白,黒,アジア

日本の友人と,年賀状代わりのメールのやりとりをした。その中で,友人が,外国人の飲み友達は出来たか?と聞いてきた。 この,友人の言う「外国人」というのは,純正米国人の,それも白人か黒人をイメージしているように思えたので,「今の状況では,それは難しい」と答えておいた。

確かに難しいのである。まず,今,周りにいるのがカレッジ学生ばかりという事情がある。ちょっと立ち話をする程度の知り合いになる事なら可能だが,世代の差に加えて国の差まであると,「友人」のレベルにもっていくのはかなり大変だ。
もう一つ,ボストンという土地柄もある。米国の他の土地の事情を知っている人によれば,「ボストン周辺の,特に白人はとっつきにくい」と言う。お高くとまっている人が多いんだそうだ。確かに,私の通っているカレッジでも,その雰囲気はある。アメリカの大学といえば,「大学教授とファーストネームで呼びあうくらいにフレンドリーな雰囲気」という先入観があったのだが,とんでもない。ドクター保持者には,ちゃんとドクターの敬称を付けて呼ばなくてはならない。クラスの第一回目で,各担当教官が自己紹介した時も,大概の教官は「敬称+ラストネームで呼ぶように」と言っていた。

それに,もう一つの理由は,やはり私がアジア人だからだ。
こちらの学校に来て驚いた事の一つは,白人と黒人が殆ど交流しない事だった。カフェテリアでも授業でも,白は白,黒は黒同士でグループを作って仲良くしている。立ち話程度の交流も殆ど見かけない。そもそも,彼らのしゃべる英語が,全然異なって聞こえる。彼らは会話が通じるのだろうか?と思う時がある。
アジア系(というか,モンゴロイド)の学生は,人数が少ないせいか,あまり徒党を組まない(日本人の女子留学生だけは別。いつもいつもカフェの隅っこでボケーっと群れている)。そして,白人や黒人とも,ほどほどの付き合いをする。白と黒の合間を,人の良いアジア系が埋めている感じだ。
そして,私の仲の良い人達は,留学生の他は,ほぼアジア系の人達に限られている。アジア系の人達とは,わりとすぐに仲良くなれる。理由はいろいろあると思うのだが,何より,アジア系の人達とは一番スムーズに意思疎通ができるのだ。アジア人の英語も,やはり白人や黒人の英語とは違っていて,私にはそれが一番聞き取りやすい気がする。たとえ聞き取れなくても,何を言おうとしているのか,察しがつくことが多いのだ。

聞いた話では,ある工場では,ラインの工員を,白人,黒人,アジア人に分けてシフトを組むそうだ。そうしないと,工員同士の意思疎通に問題が起こるんだと。それぞれが独特の英語を使っていて,時々,本当に通じなかったり,誤解を招いたりするらしいのだ。びっくりである。
でも,そういうのは,労働者階級だけの話じゃないのか?ホワイトカラー層はどうなのか?と聞くと,「その層には,殆ど白人しか居ない」とのことだった。

ここに来る前は「いろんな人種の人たちと仲良くならねば」とか考えていたのだが,実際に来て見ると,米国人達は,ごく普通に人種別に固まってるんだから,気が抜けてしまう。学校で,日本人が固まっているのが目立つのは,用も無いのに,常にやたらと大勢で群れているからであって,日本人同士が仲良くすること自体が奇異に見られているわけではないらしい。現地の,特にマイノリティの人達の「必要に迫られて」のコミュニティを見ていると,「いろんな人種と仲良くなって。。。」というような考えが,何だか気取ったものに見えてくるのだった。

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