報道が、これはどう考えても捏造としか言いようのない報道になっております。
 特に中で、日韓合併にかかる私の発言について、事実と全く異なる内容の放送がなされていましたので、会見を開かせていただきました。ビデオを用意してありますので、まず記者の皆さんにこれを見ていただき、この問題を一緒に考えていただきたいと思います。どうぞ。

(11月2日放映TBS「サンデーモーニング」の放映)

【石原】ごらんいただきましたように、史実に対する私の解釈、評価の前に、私は日韓合併の歴史を100%正当化するつもりはないと言っているわけです。それを前提にしての論の展開と、私は日韓合併の歴史を100%正当化するつもりだと、しかも、テロップまで添えて報道され、ならば後段の発言に対する見方、とらえ方、評価もおのずと随分違ってくると思います。
 それは文章というものの論理性から言ったって当然のことですが。私は、小さなようで大事なことですけれども、100%正当化するつもりはないと発言したということは、朝日新聞や東京新聞や毎日新聞でさえ、記事の中で正確に伝えているわけです。
 こういう状況から見て、TBSのこの放送は、意図的に映像、音声を編集して、なおかつ発言の内容と異なるテロップをわざわざかぶせることで、事実を強引にねじ曲げた報道を行ったと言わざるを得ませんですな。

 特に問題だと思いますのは、番組の冒頭で、事実と異なる前提条件を明示した上で、その後、司会者の関口君、岸井成格さん、これは私、個人的に知っているんですけれども、それからあとのビョン・ジンイルさん、リポーターの鬼頭さんが議論を展開する形になっていますね。
 しかも、一般紙、スポーツ紙を初めとしたメディアに、あれだけ多くの報道がされて、きちんと「つもりはない」という発言が紹介されているにもかかわらず、番組の出演者は、虚構の世界まで築いて、でっち上げで論を誘導しようとしているとしか言いようがないと思います。
 さらに問題なのは、この報道の中で、TBSの論調にとって都合の悪い部分を削除していますし、一方でリポーターが私の発言の引用部分で、「朝鮮人」と言う、これは私は朝鮮半島があり、そこにいる人たちを朝鮮人と過去に呼んでいましたし、北朝鮮もみずからの国のことで、自分たちを韓国人とは呼ばぬでしょう。私は別に差別の言葉じゃないと思いますけど、日本人にとっての耳触りは違ったものでしょう。また、日本で同族をそう呼ばれることに在日の人たちの反応というのは微妙なものがあるでしょう。いずれにしろ、私が使っていない「朝鮮人」という、言ってもいない言葉を無理やりつけ加えて、テロップで同様の扱いをしているわけです。
 また、覚えている諸君もいるでしょうけども、定例記者会見での「余り騒ぎにならなかったな」というのは、私は毎日新聞の報道姿勢について、半分皮肉、半分冗談で言ったものでありまして、番組の中では日本の植民地政策についての発言として全く事実と異なる形で紹介されているわけです。この点についても、私は極めて悪質な捏造の意図を感じざるを得ないですね。同時に、賢明な都民の方々はこれをちゃんと見破っていられて、都知事の政治生命を左右しかねないような情報操作を黙って見過ごすべきでないというメールが極めて多く届いております。

 いずれにせよ、事務的なミスということでは片づけられない意図的なものを感じます。
 こうした報道は、知事という公職にある人間に対する極めて重大な犯罪的とも言える挑戦だと受け取らざるを得ません。TBS系列で流されたこの番組は、恐らく数百万人を超える視聴者が見ていたものと思われますが、その人たちに知事である私の発言をねじ曲げて、誤った情報を提供するということは、知事としての公務の遂行に重大な支障を来すものでありまして、これは断じて容認できません。
 現に、捏造報道を見て誤解した方々からも、100%正当化するという知事の発言はとんでもないという意見も寄せられていますし、現に在日のどちら側の人か知りませんけれども、辞職しろとまで言っているわけですが、こうやって都民が私の真意を誤解することは、都民の私に対する信頼を失墜させ、今後の行政を行っていく上で非常に大きな障害になることは明らかであります。都民に対してもとんでもない迷惑をもたらすものだと私は思います。
 さらに、この捏造報道の後、韓国の中央日報が、「石原都知事が日本の植民地支配を正当化する」と社説も掲載したようですし、これに対して都民だけじゃなく、民団、総連の人たちにも迷惑をかけ、さらには国際問題にまで発展しかねない。これに対してTBSはどう責任をとるつもりなのか。

 先般も、幾つかこちらの要望を列記した謝罪の要求をいたしましたけども、謝罪、訂正番組の制作報道、主要6紙への謝罪訂正広告の掲載、誠実な対応がない場合には法的な手段を検討すると通告しましたけれども、依然として、あの部分で誤った、この部分で誤ったといって、本質的な問題について触れてくる回答は今のところありません。

