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7.契約

 千尋の小学校の図書室は、古くからある。建物を新しくするときに中身もそのまま移動してきたので、古いものも多い。児童書が多かったが、有名なものならそろっているし、時には掘り出し物もあった。
 本だけが時計の針を数えるような静けさの中で、ハクは”H”の棚の前にいた。
「H…H……Herman Hesse…。あった」
 とハクはひとりごちた。椅子を棚の前へ持ってきて、それに登った。青い表紙の全集だ。題字は消えている。ハクはほこりを払って中を確かめた。旧かなづかいだが、ハクはそれに不便を感じない。本を脇に抱えた。
 今の時間、昼休みだが、ハクの他には誰も図書室にいない。本当なら図書委員が貸し出しのためにいなければいけないが、今日の委員はなまけたらしい。自分で貸し出しカードに日付を書き込み、貸し出し印を押した。ハクは一番大きな机に面した椅子へ座り、本を開いた。
 序章を読み終えて、誰か他の人間がいることに気付いた。入り口はここからは見えないが、右の本棚の向こうらしい。千尋だ、と”感じ”て、ハクは声をかけた。
「千尋」
 本棚の脇から千尋が出てきた。
「あ、ハク。図書室にいたの。あたし、本を返しに来たの」
「そう。私もだ」
「何読んでるの?」
 千尋はハクの手元をのぞいた。「うわぁ、小さい字ばっかり…すごいね」
「ヘッセという人の本だよ」
「いつもそういうの読んでるんだね。面白い?」
「おもしろいよ。この人の作品が好きでね、これは、芸術を追い求めた男の話」
「へー」
「千尋は何を読んでるの」
 千尋はあわてて、背中へ本を隠した。
「マンガ! マンガ。返してくるね」 と走って行った。
 ちらりと見えたが、本の題は”環境破壊”だった。隠したのは、気を使ったつもりらしい。ハクは本を閉じた。まだじゅうぶん時間はある。千尋と教室へもどるか、しばらくここで本を読んでいくか。千尋がもどってきた。
「ハク、あたし、教室へ帰るけど」
 ハクはある話を切り出すことにした。
「いま、時間はある?」
「あるよ」
「実は前々からきこうと思っていたんだ。千尋は、隣のクラスの吉村カオリを知ってる?」
「知ってるよ」
「どんな子」
「どんなって、あの子、おとなしくてか弱いかんじするけど、話すとけっこうしっかりしてるよ。ピアノがすごく上手で…なんだっけ、肌が弱いからプールに入れないんだって」
「彼女は途中から転入してきたとか、そういう生徒ではないんだね」
「うん。なんで」
「気になることがあって。そう、転入生ではないのか」
「吉村さんに何かあるの?」
「本人と話してみなければわからないけど」
「どういうことが? あたしにも教えて」
「私のとり越し苦労だといけないから。たいしたことではない。吉村カオリと会ってみたあとでね。千尋、時間があると言ったね。吉村さんを呼んできてくれないか」
「ここへ?」
「ここへ、今」
「いいけど、何て言って呼べばいい」
 千尋は微妙な言い回しのことを言っているのだ。
「適当に、嘘でもかまわない。うまく本当のことを言ってもあとで記憶を変えることになりそうだから」
「先生が図書室で呼んでる、でいいかな」
「上等だ。ここで待ってる」
 ハクは本の上へ手をおいて、座りなおした。千尋が出て行った。テーブルの向こうのながめにどこか既視感があると思ったら、湯婆婆の部屋と似ていた。本の並び方と色合いが同じだ。絨毯も本棚の装飾もここのものは安っぽいが。
