日本の取るべき外交政策
IndexArticle日本の取るべき外交政策

現代の外交問題は、米中対立の構図と、アメリカの軍産複合体の暴走という文脈で捉えると分かりやすい。たとえば、北朝鮮情勢は、韓国と安全保障条約を結ぶことで中国に迫るアメリカと、それに対抗する中国という文脈で捕らえれば、なぜ中国が北朝鮮の体制崩壊を望まず、脱北者を北朝鮮に送還しようとするのかも理解できる。また、イラク情勢も、石油の利権を狙うアメリカの軍産複合体の暴走という文脈で捉えれば、なぜアメリカが、国際世論の反対を無視してイラクとの対決姿勢を強めるのかも理解できるだろう。

このような状況に対して、日本はどのような立場をとるべきだろうか。国際政治のパワーバランスから、アメリカに従うべきだという議論がある。これは、一見すると現実主義的であり、これに異論を唱えるのは平和を夢想する理想主義者に見える。しかし、それは短期的にみた場合の事であって、長期的な視野で見た場合、アメリカに盲従することは必ずしも正しくはない。

歴史をひもとけば、キリスト教圏よりもイスラム教圏が発達していた時代も合った。キリスト教圏が魔女狩りなどの前近代的な行動をとっていた時代、イスラム教圏は医学を発達させ、合理的な治療を行っていたのである。文明のレベルでみても、このような栄枯盛衰がある、まして、政治的、軍事的なレベルでの栄枯盛衰は、数十年単位で発生する。どうしてアメリカに従うことが正しいと言えるだろうか。

アメリカは、西へ西へとその勢力を拡大しつづけてきた。ネイティブ・アメリカンをほぼ滅ぼし、ハワイ・フィリピンをその勢力化におき、太平洋戦争後、日本と韓国をその勢力化においた。残るのは、中国だけだ。もちろん、現在のアメリカには中国を支配するだけの力はなく、今すぐに中国と戦争がはじまるということではない。あるいは、軍事衝突は起こらず、経済力の勝負のみで終わるかもしれないが、中米の最終決戦の日が、やがて訪れるだろう。

その目を、アメリカが中国を非難する際に使う「人権問題」ということに見ることができる。中国には思想統制などがあり、人権が守られていないというものである。今のところ中国は「(人権侵害は人類にとって永久の課題であり)解決には200年かかる。」として取り合っていない。この「人権問題」は、米中対立の政治哲学レベルでの争いだと考えてよいだろう。

このような米中対立の構図に加え、アメリカの軍産複合体の暴走という子とを考え合わせると米中の軍事衝突は、やがて起こるだろうと考えておかねばならない。このときに、日本が柔軟に対応できるようにするには、中国との関係作りを行うべきなのである。

だからと言って、アメリカとの安全保障条約を破棄することが正しいとは思わない。また、中国に対して「謝罪外交」と呼ばれるような態度で臨むべきでもない。それは、いたずらに日本国内のナショナリズムを高揚させ、かえって日本の立場を、後戻りのできないところへと導く可能性があるからだ。

むしろ、必要なのは行政のレベルで中国と交流を深めることだ。交流は、中国軍と自衛隊によって密入国者を取り締まることなど、日中で利害が衝突しないようなことを行うべきだろう。行政のレベルでこうした協力を積み重ねることで、日中の間に個々人のレベルでのつながりが生まれ、日米・日中の外交の比重を変える際に役に立つことになるだろう。


Hirokazu Nakagawara, all right reserved.