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サイモン博士の大作戦
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第一章
風采のあがらぬ四〇前の小男。黒縁のメガネ、よれよれの紺のブレザー、えんじ
の縞のネクタイ。アイロンのあたってない薄いブルーのワイシャツ。 折り目が定かで
ないグレーのスラックス。薄汚れた黒のローファー。
これがサイモン博士のいつもの風貌の全てである。独身のせいか、いつも同じ服
を着ている。道ですれ違っても、このサイモン博士に特殊な才能があることを見抜け
る人はまずいない。 しかし、博士には世界中の誰にも負けないことが二つあった。
発明の才能と、囲碁に対する情熱である。
発明の才能については、今は無名だが、その名が世界にとどろくのも遠くない。研
究室に閉じこもって二年間、ついにタイムマシンの完成が現実のものとなってきたか
らである。
「俺は天才だ」並々ならぬ情熱と自信をもって取り組んできた研究の成果が、実を結
ぼうとしている。
囲碁に対する情熱もこれまた凄い。大学時代に友人から囲碁を教わり、やみつき
になり二十年。読破した棋書は三百冊を超え、解いた詰碁は一万題。並べた棋譜も
数え切れない。しかし、なぜか棋力は未だに初段どまり。よほどの筋悪に相違なか
った。それでもサイモン博士は今日も研究の合間に、インターネットで囲碁の対局を
楽しんでいた。
そんなサイモン博士は、藤河九段の大ファンである。藤河九段はプロ棋士の中で
も並はずれた才能と感覚を持ち、「芸の藤河」と言われ、早見えでも他にかなうもの
はなかった。 しかし、その反面、こういった天才型の棋士にありがちなことだが、大
事な場面でのポカも多く、必勝の局面でつまらない、素人でもしないようなミスをし、
あと一歩のところでタイトルを逃してきた。そんな藤河九段を周囲は「無冠の帝王」と
呼んでいた。
第二章
サイモン博士がこの二年間、ずっと心に温めてきた、無念の思いがある。二年前の
本因坊戦である。その年、挑戦者となった藤河九段は、高田本因坊と七番勝負の
激闘を演じていた。両者三勝三敗で迎えた第七局。勝った方が本因坊という決戦
で、藤河九段は優勢のまま、終盤を迎えていた。
大ヨセに入って大きなコウが出来た。高田本因坊が放った苦し紛れの勝負手だっ
た。そのコウ争いのさなか、高田本因坊は、黒131手目、無コウ(無駄なコウダテ)
を打った。素人目にも判るミスだったが、藤河九段はうっかりこのコウダテに応じて
しまい、最後にコウダテが一つ足りなくなり、ついには逆転負けを喫する。
無コウに応じた白132手目の一手は、「世紀の大ポカ」、「一億円の手拍子」とも
言われた。
「あの時、無コウにさえ応じなかったら!」
サイモン博士は我が事のように悔しかった。あのポカさえなければ藤河本因坊が
誕生していたのだ。
「あの無念を何としてでも晴らしたい」その思いはつのるばかり。
思い高じて、サイモン博士はとうとう途方もない計画を立てた。
「タイムマシンを製作し、対局前に戻り、藤河九段に無コウに応じないよう助言す
る」
名付けて、「世紀の助言大作戦」
以来二年間、サイモン博士はひたすら夢の実現のため、研究に打ち込んだ。そし
て今、夢は現実のものとなりつつある。 タイムマシンが完成したのである。
第 三 章
いよいよ作戦決行の日がやってきた。サイモン博士は、できたばかりのタイムマシ
ン ――はた目には中古車の出来損ないにしかみえなかったが――に乗り込むと、
胸をときめかせながら、計器板のダイヤルを二年前の本因坊戦第七局の前日に合
わせた。
藤河九段は昼食のざるそばを食べ終わったのち、自分の控え室でじっと目を閉