 湯婆婆の部屋の本棚は暗褐色のマホガニーで、どの本の背表紙にもにぶい金の細工がしてあった。あの部屋の本を勝手に手にとってはいけなかった。魔女の部屋はほかのどの場所にも似ていない。最初に入ったとき、妙な気分がしたものだ。川でみたどの風景も連想しないのに、あのなつかしいような匂い。赤いびろうどのカーテンのくらがり。見上げたときの天井の高さ。毛足の長い絨毯が足の指までつつんでいた。これが魔女の持ち物か、と思った。
「黙ってな。いま忙しいんだよ」
 湯婆婆はそう言った。
 ハクは数秒おし黙ったが、湯婆婆の眼中にないのを感じて、もう一度言った。
「ボイラー室のおじいさんに言われてきました。ここで働かせてください」
 湯婆婆は、本と書類が平積みにしてある机で、まだ書き物をしていた。
「ここで働かせてください」
 湯婆婆はペンをとめ、目だけハクを見た。巨大な瞳だ。ペンを置き、立ってハクのそばへ歩いてきた。
 あの巨頭の下の胴はどうなっているのか、少し疑問に思っていたのが、明らかになった。頭と同じくらいの大きさの体は、頭を支えるために太くたくましい。洋風のドレスのすそはひらひらのシャーリングになっている。
「ここがどういう場所かわかってるのかい。ここは、やおよろずの神様のお湯屋だよ。あんたみたいに文なしのお客をいちいちやとってたらあがったりだ」
「私はお客ではありません。ここで働かせてください」
 腹まで響くような大声で、湯婆婆は叫んだ。「帰れと言ってるんだ! 石炭にしちまうよ」
 それから少し落ち着いて、「手は足りてる」
 部屋の向こうに何かいる。膝の高さまでの大きさの首が、みっつ、跳ねてきた。達磨のように力強い顔立ちだが、斜視で間が抜けている。転がったり飛び跳ねたり、ハクの周りをまわった。オイ、オイと鳴き声を発している。頭にもものあたりをこづかれたが、ハクはひるまなかった。
「ここで働かせてください」
「まったくあのジジイもやっかいなやつをよこしたもんだ。あんた、何ができる」
「飛ぶことと泳ぐこと、風と水を読むことと、わずかなら命じることもできます」
「フン、若いね」 湯婆婆はふたたび机へもどった。「たいした役にも立たないじゃないか」
「これからたってみせます。私をあなたの弟子にしてください。私に魔法を教えてください」
 湯婆婆はじろりとハクを見た。
「それが目的かい。魔法ってのは生まれもっての才能だ。教えて覚えられるもんじゃない。お前の竜の格がどんなものかは知らないけどね」
「お願いします」 ハクは前へ出た。「使いはしりでも小間使いでもかまいません。少しづつでも魔法を覚えることのできる場所なら」
「魔法を覚えてどうする」
「自分を取り戻します」
「子供の遊びじゃないんだ」
「五行と竜の名にかけて、真剣です」
「ふむ」
 湯婆婆はハクに目線をすえたまま、押し黙った。ハクの頭の中を、昔の記憶を読んでいる。ハクはまっすぐ見返した。オイ、オイ、と順にとびはねながら、みっつの首が奥のカーテンへ消えて行った。
「いいだろう。弟子にしてやる。契約書にサインしな」
 湯婆婆がとがった赤い爪をひとふりすると、契約書と羽ペンが手元へとんできた。厚い紙の契約書だ。
「先に言っておくが、あたしは忙しい身だ。魔法は、見ておぼえな。本なら何冊かあるかもね…あとで取りにきな」
 ハクは契約書に名を書き、湯婆婆の机へ進んだ。湯婆婆はガイコツの形の電話で誰かに命令している。「新入り」という言葉から、自分のことを話しているのがわかった。
「これでよろしいですか」
 字面を湯婆婆の方へむけて渡した。
 湯婆婆は片手で受け取って、
「これが、あんたのかけた竜の名かい」とからかった。「和速水琥珀主。ごたいそうじゃないか。舌がこんがらかっちまうよ。呼びやすくしてやろう」
 金とルビーで飾った手を、契約書へかざした。ハクの描いた文字が浮かびあがり、手の中へ吸い込まれていく。