 私はTBSのこの捏造報道を知ったのは、良識のある多くの都民から、私はあんまりテレビを見ないものですから、たくさんの指摘がありました。それ以来、都民の声が非常に多く都庁に寄せられるなど、都民の怒りは非常に大きな広がりを見せていると思います。
 また、番組のスポンサーやTBS にも多くの抗議が寄せられていると仄聞しております。
もはやこの問題は、東京都知事である私への誹謗中傷という次元を超えて、天下の公器である報道機関のあり方そのものを問うべき極めて重大な社会全体の問題へと発展していると思いますね。

 かつてこの局は、サリン事件のとき、オウムの問題を担当している坂本弁護士の談話を撮って、それをオウム側に見せて、しかも、その撮った部分は公表せずに、それが引き金になって坂本一家が惨殺されたという経緯がありますが、これも私は報道機関としてフェアというか、あってはならない姿勢じゃないかと思いましたが、今度もこれは天下の公器、第四権力とも言われている絶大なる影響力を持つ報道機関が犯した、私は公器としての国民に対する背信であり、犯罪行為だと思います。
 同じ報道機関の問題だからなのか、まだメディアはあんまり多く取り上げていませんが、報道機関に籍を置く者として、記者の皆さんも十分に問題の本質を認識していただきたいと思います。

 いまだに誠意のある回答が寄せられませんので、時間が来ましたら刑事訴訟するつもりですが、まずその準備として、この3時に所轄の新宿署に被害届けを提出いたします。
 これは本当に視聴者である国民、市民をなめ切った非常におごり過ぎた逸脱であり、私は背信行為であり犯罪であると思います。いかに言論の自由な国でも、こういう逸脱ってのはあり得ないし、あったらすぐ批判され、その代償を払わされるでしょうな。

 私から今の段階で申し上げることはそれぐらいです。
 何か質問ありますか。

「質疑応答」

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【朝日新聞 高田】今の確認なんですけれども、知事がおっしゃった問題視されているのは、日韓併合の歴史を100%正当化するつもりはないが、彼らの感情云々のところを正当化するつもりだと言ったというところですか。

【石原】その前段があるとないとで、後段の受け取り方は随分違ってくると思いますね。この報道の中でも、全部がそれこそフルに紹介されたわけじゃないし、しかも、「朝鮮人」という呼び方についても、私の発言の中にない言葉まで入っていますね。

 私は前にも記者会見で言ったと思うけども、私はそれを100%容認するつもりはありませんが、しかし、白人たちがアジアやアフリカでやってきた植民統治に比べれば、日本がやった朝鮮半島における統治というものは、これは私じゃなしに、前にもお話ししたと思うけれども、朴大統領が、総体的に眺めればましなものだったと。はるかに白人より寛容だったし、人間的だったと思うと。
 朴さん自身も日本人の先生にいかに恩恵をこうむったか、自分が貧農の息子で、普通だったら教育を受けられない立場でありながら、小学校に通わせてもらえ、かつまた、そこで先生に褒められて師範学校に通い、師範学校でさらに褒められて軍官学校に通い、そこの日本人の教官が彼を非常に認めて、市ヶ谷の士官学校に回されて、そこで首席で出たというようなことを話しておられましたけど、そういう事例は、この講演では話しませんでしたけど、私はそういう韓国の最高指導者であった朴さんのコメントも披瀝しながら、繰り返しこの問題に対する私の評価といいましょうか、認識を述べてきたんで、それをだれがどう評価するか、批評するかは結構です。

 ただ、やっぱりその前提で、私は日本の朝鮮半島の統治を100%認める、認めないということを、白を黒、黒を白と言う転換で報道されたら、これは後の文章ってのは全然違った重みを持ってきますから、私はこれはやっぱり非常に卑劣な巧みな、しかし、巧みにしてはすぐバレるけれども、やり口だと思いますな。

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【朝日新聞 高田】そこの部分以外に、今知事がおっしゃっていた、民団とかいろいろ抗議が来ているという中で……。

【石原】だれか言ってたけどね、だれかこの日本……。

【朝日新聞 高田】世界じゅうの人がこうした中で、結局彼らの総意で合併が行われた後、日本がやった植民地主義というのはまだ人道的で人間的であったと思うとおっしゃった部分については、別に撤回するものではないわけですね。

【石原】そうですね。それは、金何というか、あの人は親日派の弁明とか、そのもとになったアメリカのつまり大学の植民地主義の専門家の教授が、自分たちも含めて白人がやった植民地支配と日本の植民地支配を比べて、君はこれを評価すべきだと言ってくれて、彼は1つの迷妄からさめたという記述も、私は非常に意味の深いものだと思います。ですから、この番組であったみたいに、それだったら、そういう史実を、南京の大虐殺の問題もそうだけど、両国が専門家を出し合って評価したらいいじゃないですか。フリーな討論をしたらいいじゃないですか。

【朝日新聞 高田】また抗議されていた「朝鮮人の」というテロップのところなんですけれども、しかしここで「彼ら」とさきにおっしゃったのは、朝鮮半島に住む人々ということですね。