じ、心を落ち着かせていた。
――形勢はいい。このまま勝ちきることが出来れば――
――念願の本因坊のタイトルを手中に出来るのだ。もう「無冠の帝王」ともおさらば
だ。あと少し、あと少しだ・・・・・・――――
本因坊戦第7局も、大詰めの二日目、昼食休憩を迎えていた。対局も中盤の難所
に差し掛かってきていた。控え室では「藤河九段の優勢」の意見が大半であり、両対
局者もそう感じているようで、藤河九段は余裕のある表情の一方、高田本因坊は厳
しい表情だった。
対局場の「グリーンビューホテル」のロビーで、サイモン博士はしきりに貧乏揺すり
をしながら、ソファーに座っていた。右手に握りしめているのは、一通のメモである。
「 高田本因坊の黒131手目は無コウです。
応じないでコウを打ち抜いてください
あなたの熱烈なファンより」
これを藤河九段に手渡す事が出来れば・・・・・
――囲碁史が変わる――
サイモン博士はいくぶん緊張したおももちで、どうしたらこのメモを藤河九段に届け
られるか、苦慮していた。この昼食休憩が最後のチャンスであることはわかっていた
が・・・・・
タイムトラベルは大成功だった。もっとも、対局前日に来るつもりが二日目に来てし
まったという、小さなミスはあったが。この、人類史上最大の発明の成功という快挙
にも、当のサイモン博士はいたって、クールだった。タイムトラベルが成功したことよ
りも、メモを藤河九段に渡す方法が思いつかず、苦吟していた。
このメモは、どう考えても、直接渡さなければならない。人を介せば、万一メモの内
容が知れると、後々面倒な事になりかねない。かといって、対局中の藤河九段にメ
モを渡すのは不可能である。渡すとしたら昼食休憩の今しかない。
しかし、さきほど、控室をのぞこうとしたら「関係者以外立入禁止」とあり、見咎めら
れないようにメモを渡すことは出来なかった。
――どうすればいい?どうすれば――
時計は既に12時半を指している。対局再開まであと30分しかない。
「そうだ!」 サイモン博士はひらめいた。
第 四 章
サイモン博士はじっと藤河九段を待っていた。
「ここだ。ここしかない。ここなら藤河九段に二人きりで会える」
ホテル四階の本因坊戦対局室から少し離れた男性用トイレ。この中の個室で、サ
イモン博士は息をひそめて藤河九段が現れるのを待っていた。
――対局の再開前、棋士は必ず手洗いに立つ。しかも、藤河九段はあの性格から
みて、洋式は嫌いなはずだ。自分の控室のトイレではなく、こちらのトイレを使うはず
だ――
確かな理論の裏付けや物証があるわけではない。しかし、サイモン博士はいつも
確固たる信念に支えられて研究に励んできた。そして今回も自分の判断に自信を持
っていた。
「ここのトイレに来れば本因坊位が約束されている。来なければ、ただの九段。藤河
九段が、こんなチャンスを見逃すわけがない」
――さあ、1時前だ。手洗いに行くとしよう――
藤河九段は控室を出た。
――どうも、洋式トイレは好きになれぬ――
藤河九段は対局室から少し離れたトイレに向かった。よもやそこで、、自分をサイ
モン博士が張っているとは想像だに出来なかったろう。
刻一刻、運命の歯車は歴史と違う方へと廻り始めようとしていた。
個室のドアの隙間から、サイモン博士はじっと耳をすませて、藤河九段が来るのを
今や遅しと待ち受けていた。しかし、藤河九段はいっこうに現れない。腕時計の針
は、まもなく1時になろうとしている。
「遅い。来ないのか。本因坊の座をフイにする気か 」
イライラと焦りがもう少しで爆発しそうになるのを、サイモン博士は懸命にこらえて
いた。
その時、キィッとトイレのドアが開く音が聞こえた。個室のドアの隙間から覗いたサ
イモン博士の両眼に、はっきりと藤河九段の姿が入って来た。
「今だ!」