「お前は今日からハクだ。ハク!」
「はい」
「お前にはボイラー室で働いてもらう。詳しいことは今からくる父役におきき」
 その時からコハクは名を失い、ハクとして働いた。これも千尋が名を教えてくれたおかげで思い出せたことのひとつだ。代わりに無意味なことを多く覚えた。帳簿のつけかた、仕事上の上下関係、盗み、わずかな魔法…。
 後悔はしていない。避けては通れなかった。あの時の自分に他の道はなかった。ああするのが一番自分に正直だった。正しかったとは言えない。湯屋でずいぶん自分をすりへらしてしまった。元にもどることはできないが、わずかでもとりもどさなければならない。自分の気持ちに従い、なおかつ正しい道を選ぶのだ。難しいが、千尋という道しるべがあった。
 扉の向こうから千尋の声がして、ハクは我に返った。
「ハク、入るよ」
 ゆっくり引き戸が開いて、ぴょこんと千尋が入ってきた。あとからもう一人、吉村カオリがつづいて入った。千尋よりずっと背が高い。吉村カオリは、なぜよびだされたのかわからないので、少しおどおどと、
「千尋ちゃん、先生はどこ?」ときいた。
 ハクは椅子から立ってそちらへ歩いた。吉村カオリを見た。ふつうの少女に見える。少女の内部から何も感じない。とすると、外側に憑いているのか? その方がこの娘に負担がなくていい。ハクは言った。
「先生はいない。僕が呼んだんだ」
 吉村カオリは責めるように、助けを求めるように千尋を見た。千尋は肩をすくめた。
「千尋。先に教室へ帰っていて」 ハクは言った。
「ううん、ここにいる」 千尋は言った。
 ハクはまっすぐ吉村カオリを見て言った。
「見張っているのは知っていました」
 つい、と吉村カオリの服の中から、白いものが飛び出した。ハクは急いで吉村カオリの背をおし、図書室のドアをあけて、押し出した。
「ありがとう。用事は済んだよ」
 ドアを閉めた。彼女の記憶に手を加えずにすんだ。ごまかしきれたとは言えないが。
 振り返ると、紙の型代(紙人形)から送られてくる湯婆婆の気がふくらみ、姿をとっていた。針刺しのように整ったひっつめ髪、頭蓋の半分は占めている巨大な眼球―――実際、瞳孔や虹彩のすじまでくっきり見えるのは、その大きさのせいだ。額にはハクのこぶしほどもある赤いイボがあった。普段着の青いドレスのしたからは下着のフリルの量がうかがえる。
 湯婆婆の姿はわずかに透けていた。ただし、声はきちんと出た。
「このまま、契約を持ち逃げするのかと思ったけどね。ハク」
「もうハクではありません」 コハクは言った。
「あたしにとっちゃ同じことだ。お前もだよ。セン!」
 千尋は驚いて、思わずハクの後ろへ下がった。
 ハクは千尋に、
「教室へ戻っていて。たのむ。私は話さなければならないことがある」と強く言い聞かせた。
 千尋はやっと納得して、図書室から出て言った。ハクは目で見送った。
「それで、お前に貸した退職金はそろそろ返してもらえるのかい。お前が最後の魔法を使う間、あたしの魔法を貸しておく契約を」
「ええ、そろそろ、私の魔法も終わりです」
「ボイラー室のじいさんの口出しもいいかげんにしてほしいね。昔の借りがなかったらとうに追い出してる。退職金なんて今回だけだから、調子に乗るんじゃないよ」
「それは心得ています」
「はっきりしな。あんたの気はすんだのかい? まだなのかい?」
「湯婆婆様を呼び出したときに覚悟は出来ています」
「ふぅん…」
 湯婆婆はじろじろとハクの姿をねめまわした。
「あんたのしたかった魔法はこれかい? 人間の格好を真似て、センにまとわりついて。宿なしのお前がどこへ帰るのかと思えば、センのところとは。お前が魔法を学んだのは人間と戦うためだと思ったけど。あたしには関係ないがね、最近の竜はずいぶんふぬけになったもんだ」
