あらすじ◆誇大妄想狂の<私生児>ゲッツ、悪魔と同居している破戒僧ハインリッヒ、農民の娘ヒルダ、革命的農民ナスチ・・・。十六世紀ドイツの農民戦争勃発の直前に時期をとり、これら個性的群像を配して、サルトルが現代の観点から、人間の善と悪、霊と肉などあらゆる人間倫理の問題に独特の方法論で鋭いメスを入れ、実存主義的道徳ともいうべき新しいテーマを提示した戯曲大作。(文庫ウラ表紙より)
実存主義うんたらかんたらを気にせずに読んでも充分イケル、絶版にしておくのがもったいない佳作。どんな突拍子もないのがくるかと思ったが、実にスタンダードな書き方が意外だった。読める読めるぞラクチンだ。や、ラクでもないが評論とかに比べればずっと読む時間がかからない。人物20点にしたのは主役格ゲッツのカッコよいセリフの数々のせい。「泣け泣け天使たち、おれはやるぞ」
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●「ネガティブハッピー・チェーンソーエッジ」滝本龍彦/角川書店 |
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●「ポオ小説全集2」エドガー・アラン・ポオ/創元推理文庫 |
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●「冷たい密室と博士たち」森博嗣/講談社文庫●2002年5月 |
84点
−−−−−ストーリー15点/人物18点/レトリック16点/
コストパフォーマンス17点/ボーナス18点
あらすじ◆同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人監視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!? 人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが……。究極の森ミステリィ第2弾。(文庫ウラ表紙より)
ダイナミックな展開という点ではFよか面白い。あと、推理しないで読む自分だが、「こいつが一番怪しいな」と思っていたのが犯人だった。カンで当たったに過ぎないが…。ラストの動機を述べるくだりで、「死人に口なし」って言葉を思い出した。なんかこう、書き手の都合のいいように持ってている気がする。とりあえず萌絵より国枝助手のほうが好きだ。
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●「すべてがFになる」森博嗣/講談社文庫●2002年5月 |
82点
−−−−−ストーリー14点/人物18点/レトリック16点/
コストパフォーマンス16点/ボーナス18点
あらすじ◆孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウェディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。(文庫ウラ表紙より)
冷静にしてソフトなセリフ回しは好きですが、パンピーが容易く事件の調査が出来たりする、ご都合主義な展開はいかがなものかと。地位を築く前に言われていた「人間が書けていない」ってことはないと思うが、常識外れな展開を納得させる力技には欠けている。
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●「万延元年のフットボール」大江健三郎/講談社文芸文庫●2002/04/29 (祝) |
79点
−−−−−ストーリー17点/人物18点/レトリック12点/
コストパフォーマンス15点/ボーナス17点
あらすじ◆友人の死に導かれ夜明けの穴にうずくまる僕。地獄を所有し、安保闘争で傷ついた鷹四。障害児を出産した菜採子。苦渋に満ちた登場人物たちが、四国の谷間の村をさして軽快に出発した。万延元年の村の一揆をなぞるように、神話の森に暴動が起る。幕末から現代につなぐ民衆の心をみごとに形象化し、戦後世代の切実な体験と希求を結実させた画期的長編。(文庫ウラ表紙より)
大江は3冊ぐらいしか読んでいません。これは昭和42年作ですが、驚いたことにあまり古びていません。基本的に好きな作家ではないので出来ることならけなしてやろうと思っていましたが、そうもいきません。四国のふるさとに帰郷する主人公と弟の鷹四。弟は愚連隊を組織して強大な権力を持ち、妻も彼の
肩を持ちようになります。村の暴動を指揮する鷹四はモロさを垣間見せながらもカッコよさが際立っており、これまで読んだ大江の小説の中でもっとも目立っていました。