8月の末頃、野分めいた風が吹き、雨が降ってくる。
普段よりもなんとなく心細い気持ちになり、ぼんやりとしているところへ敦道様より文が届く。 いつものごとく時節を逃さずこうしてお見舞いの文を下さるので、ここのところお便りのなかったことも許して差し上げようという気になってしまう。 嘆
きつつ秋のみ空をながむれば 雲うちさわぎ風ぞはげしき
(あなたに逢えぬことを嘆きながら秋の空を眺めていると、雲が騒ぎ風が激しく吹き出しました。 まるで私の心を映したように。) お返事はこう申し上げる。 秋
風は気色吹くだに悲しきに かき曇る日は言ふ方ぞなき
(秋風はほんの少し吹くときでさえ悲しい思いをさせるというのに、今日のように真っ暗に曇った風雨の激しい日は言葉に表わしようのないほどの辛さです。) |