 それを聞いて、ハクは胸にいたみを覚えた。
「口出しは無用です。私がどう魔法を使おうと」
「確かにそうだ。やっとやっかいな縁が切れるんだしね。さ、返してもらうよ」
 湯婆婆は手のひらを差し出した。
「待ってください」ハクは言った。「人間の世界での後始末がまだすんでいません。もうしばらくだけ、貸しておいてください」
「もうしばらく? いつまで」
「一週間…3日ほど」
「明日の夕方まで待ってやる。日暮れと同時に返してもらうから、そのつもりでいな。いいね、あたしはもう来ないけど、時間が来れば魔力を送るのをやめる。 …あいかわらず、お前は馬鹿だ。魔法の使い方をわかっちゃいない。今さら奇麗事を気にして何になる。人間から奪い返す以外にお前の生きる場所はないんだ。おせっかいをやこうってわけじゃないよ、ああ、全くだ。今のふぬけたお前を見てるとイライラするのさ!」
「私の選んだ道です」
「そのお前が使ってるのは誰の魔力だ? 他の力の上にあぐらをかいて、偉そうな口をきくんじゃないよ。虎の威をかる狐とはお前のことだ」
「それは申し訳なく思っています。返す言葉もありません。しかし、もう決めてしまいました。これが一番よいのです」
「ボイラーのじじいにお前の面倒を頼まれてるんだ。本当に、いいのかい。お前の言うような終わりかたで満足かい? 川の神にもどれなくても、他の生き方だってあるんだ。頭を下げるなら世話してやらないこともない」
 ハクは首を横に振った。
 ふん、と大きな鼻を大きくならして、湯婆婆は「もう行くよ」、と言い、消えた。湯婆婆がいたあたりには一枚の型代が落ちていた。



 教室に戻った千尋は、ハクを待っていた。あのまま立ち聞きしてしまおうかと思ったが、湯婆婆かハクが立ち聞きに気付かないはずはないし、ハクはひどく真剣な顔をしていた。よくない感じがした。湯婆婆がハクを湯屋に連れ帰ってしまう。なぜか、漠然とそんな印象を受けた。だから5時間目の授業がはじまっても帰ってこないハクをひどく心配した。社会の授業なんて頭に入らなかった。
 5時間目が終って、帰りの会がはじまると、先生にともなわれてハクが教室に入ってきた。速水琥珀として転校してきたときと同じように、ハクは教卓の横に立った。先生は言った。
「急だが、速水が転校することになった」
 クラスがざわめいた。
 とも子が振り向き、興奮して、なおかつ裏切られたという風に何か感想を言った。千尋はとも子の言葉を聞いていなかった。先生の言うことを一言も聞き逃すまいとしていた。
「おうちの都合で―――本当に急なんだが、明日、出発するらしい。普通ならお別れ会をするところなんだがその時間もなくて、先生は残念だ」
 先生も神妙な顔をしている。
 ケンジが席から手をあげて、「速水はどこに行くんですかぁ?」ときいた。
 先生が「東京に帰るらしい。もともとご家族の療養のためにここへ来てたんだが、いい病院が見つかったから帰るんだそうだ」と答えた。
「お世話になりました」
 速水琥珀は一礼した。
 千尋の頭の中では、一本の糸で考えがつながっていった。ハクは湯屋へ帰ってしまうのだ! そうに違いない。それも急に。先週は川のそばで暮らす、なんて穏やかなことを言っていたけど、あれは千尋を心配させないためで、本当は湯婆婆がハクをさらっていってしまうのだ。
 帰りの会が済むと、千尋はハクをつかまえて、急いで学校を出た。学校の友達の目なんてかまわなかった。
「ハク! どうしたの、こんなに急に」
「転校するって言ってただろう」
「湯婆婆ね。湯婆婆のおばあちゃんがハクを連れ戻そうとしてるんでしょう?」
