
からっぽの荒野にぽーんと立ち尽くして、全くのゼロからの出発。「マイナー」傾向の本を辿りながら いつかは「欧州のいま」を探り出すことができたら・・・とこれも一種冒険の旅でしょうか。 というわけでこのコーナーはいわゆる「名作」よりぐっと現代よりのものを多く扱います(たぶん)。 道に迷ってぐるぐるしたり袋小路に突き当たったりの行程そのものも面白がっていただけたら幸いです。 中ボスやラスボスもいるのかなあ?
当コーナーのバックナンバーはこちら2003.07〜2004.01 2004.02〜2005.01 2005.02〜
・・「レクイエム」(Requiem/1991 伊)・・
ーーアントニオ・タブッキ 作ーー ****真夏のまぼろし*******************
すごい。一年放置している(滝汗)。そんな事実を軽くスルーして(こら)ほんっとう にお久しぶりのご紹介は、ニ度目のご登場、イタリアのタブッキの作品です。前回は「供 述によるとペレイラは」でしたね。あれも真夏の(真剣に暑そうな)ポルトガルはリスボ ンのお話なのですが、今度も真夏のリスボンだ・・・。そんなに好きなのかなにかあるの か(この辺有名なお話なのかなあ)。しかもこれはボルトガル語で書かれているらしいの です原作は。何が彼をそうさせるのか(調べよう)。
“わたし”は「亡くなってからずいぶん経つ」「二十世紀最高の詩人」と会うために正 午の街に立っていました。いつまでたっても彼は来ない、彼は十二時と言ったけれどそれ は夜の十二時のことだったかな。 そして“わたし”は気が遠くなりそうに暑い(このへんの描写ほんとうに暑そう)にリ スボンの街を、さまざまな人たちと行き交いながら通り抜けていきます。麻薬中毒の青年、 足の悪い宝くじ売り、タクシーの運転手、ブラジレイラのバーテンダー・・・。そしてそ れらの人々の中には、死んでしまった友人、父親、恋人の姿も。生者と死者、現実と幻想 は混沌と重なりあい、その一日は、すでに不思議ですらないように、夢のように過ぎてい く。そして夜の十二時に、“わたし”はふたたび詩人との待ち合わせ場所に立つ・・・。
大変面白かったです。とても雰囲気のある作品で、すぐに引き込まれ、そしてその中に いるのが実に心地良いのです(暑いけど・笑)。そしてこれも人生・・・ちょっと輪舞の ように、ひとと出会いささやかに関わり、挨拶を投げあってお互いまた通り過ぎでいく。 感じるところのある小説でした。好きだなあ。 そしてさらに“欧州”の空気たっぷりの作品に思えてそれがまた林城には嬉しくて(か ぶれてるから・笑)。あーこういうんだろうなー・・・って思うとまたぞろ行きたくなっ てしまった(行けてないなー)。
あんまり楽しかったのでまたタブッキ作品は読みたいし、そうしたらご紹介することに なると思います。そうそう、会話が地の文に溶け込んでる文体がまた気持ちいいです。こ れは訳者さんの力によるところも大きいかな。 というわけで、ではまた次回。(2006.09.08)