政治家に求められる資質 |
| Index>Article>政治家に求められる資質 鈴木宗男代議士が逮捕され、国会でその追及をした辻元清美代議士も議員辞職をすることになった。この事件がセンセーショナルに取り上げられたことは、人々が政治家を判断する基準として倫理的な正しさを重視していることを、示すものであった。 政治は、国民の信頼がなければ成り立たない。このことを否定することは出来ない。従って政治家に倫理的な正しさを求めるのには一理ある。しかし、政治家はただ倫理的に正しければよいというものでもない。政治家の判断は、国や自治体などの法的共同体を拘束し、時にその運命をも左右することになる。倫理的に正しいと言うことが、法的共同体の運命を決める判断を正しく行えるということには直結しない。 それでは、政治家に必要な能力はなんだろうか。一つは、提案された政策を評価する能力。二つ目は、政策に対してとる態度を、実際の意思決定につなげるための、説得力。三つ目は、決定された政策を実行する人材を配置する為の、人事の知識。 まず、一つ目の政策評価能力について。 従来、政治家に必要な能力として、政策立案能力ということが、挙げられてきた。しかし、個々の政治家が立案できる政策の量には限界がある。結果として、個々の政治家は政策立案の一部にしか携われないことになるのではないか。 これまで政権党の地位にあった自民党は、政策立案能力を高める為に「もっとも勉強してきた」議員の多い政党だと言われている。その自民党に現在、特定の分野への影響力を高めることで利益を得ている、族議員と呼ばれる政治家がいるのはこのような構造的な問題によるものと考えられる。 政治化に必要なのは、個々の政策を立案する能力ではなく、個々の政策が、共同体にどのような影響を与えるのかを評価する能力なのである。 次に、二つ目の説得力について。 近年、論理性の高い文章がクローズアップされているように感じる。しかし、論理性が高いことは、あくまでも説得力を高める為の手段であって、目的ではない。日本的な腹芸と呼ばれるコミュニケーションが有効な相手なら、そのような方法で説得するのも良いだろう。日本人が批判されるのは、日本人にしか通じない説得方法について、欧米人に対して説明を加えようとしないからであって、日本式のコミュニケーション自体が悪いということではない。欧米には欧米の、日本には日本の、そしてイスラム圏にはイスラム圏の独自のコミュニケーションの方式がある。 説得のシーンに合わせて、様々なコミュニケーションを使い分けるのがもっとも賢明な方法である。 最後に、人事の能力について。 鈴木宗男代議士が外務省の人事に影響を与えたことで、政治家が官僚の人事に影響を与えること自体が悪であるかのような印象を与えたが、そのようなことはない。むしろ、問題なのは、官僚の人事権を持つ大臣が、その権限を行使するだけの知識を持っていないことである。田中真紀子氏は外相の時、人事権を行使しようとして女性事務官に「課長を通してください。」と拒否されたことがある。この女性事務官の言うことに法的根拠がないことから、世間は田中氏に同情したが、むしろ、女性事務官の言うことに法的根拠がないと田中氏がその場で指摘できなかったことの方が不自然である。この大臣は、自身に、少なくとも形式上は、人事権があることを知らなかったのだろうか。 政治家は、官僚をコントロールするの為の人事について、深い知識を持つ必要がある。 Hirokazu Nakagawara, all right reserved.
|