ふたりにとって結婚とは
1%のひらめきと もう1%のタイミング
そして98%の努力と我慢
足らなきゃ不満と後悔
破局が来るさ
親が子にできること
産み落とすことのみ
女の愛 子育て更に及ばず
母への想い
ただし産み落とすことのみ
旅の朝
パリッとシャツに
腕とおし
妻なりし人の父御が我が肩に
手を起きて
ただ 頼むとうつむく
乳飲み子よ
妻の命を貪るか
顔を見くらべ
孤りおののく
愛しさに
呼べど答えぬ乳飲み子よ
天もかくまた我を抱くらむ
お前を見た
初めて見た
なんとも変な気がした
絶句した

お前は 小さくて
     赤くて
     ふやけて
     泣きじゃくる
目を閉じ 指吸い 我関せず

話がしたい できる気がする

いつの日か お前が俺に背を向ける
その時俺は平然と 空を見上げてあくびをしよう

ただ 俺がもしもの時は
母さんだけは
彼女(あいつ)だけは頼みたい
その事以外 俺はお前を頼まない

       
ようこそ この世へ
ようこそ この地へ
ようこそ 我が家へ

お前を招いたわけじゃない
招いてみたらお前だった
おまえだって 気が付けば我が家だ

お互いうまくやろうぜ

お前の不満の数々は
今から 俺の耳に聞こえる
それは不運とあきらめろ

ただ 想って欲しい
俺以外の または俺を含めて
この祝福の数々を
お前は望まれて今、この空気を吸っている
今日ボトルを開けた
お前の為じゃない
お前のせいだ

お前の母さんが 指輪をはめたその前夜
俺は俺のために酔いつぶれた
自分に乾杯
ついでに友に乾杯

今日この日
お前自身の一大事
俺自身の一大事

俺は俺に乾杯
俺は潰れる

お前は泣きわめけ
お前のために泣きわめけ
大きくなったね
歩くようになったね
自己主張するようになったね

あまりしゃべらない
あまり熟睡しない
あまり甘えない

あなたの人生の中で
大切な大切な今の時期
もっともっと一緒にいたい
もっともっと遊びたい
もっともっと肌寄せ合って
ながくあなたを抱いていたい

いい親でありたいけれど
あなたが本当に大好きだけど
あなたの未来を夢見るけれど

娘よ、いつか気づいてください
あなたは愛されて
     望まれて
     幸せをふりまきながら
     生まれてきたことを

しっかりと根をおろし
自分を信じ
明るくたくましい
そんな女性でありますように

私の生活はここにある
私の家庭はここにある
私のねぐら
私の家
ただ、私自身がどこにもいない
俺の魂が 息子に移っていく
そんな気がした
なんと情けないことだろう
まるで 俺の人生が終わってしまったような
まるで 息子の人生に足枷するような

俺はひとりで枯れていこう

俺の部屋に妻が来た
       息子が来た
       娘が来た
みんな帰ってしまった
少し寂しかった
今こんなに寂しい
ここは俺の場所だった
俺の仕事の棲みかだった

たった三晩 あいつらが泊まっただけで
想い出の匂いがついてしまった
一緒に寝た部屋
子供たちと入った風呂
みんなで食べたコタツ
忘れていった風船
捨てられたオムツ
ここに妻の髪が一本

俺一人の楽園は
今はもうない

俺は この10年15年 少しもかわってない
ただ忘れていっている
どんどん どんどん 忘れていっている
もうすぐ33才
最近自分がとても嫌な奴に思える
自分を 忘れていっているからだ