| ちょうちょ結び |
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夕方。テーブルと向き合ったTGが眉間に皺を寄せて両手をチョコチョコと蠢かせて何かをしていました。その様子を周りで小人たちがニヤニヤしながらジッと眺めていました。 「何をしているですか?」 と問いかけると小人たちが一斉に僕の方に振り向いて何も言わずにまたTGの手元の方に目を戻しました。TGは手元に集中しているのか振り向きもしませんでした。小人の頭の上から覗き込んでみると何だか赤い紐を両手の親指と人指し指でつまむように持って交差させてみたり、折り曲げてみたりしながら、時折首を傾げていました。 「...それを結びたいの?蝶結び?」 「.....」 TGは質問にまた答えてくれずに一生懸命しかめっ面で紐を動かし続けていました。興味深そうに眺めている小人たちの視線がなんだか痛々しい。TGの額と鼻の頭は汗でびっしょりになっていました。 「小人に教えてもらえば?」 「...いい。」 学校で言われたことなのかなんなのかは分からないけれど、もうなんだか意地になって必死に手を動かし小さな巾着袋の紐をどうにかして結ぼうとしているのだけど、1分くらい眺めていると泣きそうな顔になってまた首を傾げました。 小人たちは段々飽きてきたのか1匹2匹と席を立ってどこかへ行き始めました。息の詰まるような紐との格闘をこれ以上見ているのもいたたまれなくなってきたので、前に座ってTGを見ていた小人の頭を小突いて、手伝えということを暗に示したのだけど、小人は小突かれた意味がさっぱり分からず僕の顔を間抜けな顔でジ〜ッと眺めるだけでした。TGは鼻を啜りながら紐を両手に途方にくれてしまいました。 「小人に一回だけやってみてもらえば?すぐできるようになるよ。」 「.....うん。」 TGが緑色の巾着袋を小人に渡すと、小人は嬉しそうに自分の手元に巾着袋を引き寄せて紐には目もくれず袋の口を左右にサッと引っ張り、中から駄菓子のチョコレートを鷲掴みにして急いで他の小人と一緒に部屋の隅っこに走って行きました。 TGが泣き出しました。 |