 ハクはなだめるように、千尋の歩調をゆるめた。
「湯婆婆は関係ない。私は湯屋へもどったりしないよ」
「だって、おばあちゃんとは手を切ったって言ってたのにどうして会いに来るの。ハクはまだ苛められてるんじゃない?」
「けしてそんなことはない。今日は、私が借りたままだったものを、湯婆婆が取りに来ただけだったんだ。明日、それを返す。退職のときも、湯婆婆さまにはよくしてもらった」
「そうなの? じゃあなんでこんな、急にやめるの? 転校って、ほら、私もやったことあるけど――― 転出届とか、なんとか許可証とか、いろいろ時間がかかるものなんじゃないの」
「先生の頭の中をちょっといじって、葉っぱの書類を提出しておいた。湯婆婆と少し話をしたことで、いいきっかけが出来た。明日旅立つことにしたんだ」
「そんな…」
 千尋は、いまさら図書室に湯婆婆とハクをふたりきりにしたことを悔やんだ。あそこでごねていればハクは急に転校したりしなかっただろう。今週中に転校するとは言っていたが、やはり、心のどこかで実行にうつすとは信じていなかった。
「どこへ行くの」
「知り合いのいる、山のほう…多分、言っても知らないよ」
「本当に川のそばで暮らすの?」
「そうだ」
「会いにいける?」
 ハクは微笑んでだまった。分かれ道へ来たので、ふたりは立ちどまった。
「遠いところ? どうしてそんなところへいくの。湯屋へ帰るんじゃないなら、またいつでも会えるところにいるといいのに」
「うん。千尋の言うとおりにできたらいいんだけど、そうもいかない事情が多いんだ」
「…本当に行くんだね。ずっと一緒に学校へ通いたかったけど、あきらめる。ハクに迷惑ばかりかけてるから」
 先週からずっと考えて出した、千尋なりの背伸びだった。ハクだって、ずっと年下の先生に無意味な数学や英語なんて習っても楽しくないだろうし、それを考えると、ハクを人間の世界に縛るのは気の毒だった。
 千尋は大きな別れを、2度と会えないわけじゃないという希望にすがって慰めようとしていた。学校であえないというのは2度と会えないとほとんど等しいということを、千尋は知っていた。前の学校の友達とだってほとんど交流はない。手紙をやりとりしても、小学生が県をまたいで会うのは不可能に近い。それでもハクと会えなくなるとは信じたくなかった。なにしろハクは魔法を使えるのだし、なんとかなるという漠然とした希望があった。そんな楽観もやはり小学生ゆえだ。
「ハクが遊びに来て。待ってる」
「すまない。会いに行くよ」
「明日見送りに行っていい?」
「それは…」
 ハクは詰まってしまった。
「だめなの?」
「うん、明日は日暮れごろに旅立つつもりだし、夜遅くに森へ千尋を残していくのはうまくない」
「じゃ、暗くなる前まで、見送りに行く! あ、それじゃ、見送りにならないか…」
 ハクは笑った。
「見送りは嬉しいんだが、やはり、明日はやらなければならないことがあって、千尋を迎えるのにはよくないんだ」
「行かないほうがいいの?」
 ハクはうなずいた。
「そう…迷惑になるならやめとく。それじゃあ、これから、うちでハクのお別れ会しない?」
「いいの?」
「うん! お別れ会するようなもの、何もないけど」
「ありがとう。嬉しいよ」
 ふたりは千尋の家へ行って、小さな、他の誰も知らないお別れ会をした。この短い髪の綺麗な目をした、速水琥珀という同級生がいなくなるのかと思うたび、千尋は悲しく思ったが、楽しく振舞っていた。千尋は、心が悲しいのに表面は楽しいふりをするという難しさを知り、また少し大人になった。

(ユバーバ登場)
つづく

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