青クレヨンメガネの雑記帳青クレヨン

2000. 5. 1作成

 まもなくゴールデンウイーク。行楽に向かう人たちが様々な交通手段を用いて目的地に移動します。中でも新幹線や高速道路は混雑が激しく、ニュースに度々その状況が登場します。ところで、行楽以外での利用状況は・・・。

というわけで今回のお題:新幹線建設考

 先日の新聞記事に「整備新幹線」に対する政府・与野党の意見が掲載されていました。
 政府としては財政再建を視野に入れ、採算のとれない路線に対しては慎重な姿勢でしたが、計画のある沿線から選出されている議員からは、『地方活性化』『大都市との交通格差是正』『金利の安い今こそ』等々、なんとか「オラが村に新幹線を」とのエゴむき出しで攻勢を駈けてきます。
 ご存知の方も多いと思いますが、整備新幹線は昭和45年に施工された「全国新幹線鉄道整備法」に基づいて整備計画が決定された「北海道新幹線(青森〜札幌)」「東北新幹線(盛岡〜青森)」「北陸新幹線(東京〜金沢〜大阪。東京〜長野間は「長野方面新幹線」として平成9年に先行開業)」「九州新幹線・鹿児島ルート(博多〜鹿児島)」「九州新幹線・長崎ルート(博多〜長崎)」の5路線に対して整備計画が決定され、このうち3線5区間(東北新幹線、北陸新幹線長野〜上越間・糸魚川〜魚津間・石動〜金沢間、九州新幹線鹿児島ルート船子屋〜熊本間・八代〜鹿児島間)が現在建設中です。
 現在、「新幹線」と呼べる路線は東海道、山陽、東北、上越、北陸(長野方面)の5路線で、秋田、山形の両新幹線は「ミニ新幹線」であり、本来の新幹線とは違います。新幹線は高速で走るために安全性をを重視し、専用の線路を走るため踏切は一切ありません。また、「東海道新幹線鉄道に於ける列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法(新幹線特例法。現在は山陽、東北、上越、北陸新幹線にも適用されています。)」により、線路内に立ち入るとこの法律により処罰されます。しかし、山形・秋田新幹線は在来線(前からある路線を改良して新幹線車両が走れるようにした)なので、この法律の対象外です。

 前置きが長くなりましたが、新幹線がもたらす経済効果は確かに大きいかもしれません。地方の活性化や移動時間の短縮等、メリットがあることは認めます。しかし、それをはるかに上回るデメリットにも着目して欲しいと思います。例えば東京〜大阪と東京〜福岡間を例にすると、東京〜大阪間は新幹線が圧倒的優位に立っています。しかし、東京〜福岡では飛行機が高い利用率を保っています。大阪〜福岡については資料がありませんのではっきりしたことは言えませんが、利用率が双方とも低いと思われます。これは、運行本数や座席定員を基に割り出した私の推測でしかありませんが、「東京集中型」を裏付ける皮肉な結果とも受け取れるのではないでしょうか?。

 鉄道利用の限界時間は4時間前後と言われています。東京からですと岡山(新幹線)、金沢(新幹線+在来線)、青森(新幹線+在来線)あたりがこの範囲になると思います。仮に計画路線である札幌まで新幹線が開通したとしても5時間以上かかると私は計算しています。それに対して飛行機は1時間半(千歳空港までのフライト)、札幌までは35〜40分(特急利用)ですから、ハッキリ言って勝ち目はありません。福岡方面も同じで最速の「のぞみ」で4時間49分。飛行機は1時間30分です。長距離になればなるほど鉄道には勝ち目はありません。なのに何故、整備新幹線を誘致しようとしているのでしょうか?。
 例えば東京から金沢へのアクセスは新幹線+在来線で4時間前後です。これがもし北陸新幹線が開通した場合、3時間前後になるのではと計算しています。しかし、1時間の違いだけであれば、今の在来線の改良でも十分対応できるのではと思います。根拠としては、大阪〜金沢間(約270キロ)を2時間29分で結んでいることです。今の特急は一昔前の急行と同じ扱いで、あちこちと停車するために所用時間が長くなっています。大阪〜金沢を結ぶ「サンダーバード」は本当の「特急」らしく、停車駅は県庁所在地(昼間は一部の駅にも停車)のみとし、路線も改良した結果、山形・秋田新幹線同様最高時速130キロを出すことが可能になりました。また、1時間に1本の割合で運行しているため、利便性も高く、利用率も上々と聞いています。在来線の場合は150キロぐらいが限界かもしれませんが、それでも新たに新幹線を通すための工事をするよりは安くすみ、特急以外の列車もスピードアップが図れるのではないでしょうか。同じ事は九州地区にも言えると思います。現在もフレキシブルな特急運行を行っていますが、路盤改良、停車駅の整理等で20〜30分のスピードアップは可能だと思います。

 長野新幹線が開通した際、信越本線は分断され、横川〜軽井沢間はバスに、軽井沢〜篠ノ井間は「しなの鉄道」として再出発を計りました。しかし、鉄道の利点は「1本のレールで全国がつながっている」事ではないでしょうか?。確かに東京からの便は良くなったかもしれませんが、どれだけの利用率があるのでしょうか?。赤字線切り離しの方策とも取られかねないこの方法は、当時物議をかまし、地元にも大きなショックを与えました。現在建設中の「東北新幹線」についても「フル規格(専用軌道)」と引き替えに在来線の廃止するなどと言う話も浮き沈みしています。「新幹線」によって街を活性化させたい気持ちは分かりますが、新幹線を通す事によって地域を活性化させることや利便性を確保する時代は終わったように思えます。それでも新幹線を望む声があるのは、単に「ネームバリュー」を望むに過ぎないような気がします。大都市からの乗換無しでの観光客誘致を望むなら、新幹線でなく直通列車でも良いと思います。メリットばかり強調せずデメリットにも目を向け、採算が合わないのはどちらかをよく考えて欲しいと思います。


    参考資料 
      未来鉄道データベース(http://www.nifty.ne.jp/forum/ftrain/frdb/index.htm)
      運輸省ホームページ(http://www.motnet.go.jp/mthome_.htm)
      日本鉄道建設公団ホームページ(http://www.jrcc.go.jp/)



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