| 歓迎遠足お弁当騒動 |
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夜中の3時まで貰ったプリントを睨みつけながら頭の中を暴れる給食費や教科書代の数字と脳内で格闘していたことを記憶しているのだけど、気づいたらいつの間にか睡魔に襲われていました。そして目が覚めると7時を過ぎていました。 「.....!!弁当!!べんと...バカ!!」 「.....?」 窓から差し込む朝日がカーテンの隙間を縫って部屋をぼんやりと明るくしていました。思わず上げた大声に小人たちがのそのそと起きてきました。 「TGのお弁当は?ちょっと...6時に起きるように言ってたやんか!おまえ...バカ!!...バカ!!」 朝っぱらからバカバカ怒鳴られた小人たちはボ〜ッと目を擦りながら僕を無視してゾロゾロと洗面所へ向かいました。少し濡れた顔を両手で撫で拭きながら出てきた最初の小人は欠伸をしながらまたベッドの方へ向かいました。次々出てくる小人たちも目を眠そうに細めながら部屋をウロウロしたりまたベッドに戻ったり、最後の小人は洗面所の小人用の踏み台の上で蛇口に手をかけたまま眠ってしまいました。姫とTGが目を覚ましました。 「...おはよう...ございます.....どうしたんですか?」 「すいません。ごめんね。TGのお弁当...まだ出来てないんだよ。ごめん、すぐ作るよ。どいて、ほら。」 「ぎゃ!」 流しに突っ伏したままの小人を小突きました。小人はバランスを崩して踏み台から転げ落ちました。それでも眠いのかゆっくりと起き上がってベッドの方へ向かおうとしたところを捕まえました。 「コラ。みんな起こして手伝え。おまえ、冷蔵庫から昨日買ったやつ持ってこい。」 「何か...手伝いましょうか?」 振り返ると壁に寄り掛かった姫が冷蔵庫を物色する小人と僕を交互に見ていました。包丁を片手に何をして良いのか実は全然把握していない僕を少し呆れ気味に笑いながらそう言いました。苦笑混じりにお願いすると姫は壁に右手を這わせながらこっちへやって来ました。小人たちが冷蔵庫から昨日買っておいたソーセージや卵や冷やした御飯を持って来ました。 「...包丁大丈夫ですか?退院してまだ一月経ってないですよ?」 「良くなったから退院したんですよ?」 「...それはそうですけど.....」 「大丈夫ですよ。使い慣れてるし。」 「.....」 姫はまな板の上のリンゴを手に取り、俯きながらぎこちなく皮を剥き始めました。小さな摺りガラスを通した陽射しに、左の義眼が赤茶色がかった光を溜めていました。手元を見つめる右目は徐々に滑らかになっていく手の動きに満足そうな笑みを微かに称えていました。 沸騰する鍋の中にソーセージを入れ、僕は目玉焼きを作りながら鶏肉に下味をつけ、姫はジャガイモの皮を剥き、小人たちはリンゴを齧り、それを見たTGは小人たちを叩きました。 |