帰宅受難




テレビで見た週間天気予報はずっと雨のマーク。さっきまで降っていた雨はとりあえず止み、西も東も暗くうごめく雲が広がる夕方の空を見ながら今のうちにとスーパーヘ買い物に行きました。ペットボトルの烏龍茶と小人たちとTGのお菓子を買いました。小人たちにお菓子の入った小さな袋を持たせると、ペットボトルの袋の方が大きいので羨ましがりました。お菓子の袋を振り回して僕にぶつけてくるので、仕方なく烏龍茶を持たせました。

「重いよ?2本入ってるし。2匹で持てば?」

袋の片方ずつを2匹でそれぞれ持たせようとしたのに誰が持つかで取り合いになりました。結局1つの袋を3匹で持つことになり、3匹が持っていたお菓子と僕が持っていた分を残りの4匹で持ちました。

小雨がパサパサと降り出しました。急いで帰ろうと思い、小人たちを急かすつもりで後ろを振り向くと小人たちは上を向いて口を開けたまま歩いていました。ペットボトルの袋を持っていた1匹が排水溝の上で滑って他の2匹を道連れに転びました。3匹とも「ぎゃ。」と叫びました。ペットボトルの袋を取り上げてお菓子の袋を持たせました。

シャツをしっとりと濡らしながら信号待ち。徐々に雨は激しくなってきました。靴はびしょ濡れのままそれでも水たまりを意識して避けながら坂を上って下りると、黄色い帽子を冠ってランドセルを背負った小学生が数人僕の家の前にいるのが目に入りました。TGもその中にいました。TGがたぶん友達を連れて来たのだと思ったのだけど、どういうわけかTGたちは開いたドアの前にたむろし、家の中を見つめていました。TGのお友達は何故かTGから離れて立っていました。

不思議なことに家に近づくにつれて視界に映えるTGの友達の顔は何故か怯えていました。そのなんだかおかしな様子を見つめながら、お菓子をもう少し買ってきた方が良かったかもしれないなと思い、少し離れたところから声をかけようとした時TGの大きめの声が聞こえて来ました。少し怒ったように家の中に向かって喋りかけていました。玄関のところにはずぶ濡れのSが立っていました。

「なんで?入れてよ。友達連れて来たのに。」

「今ダメ。これからシャワー浴びるから。ちょっと外で遊んでこい。」

「え〜?雨降ってるもん。なんで?」

「うるさい。くそガキ。雨水とか飲め。」

「なんだよ、バカ。バーカ。」

「なんだ、このやろう。誰に向かって口聞いてるんだよ、お前。」

「あんただ、バカ。」

「でた。失恋バカ。」

「うるさい。出ていけ。友達怯えてるやんか。ごめんね。せっかく来てくれたのにね。お菓子買ってきたからみんなで食べて良いよ。」

「だって雨降って濡れたから。ご飯食べてシャワー入ろうと思ったんだよ。ホントに。あ、そのお菓子も...」

「うるさい。水たまりの水とか飲んでろ。」

「なんだよ。シャワー借りようと思っただけなのに。失恋バカ。お前なんかあれだ。失恋まみれ。」

「は?」

「失恋雨に濡れて失恋シャワー浴びながら失恋お菓子食べて失恋テレビだバーカ。生きてるだけで失恋だよ、アハハ。朝目が覚めたら失恋だお前は。今後一年は失恋ネタでイジメ倒してやる。シャワーとか貸してよ。」

「.....」




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