サイモン博士はカギをあけて個室から飛び出した。
第 五 章
午後一時、対局再開。定刻ぎりぎりに藤河九段は対局室に入った。やや不機嫌な
顔で、どっかと座布団に座り込んだので、立会人の酒田九段は少し慌てた声で、「定
刻になりましたので始めてください」と宣言した。
藤河九段が不機嫌なのも無理はなかった。タイトル戦の最終局の二日目の昼食
休憩、まさにこれからが正念場、という大事なときに、精神の統一を邪魔されたので
ある。面白かろうはずがない。
いざ、対局場へと向かう途中でトイレに行くと、いきなり個室から飛び出してきたや
つがいる。よれよれの服に、ぼさぼさの頭。突然、「藤河先生ですね!このメモを今
読んでください!あなたにとって大切な事が書いてあります。必ず今読んでくださ
い!」と叫んで、紙を押しつけると飛び出していった。
――何なんだ、今のは?――
しばらく、あっけにとられたあと、用を足し、手を洗ったあと、メモを広げてみた。する
と、
「 高田本因坊の黒131手目は無コウです。
応じないでコウを打ち抜いてください
あなたの熱烈なファンより 」
とある。最初は意味が判らなかった。しばらく考えてから今の対局の事かも知れない
と思ったが、まだ手数が九十手しか進んでいない事に気がつき、ますます首をひね
った。そのうえ、最後の「無コウに応じるな」とは一体なんだ?そんなこと、言われなく
ても分かり切っていることだ。いやしくも、プロが無コウに応じるわけがない。全くもっ
て、ばかばかしい。
――いけない、時間だ――
神経がピリピリしているときには、小さな事でも精神に影響を及ぼす。
対局前には話しかけられるのを嫌う棋士は多い。藤河九段も例外ではなかった。
――俺のファンだかなんだか知らないが、大事な対局の前に、まったく――
いまいましい気持ちを抑えながら、藤河九段は対局室へすべりこんだ。
第 六 章
高田本因坊は苦慮していた。もう既に盤面は大ヨセを迎えようとしている。しかし、
形勢は盤面でいい勝負、白の優勢は明白だった。
――このままではいけない、このままでは――
懸命に逆転への道を探す。アヤがあるとすれば、中央の白の薄みしかない。あの薄
みをついて白を切り離せば――逆転できる。高田本因坊は乾坤一擲 、その棋界随
一と呼ばれるヨミを脳漿から絞り出すがごとく、中央をじっと睨んだ。
長考一時間、黒117手目が盤面に叩き付けられた。
勝負!打ち下ろされた黒117の石は、全身で叫んでいた。その気迫が藤河九段、
酒田九段にたちまち伝わり、対局室は緊張に包まれた。本因坊戦の帰趨を決め
る、最後のヤマ場。藤河九段は思わず座り直すと、全知全霊を傾けて、応手をヨミ
はじめた・・・・・
「いやあ、凄い手ですね、これは。全く気がつきませんでしたよ」
衛星放送の解説者、小竹九段は感嘆の声を上げた。
「白の優勢と思ってましたが・・・・・この勝負手が成功すれば、一気に形勢不明です
ね。いや、逆転するかも・・・・白も応手が難しいですね」
小竹九段の解説に聞き手の水森女流六段は懸命に変化の手順を並べていた。
盤上では高田本因坊と藤河九段。両対局者の死闘が続いている。そして、ここに
もう一人、全知全霊をかたむけて、この碁をテレビにかじりついて観戦している人が
いる。サイモン博士は、自宅のリビングで固唾を呑んで対局を見守っていた。
左手には発行日付が翌日になっている新聞。「高田本因坊が防衛。藤河九段が
終盤でミス」と書かれた見出しと棋譜。この二年間、ずっと無念の思いで眺めていた
新聞である。余りにも繰り返し見たので、その棋譜の手順をサイモン博士は、ほとん
ど覚えてしまっていた。
今こそ、無念を晴らす時。ここまで、この棋譜と寸分違うことなく、対局は進んでき
ている。このあと、四十分の長考で、白が118にツケを打ち、黒が119にハネ込