【石原】そうですよ、当時住んでいた人です。

【朝日新聞 高田】そうすると、意味は同じなわけですよね。

【石原】意味は同じだけど、同じ意味でも前提というものが白と黒で違ったら、文章の意味や重みは違ってくるでしょう。
 あなたね、物を書く人間だったら、そのぐらいわかるでしょう。

【朝日新聞 高田】いやいや、前提の部分じゃないですよ。つまり、民団等が問題にしている、朝鮮日報等が問題にしていたのは、そこの部分の前提のところとは前に出てくる脈絡、もしくは関係ない脈絡、後の部分で出てきた部分を言っているんだけれども、そこについては別に撤回するつもりでも何でもないということですか。

【石原】ありません。ただ、私は「100%認めるつもりはありません」「つもりはない」と言ったのを、「つもりだ」という最初の1行で物が始まれば、やっぱり文章全体の意味合いというのは感覚的に違ってくるんじゃないですか。
 その辺のこと君はわかるだろう、物書きだったら。少なくとも国民はわかるよ。はい、次。

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【文芸春秋 西村】先ほど新宿署の方に訴訟を起こすというようにおっしゃいましたが。

【石原】被害届を出します。

【文芸春秋 西村】被害届ですか。あと、質問なんですが、放送法違反に対しての訴えですとか、その辺はどのようにお考えになっているんでしょうか。

【石原】それは、まず被害として認められれば刑事訴訟に持っていくつもりですし、その中でこの問題は当然、非常に抽象的な問題で、白黒が判じにくいかもしれませんけれども、私はやっぱり天下の公器である放送の責任というものを踏まえて論じられるべきものだと思っています。

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【読売新聞 吉池】訴訟の内容なんですけれども、被害届を出される罪名については、名誉毀損ということでよろしいですか。

【石原】ええ、名誉毀損、それから職務執行妨害もあります。誤解された方々から随分電話がかかってきましたしね。何というのかな、仕事にならない仕事にある時期忙殺されましたし、私自身も家に電話がかかってきて非常に迷惑しました。

【読売新聞 吉池】これはお立場なんですけれども、東京都として被害届を出されるんですか、それとも私人である石原慎太郎さんとして……。

【石原】都知事である私ですよ。

【読売新聞 吉池】個人名でお出しになられるということですね。

【石原】そうです。

【読売新聞 吉池】わかりました。あと、念のためですが、民事訴訟、これは刑事は被害届でしょうが、民事訴訟の方はどう……。

【石原】ええ、その後は民事訴訟を考えていますけど、まず刑事訴訟です。

【読売新聞 吉池】ありがとうございます。

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【共同通信 永井】誠意ある回答がないということだったんですけれども、TBSの方から何らかの形で、これこれこういう事情だというような回答というのは、知事のもとには何か説明というのはあったんでしょうか。それとも全くないという……。

【石原】これは現場の手違いとか、芸能番組なんかで20秒ですか、テロップが流れたんですが、それから、だれだったかな、編成局長か総務局長が来まして、9月9日の日曜日の投票日に訂正の放送をするつもりだけど、そう長くはできないと。
 なぜなら、選挙にいろいろ影響、私が立候補しているわけじゃありませんからね、語るに落ちた話だと思うけども、それで、要するにこちらが要求したことについて何ら回答もありません。一方的に、彼らの自己満足というか弁明としての番組の中での釈明らしきものはありますけど、私が要求した形での回答は全くありません。

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【TV東京 荒井】ということは、確認なんですが、知事が要求した謝罪については無回答だというお考えでよろしいですか。

【石原】そうです、はい。

【TV東京 荒井】あと、私も9日の訂正放送は見させていただいたんですが、あの訂正放送を見て、知事はどのようにお考えになりましたか。

【石原】ちょっと、さっき見ましたけど、何か不本意そうではあるけど、しかし……。あ、まだ見てないな。これだけだ、もう一回見直したのは。
 ただ、人から聞かされました。大変不本意そうな釈明だったようですけれども、これもこれからの推移の中で、ちゃんと自分の目で見届けてあれします。

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【朝日新聞 池田】知事、この間、選挙期間中、宏高さんの応援などに行かれていたと思うんですけれども、今回の件で何らかの影響が結果の方に出たというふうにはお考えでしょうか。

【石原】ある非難は受けましたね。よく実情の知らない人たちから。それが直接投票に響いたかは知りませんよ。しかし、私は遊説の途中で何人かの人に言われました。食ってかかられました。

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【文芸春秋 仙頭】私も今、テレビは初めて見たんですが、どうも、あれを見るとやっぱり音声を最後のところで急に絞ったようにしか見えないんですけれども、そのあたりのご感想なり、あと、技術的なそういった小細工と言うと語弊があるかもしれませんが、そういったものをお感じになられましたでしょうか。

【石原】感じましたね。私はだから、刑事訴訟の過程で、しかるべき専門家がそういった問題を分析してくれると思っています。
はい、それじゃ、どうも。

参照:TBS「サンデーモーニング」の捏造報道について