み、中央に勝負のコウが出来るのである。
――果たして、歴史は変わるか――
サイモン博士は、じっと衛星放送の実況画面を食い入る様に見つめている。
第 七 章
藤河九段は渾身の気合で白118とツケを打った。高田本因坊も黒119のハネ込
みで応戦、盤上は一気に緊迫してきた。白120のオサエ、黒121フクラミ・・・・
ついに黒123のキリで勝負のコウが発生。藤河九段はすばやく白124コウ取り。
運命の一瞬が刻一刻と迫る。
「このコウが勝負ですね。このコウに勝った方が勝つことになるでしょう。ええと、コウ
材は・・・・・・わずかに白有利ですかね・・・・・」
小竹九段の解説も緊張を帯びる。
高田本因坊は依然として厳しい表情をしていた。勝負手は一応成功したものの、
どうもコウ材が足りない様相を呈してきたからだった。
「高田本因坊、残り10分です」
情け容赦なく、記録係の声が追い打ちをかける。
コウ争いになったものの、藤河九段は落ち着いていた。「コウ材は白が有利」を既
にヨミ切ったからであった。わずかに1コウの差で白がコウに勝てる、と踏んだ。そ
の瞬間、ホッとして、対局前に渡されたメモのことが頭をよぎった。
「君、今、何手進んだ?」
記録係に訊くと、「124手進んだ所です」と答えが返って来た。
――ほう、するとこのままいくと、黒131手目はちょうど黒のコウダテ番になるな。偶
然とはいえ、面白いな。ファン様の予言によると、それが無コウだというわけか――
こんな事まで考える余裕まで出てきたのである。
高田本因坊の苦慮は続いていた。どうしても1コウ足りない。アヤを求めようと長
考する間に、もう持ち時間は底をついた。
「四十秒・・・・・・五十秒、一,二.三,四,五,六,七,八・・・・・」
秒を読まれ、慌てて、黒125,コウダテを打った。
「予想どおり」白126,藤河九段はすばやく受ける。黒127コウ取り。白128コウダ
テ、黒129受け、白130コウ取り・・・・・盤面はここまで、歴史どおり進んできてい
た。
「次だ。次に黒がコウダテする手が無コウなんだ。頼みますよ!藤河先生!」
サイモン博士はテレビ画面に向かって何度も叫んだ。
――あと1コウ足りない、1コウが・・・・・――
「四十秒」
高田本因坊は秒読みに追われながら、懸命に打開策を探したが見あたらない。ど
うすれば・・・・・・苦慮の間にも秒読みは噛みついてきた。
「五十秒、一,二.三,四,五,六,七,八・・・・・」
「八」と読まれ、ウッと高田本因坊の右手が大きく盤上を舞った。
パン!打ち下ろされた黒131手目、打った瞬間、高田本因坊は愕然とした。秒を
読まれ、打とうとしていなかった箇所へ石を打ち下ろしてしまったのだ! 先程のヨミ
で、この手はコウダテにならないことを確認したばかりだった。無コウの失着である。
――碁は終わった――
高田本因坊は観念した。
一方、藤河九段はヨミに入ってなかったコウダテを打たれ、どきりとした。少し考え
れば、無コウの失着であることにすぐ気がついたのだが、何しろ、相手は天下の本
因坊、手のヨミは棋界随一と謳われる高田九段である。
――なるほど、さすが高田さんだ。このコウダテは気がつかなかった――
深く考えないで、コウダテを受けようと、藤河九段は碁笥に手を伸ばした。
テレビ画面にコウ争いの死闘が映しだされている。画面の中央で大きく高田本因
坊の右手が舞い、黒131の一手が打ち下ろされた。
「これだ!この手は無コウだ!コウを抜くんだ!藤河先生!」
サイモン博士は絶叫した。
第 八 章
TV画面いっぱいに盤面が映しだされている。画面の中央に大きなコウが出来てい
る。かたずを呑んで画面を凝視するサイモン博士。その両眼に飛び込んできたもの
は――
右辺のコウダテを受けようとした藤河九段の右手が一瞬止まり、スッと伸びて、中央
のコウを打ち抜くのが 眼に飛び込んだ。
「やった!歴史は変わった!藤河本因坊の誕生だ!」
サイモン博士は狂喜して室内を踊りまくった。
――危なかった。もう少しで無コウを受けるところだった――
藤河九段は内心冷や汗をかいていた。受けようとしたあの時、「黒131は無コウ」
のメモが記憶によみがえり、本当に無コウなのをすばやく看破したのである。
――これで決まった。もう勝ちは動かぬ。俺もついに本因坊か。ここまで長かった
な・・ ・・・・本因坊になった棋士は代々、号を名乗っている。俺は何と名乗ろうか。
「秀」の字を号に付ける棋士が多いから、「達明」の俺は、さしずめ「秀明」かな・・・・・
「藤河秀明」うん、悪くない。それにしても、あのメモは一体・・・・・偶然にしてはできす
ぎている。あの男は何者だったのだろう――
昼食休憩の奇跡をいぶかりながらも、藤河九段は得意の絶頂だった。
――負けた。負けるべくして、負けた――
高田本因坊は本因坊位を失う虚無感にうちのめされながら、投了を考えた。
無コウを打ってコウを打ち抜かれてそのまま投了では形になってない。せめて、コウ
ダテのあとを打って、 そう、キリを打ったあと、白がその石をシチョウにカカエたとこ
ろで投げることにしよう。
高田本因坊は黒133、キリを打った。
高田本因坊が直ぐに投了するものと思っていた藤河九段は、黒133のキリに怪訝
な思いをした。しかし、少しヨンで、その手がただの「形づくり」なのを知った。
――なんだ、シチョウで取れるじゃないか。投了前の形づくりか――
藤河九段は碁笥に手を伸ばした。
第 九 章
サイモン博士が眼を覚ますと、もう時計は午前九時を廻っていた。頭が少しまだ重
い
――少し、飲み過ぎたかな・・・・・――
あのあとすぐ、衛星放送が時間切れのため打ち切られ、終局までは見られなかっ
た。そのあと嬉しさのあまり、サイモン博士は何杯も祝杯を重ね、そのまま酔いつぶ
れてしまったのだった。 頭がまだ痛い。しかし、白132手目、コウを打ち抜いた瞬間
の記憶は、はっきりと刻み込まれていた。
――そうだ、もう朝刊が来ているはずだ――
どんな見出しがついているか。「藤河九段、本因坊位を奪取」かそれとも、「藤河新
本因坊が誕生」か・・・・・
わくわくしながら、サイモン博士は玄関を開けると、新聞受けに手を伸ばした。
新聞を広げたサイモン博士の目に飛び込んできたものは・・・・・・
「高田本因坊、辛くも防衛。五連覇の偉業達成」「藤河九段、終盤で痛恨のミス」
見出しを見てサイモン博士は呆然とした。事態が理解出来ない。気を取り直して記
事を読む。
「・・・・・・黒131が高田本因坊の無コウの失着。白132とコウを打ち抜いては、白
必勝の局面と思われた。ところが、形づくりの黒133のキリに白134と右からアテた
のが手拍子の大ポカ。左からアテればシチョウだった。この黒石に逃げられては、
形勢逆転、黒の高田本因坊が4目半勝ちを収めた・・・・・この白134の一手は、まさ
に『世紀の大ポカ』『一億円の手拍子』と後世に語り継がれることになろう・・・・・」
サイモン博士は、あっけにとられて、しばらくじっとその新聞を見つめていた。やに
わ、
「やってられるか!」
ひと声叫んで 新聞を投げ捨てた。
サイモン博士の生涯において、この日ほど藤河九段のファンを辞めたい、と思った
ことはなかった。
(終わり)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。感想・ご意見をお聞かせいただ
けたら幸いです。
次回作は、あの「湊川さん」が再登場します。ご期待下さい。 (中河原 潤)
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